20年度の薬価改革は本当に「厳しい」のか?また、それはなぜか?
みなさんお元気ですか?東京はそぼ降る雨。12月に突入しました。
20年度薬価制度改革が大詰めを迎えております。製薬業界の要望はなかなか通りません。あちこちの業界紙が書き立てている通り、単純に言ってしまえば「業界に厳しい」。まあ、過去の歴史からして「業界にやさしい」なんてそうそうないですから。「厳しい」って言っとけばほぼ外れない。書く方は大して考えないで「厳しい」って書く。楽ですからね。そのが。
でも、この「厳しい」。今回の議論の推移を丹念に振り返ると、中身が若干、変化してきているように思います。例えば、新薬について業界は、できるだけ原価計算方式を使わないで、似たような薬、似たような医療効果に着目して薬価を付けるよう要望しています。また、承認後に、新たな効能追加を取得したら、希少疾患、小児関連以外でも高く評価するよう求めています。ところが中々、説得力のある具体案が示せない。複雑な薬価制度を知らない国民のみならず、中央社会保険医療協議会の委員さえ、理解、説得できない。委員から「できるだけ価格を高くしたいって気持ちはわからなくもないが・・・。も少しわかりやすく説明して」って声も出るくらいです。しかし、これ以上、説明、主張すると、逆に業界が反対している費用対効果(個々の薬を使った場合の成果を金銭価値で算出する)を「もっと積極的に活用すれば、はっきりするんじゃないの?」って意見が出てきかねない。
私見ですが、製薬業界の要望はどこかおっかなびっくり。自ら提示した要望に対して説得力ある強い根拠を示せていない。世の中的に、論理的に、どん詰まりを迎えている。だから今回に関していえば、結果的に「厳しい」内容になる理由は、官邸とか、財務省とか、外的要因だけじゃないです。内的要因、つまり業界の理論武装が脆弱であることも、かなり強いように思います。
そんな中、私が疑問に思うのは薬価がすり減った基礎的医薬品の価格維持。国際的なサプライチェーン問題で、欠品が続く抗生物質が多々あるから、何か新たなてこ入れがあるかと思いましたが、なんにもない。ゼロ回答で終わる方向です。これはよくわからない。社会的にいいんですかね。このままで。
写真はホッキョクグマ。ワンちゃんじゃないですよ(笑)。カメラを向けたらこっちに来た!!!コワッカワ!!!それでは皆様。素敵な一週間をお過ごしください。