財務省が本気で調整幅(薬価差)に斬り込んできた!
みなさん、お元気ですか?秋深し。。。。穏やかな薄い水色の空はどこまで高く、時々、冷たい風が頬をさします。味わいがあっていい感じだなあと日々を過ごしております。
さて国家財政の“お財布係”、財務省が7日、傘下の審議会(財政制度等審議会財政制度審議会)に社会保障の財政運営に関する資料を提出しました。
この中で財務省は、公的に定めた薬価と、医療機関、薬局の購入価に差が出ているのに、2%までは「調整幅」と称して、次に公的薬価が改定されるまでの間、そのまま医療機関、薬局の収入になっている現状を問題視しています。この調整幅2%は現在の薬価制度の根幹要素ですが、「廃止を含めて制度のあり方を検討し、少なくとも段階的縮小を実現すべき」とまで言い切っています。
調整幅2%はもう20年も固定化され、いまや「あって当然」のようになっています。薬価制度を巡る様々な場、様々な角度からの議論の過程で「このままでいいのか?」という意見が過去に何度も出ましたが、いまのいままでスルーで棚上げでした。とかく日本文化、日本人は慣習に従順で、その慣習が時代にそぐわなくなったとしても「そのまま浸っていた方が楽」と考える質(タチ)ですから、製薬業界も調整幅について正面から議論するのを避けてきた。「2年に1回の薬価改定で、2%以上の乖離分は薬価を下げ、それが自動的に診療報酬財源になるんだから、財務省だって調整幅2%を見直すなんて面倒なことはしないでしょ」という読みもあった。しかし、その財務省がいよいよ調整幅に本腰で切り込む姿勢を見せているのです。
20年前は医療機関、薬局の医薬品購入価を把握するには、卸に調査を協力を得る(今もやってます)など、色々、手間がかかる。だから薬価改定は2年に1回程度が妥当だろう。改定と改定の間、公定薬価と、購入価に差が出るけど、医療機関、薬局も期限切れで使用できない薬剤が出るはずし、卸の配送コストも都市と地方で差が出るだろうから、2%程度ならご容赦の範囲だろう。そんな考えが背景にあった。
でももう技術革新、デジタル応用は社会の津々浦々まで浸透しています。それがいいか悪いかは別にして、医薬品購入価だって、技術を駆使すれば、リアルに把握できるのではないでしょうか?これはジャーナリストである私の直観でしかなく、断定できませんが、少なくとも医薬品卸の協力を得ないと購入価を把握できないという時代ではないのではないでしょうか?
というわけで製薬業界もそろそろ「調整幅ゼロの世界」を念頭に、未来に向けた準備が必要だと思います。実は、私のこの見解。もう10年以上前から変わらず(笑)。あらゆる機会を通じて過去に何度も発信しています。
写真は知り合いにいただいた柿。なんか柿って食べるだけでなく、姿かたちが日本の秋を象徴している気がします。それでは皆様、御機嫌よう。素敵な一週間をお過ごしください!