新型コロナのワクチン、治療薬開発を「続けさせていただきたい!」 塩野義の手代木社長が訴える!「平時の国家備蓄」「余剰はアジア供給」という“新たな枠組””も提案
Posted on 10月 5th, 2021 by IDAKA
みなさんお元気ですか?すっかり秋になりました!
さて新型コロナウイルの感染拡大。このところ弱まっているようです。しかし、なぜここにきて急に弱まったのか?その要因は、はっきりしていません。従って、この先、感染状況がどうなるかもまったくわからない。いい方向でも、悪い方向でも、あらゆる「可能性」はまだ残っている。だから、軽々な発言は慎みたいと思います。縮小の要因が分からないまま、将来について言及、予測しても意味がないからです。メディアに頻出する「専門家」の方々も、確証が得られない「予言」は止めて、しばらく黙っていて欲しいものです。混乱するだけだから。
ただ、これまでのパンデミック(感染爆発)、インフォディック(パニックに乗じた虚実ないまぜの情報氾濫)がなぜ起きたか?根本要因を考えると、最も大きな要因は、ワクチン、治療薬がなかったからだと考えます。
昨秋、ワクチンが出て、最近、新たな治療薬も少しずつ出てきているのですが、いまのところ外資系メーカーの製品がほとんど。日本のメーカーのものは正式承認されていません。
そんな中、塩野義製薬がワクチン、治療薬、抗体検査、抗原検査などフルラインでコロナ対策製品を揃える構えです。「国産ワクチンが必要だ」とよく言われますが、いま開発を進めているのは塩野義と、KMバイオロジクス、第一三共だけです。さらに治療薬は塩野義1社のみ。
国内の他の製薬企業は、感染症治療薬やワクチンの開発に乗り気ではありません。もし対象とする感染症が流行しなければ、出番がなく、収益ダメージが大きい。ビジネス上、リスクが高いのです。ただ、感染症はいつどこでどのような規模で、またいつまで続くのかわからない。一度、パンデミックになれば今回のコロナのように社会的にダメージは計り知れない。
ですから、感染症対策は、本来は「健康予防政策」というよりも、むしろ「国家安全保障政策」として取り組むべきなのです。その一環で、国産ワクチン、国産治療薬の開発促進にも力を入れて欲しい。
塩野義製薬の手代木功社長は9月29日に開いた記者会見でこう訴えました。
「ここ2年程、インフルエンザの流行がなく、関連治療薬の売り上げはほぼゼロだ。このまま感染症ビジネスを続けていけるのかという状況だ。しかし、続けさせていただきたい。困っていない時、平時はインフルエンザ、コロナ治療薬は国が備蓄していただく。ワクチンも買い上げていただき、状況によってアジア諸国に供給する。そういう新しい枠組みを作っていただきたい。感染症の特殊性をご理解いただきたい」。
日本の感染症対策は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」。流行期あるいは流行が起きそうになると、大きな議論になるが、収束すると忘れてしまい、何の対策も準備しない。その繰り返しでした。今回の新型コロナ禍は、しっかり教訓を政策に活かしてもらいたいもんです。
写真は記者会見に臨む塩野義製薬の手代木功社長です。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。皆さんは食欲の秋?読書の秋?楽しみましょう!