高血圧薬、糖尿病薬も1対1の「ガチンコ勝負」で、どっちが効くのか?はっきりさせるべき!!非小細胞肺がん治療薬アレセンサとザーコリでは、それができた!!
みなさん、お元気ですか?先週末は久方ぶりの雨降り。それでも各地のお祭り、花火大会は例年以上の盛況ぶりだったようです。
さて、日本で約10万人の患者がいるとされる非小細胞がんで、製薬企業各社の熾烈な新薬開発競争が続いております。今年に入って中外製薬のアレセンサが、同種同効品のファイザーのザーコリとの比較試験結果を公表。病勢進行、死亡リスクを53%低下させ、脳転移率も約4分の1に抑えることを示しました。それ以来、アレセンサが臨床現場でも圧倒的な支持を得ています。
競合品との1対1の比較試験で、これだけ差が出るのは極めて稀。というか、ライバル同士お互いに協力するのを嫌がって、そもそも1対1の比較試験はなかなかできないのが現状です。高血圧治療薬とか、糖尿病治療薬などは同種同効品がいくつもありますが、ほとんど偽薬(薬に似せて作った無害の物質=プラセボ)との比較試験で、2つの医薬品の良し悪しを比較判断する場合は、偽薬との差を見比べる程度です。ガチンコ勝負を避けて、お茶を濁しているのです。抗がん剤アレセンサ、ザーコリは、直接比較試験が実施できたこと自体、素晴らしい。高血圧や、糖尿病、高脂血症など、生活習慣病治療薬でも、メーカーが違う同種同効品は是非、やって、どっちがいいか、はっきりさせて欲しいです。
アレセンサ、ザーコリはともに、ALKというリン酸化酵素が混じった遺伝子(ALK融合遺伝子)を持つ患者を対象とする抗がん剤です。一般的に抗がん剤は投与しても、ほとんど効かない場合があるのですが、アレセンサ、ザーコリをALK融合遺伝子を持つ患者に絞って投与すると、9割近く効きます。
非小細胞患者のうちALK融合遺伝子を持つ患者は3~5%ですから、国内では、せいぜい4万人。それでも延命率が伸びれば患者さんに継続投与してもらえるので、企業も採算が取れます。この領域では武田薬品も試験を進めており、近く3製品が競合することになります。各社の開発競争が活発化するということは、新薬を待つ患者にとって良いことです。どんどんしのぎを削って欲しいです。
写真は週末に訪れた食堂で撮影。生まれて初めて飲んだトマトの味噌汁。見た目、彩りも美しい。あったかくておいしかったです。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。