「イノベーションとは何か?」、 今度こそ業界の統一見解を明確に示すべき!!19年初旬に公表する製薬協の新提案への期待。
みなさん、お元気ですか?本日は晴天なり!!スカッとした秋晴れでの幕開けとなりました。
さて、先週11月21日の記者会見で日本製薬工業協会の中山譲治会長(第一三共会長)が、製薬産業の研究開発の基盤整備と、その成果を評価する仕組みについて「中長期的な提案」をまとめ、19年の念頭に内容を明らかにすると発表しました。19年の消費税引き上げ、20年4月の薬価制度改革を前に、業界のスタンスをあらかじめ明確化しておくことは非常に大事です。いまのうちに業界の考え方を示しておけば、各方面の議論を呼び起こし、官邸トップダウンの政策決定をけん制することにもなります。
提案は、どんな内容になるでしょうか?やはり注目されるのは、日本での製薬ビジネスにとってかかせない保険薬価(医療保険で支払われる医薬品の価格)の設定、改定手法です。C型肝炎がほぼ完治してしまうソバルディ、ハーボニー(ギリアド)、これまでとは全く違ったアプローチで、肺がんを治すオプチーボ(小野薬品)は「価格が高すぎる」ということで、大きな議論を巻き起こし、最終的に薬価が大きく引き下げられました。そして間もなく、自分の細胞をもとに作った薬を患者に投与するCART療法(ノバルティスファーマ)が日本でも承認されます。この療法は若い人たちの白血病で著しく効果を発揮するが、米国で一回数千万円とされ、日本の薬価制度でどう対応するか注目されています。
これまでにない画期的な新薬で、しかも効き目がいいとなれば、保険薬価が高いのはやむを得ない。がしかし、財政には限りがあるので、どこまでも高くというわけにはいかない。日本の薬価制度は、そういうジレンマを抱えています。製薬協が年明けに発表する「中長期的な提案」には、このジレンマを解消する内容を期待したいです。大前提は「イノベーションの明確化」です。業界はこれまで「我々のイノベーションを評価しろ」「イノベーションが軽んぜられている」とことあるごとに強調してきました。しかし、業界が言う「イノベーション」とはなんなのか?たびたび、指摘されてきましたが、一度として明確な説明をしていません。業界内で意思統一を図り、今度こそ国民、患者にも理解できるはっきりした説明をして欲しいです。
写真は製薬協・中山会長。記者会見で撮影。それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください。昼夜の寒暖差が大きくなってきました。お気を付け下さい。