中医協が、トルツの「申請取り下げ」に文句つけるのは、やり過ぎ!!
日本イーライリリーの乾癬治療薬「トルツ」の薬価収載が先週9日、ようやく認められました。一度、薬価収載申請を取り下げ、再申請して、日の目を見ました。中央社会保険医療協議会では「勝手に取り下げて、また申請するとはなんだ」と文句が出たようですが、これってどうでしょうか?薬価収載申請は基本的に企業の「申請主義」です。取り下げるか、再申請するかまで、中医協の判断を求めるのは、少々やり過ぎのような気がします。
トルツは、たまたま薬価算定ルールの矛盾に嵌まって、議論が紛糾しました。取り下げ、再申請を決め、状況を丸く収めたリリーは、むしろ褒めてあげてもいいくらいだと思います。取り下げて再申請したからこそ、丸く収まったのです。あくまで記者目線ですが、中医協にかかる新薬の中には、効能効果や、医療保険上の有用性の面で、むしろ取り下げて、出直してもらった方がいいような薬が、たまに見受けられます。そんな薬でも、中医協はスルー。まんまと臨床現場に出て、「マーケティング」とやらを駆使して、医療保険財政から収益を得ています。そんなんと比べたら、今回のトルツ対応は優等生ですよ。
トルツの薬価収載は今年8月に、議論を呼びました。既存のルールで保険薬価を算定したら、英米の平均価格と比べて低かったので、「外国平均価格調整」というルールに則り、薬価を引き上げました。その結果、日本にある他の同種同効品より突出して薬価が高くなってしまいました。それで中央社会保険医療協議会の先生方が「なんだこれは!他に同種同効品があるのに、1品目だけ高いなんて!!まがりならん」と怒って、「他の同種同効品を使って効かなかった場合に使用を限定する」と決定してしまったのです。リリーは「これじゃ売れんわ」と、一度、薬価収載申請を取り下げ、少しして再度、申請し直しました。その間、英米、とくにEUを離脱した英国の価格が急激に下がっていたので、今度は「外国平均価格調整」にかからず、他の同種同効品と同じ薬価で臨床現場に出ることになりました。リリーが、一度、申請を取り下げた理由は、まあ推して知るべしでしょう。ここにきて、さらに追い打ちをかけるのはなんか違うような気がします。
というわけで今週は16日にいよいよオポジーボの薬価引き下げについてはっきりした結論が出る予定。忙しない一週間になりそうです。
写真は大阪で見つけたいい感じのカフェ。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。