先発品と後発品の「アウフヘーベン」、両者の壁が溶けてなくなり、融合する将来
みなさん、お元気ですか?2018年の幕開けから2週間、いかがお過ごしですか?今週、来週くらいまで各企業、各団体の新年会、賀詞交歓会が続きますが、今年は、経営者同士が個別に集まる新年会も例年以上に多いようです。4月に、大きな薬価制度改革がありますから、「おたく、どうよ?これからどうするよ?」という類の情報交換が密になっているということです。
「今度の改革は長期収載品(特許が切れた医薬品=先発品)と後発品のアウフヘーベンだね」。年末の取材で、そんな声を聞きました。アウフヘーベンって何??って思われる方も多いでしょう。現東京都知事が好んで使う言葉で、17年の流行語大賞にもノミネートされたドイツの哲学者、ヘーゲルが提唱した概念です。簡単にいうと「相互に対立する2つの要素を一定期間、否定せずに温存し、時間をかけて、より高い次元で発展的に統一する」という意味です。現知事は築地、豊洲の市場移転問題に際して「アウフヘーベンする」と話しました。当面、双方を活かし、将来的に一体化するという方針を、この言葉で表現したのです。
今年4月、後発品参入から10年が経過した先発品の薬価は、後発品の加重平均値の2.5倍まで一気に下げることになりました。その後、時間をかけて先発品と後発品の薬価を近づけていきます。後発品がすでに市場の8割以上を占める場合、先発品の薬価は6年目に後発品と同一価格に。8割以下の場合も、10年目に後発品の1.5倍まで薬価を縮めます。その間、先発企業が撤退したり、後発企業が撤退したり、企業が合併統合したり、廃業したり・・・。そんな動きが活発化することが予想されます。最後に残るのは、先発品か、後発品か。今後、熾烈な競争時代に突入します。
しかし、厚労省の薬価政策、あるいは我々国民にとっては、安価で良質な医薬品であれば、もはや先発品だろうが、後発品だろうが関係ない。将来は価格の違いさえなくなるのですから、先発品、後発品という概念も薄れていくでしょう。要するに両者の壁がなくなり、融合する。おお、まさに「アウフヘーベン」ではないですかあ~!!!
写真は新宿高島屋の前で撮影。手塚治虫先生の「火の鳥」のイルミネーションです。18年は手塚先生の生誕90周年。漫画家でありながら、マンガの枠組みを超えた大芸術家。感慨深いです。それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください。2018年も「薬新カフェ」をよろしくお願いします。日本の医療界、製薬業界が「火の鳥」のごとく世界所狭し!と、羽ばたけますように。。。。