オプジーボの引下げ財源を、診療報酬や研究開発支援に回せというのはエゴ!!「国民不在」の危うさを露呈する論議が横行。
みなさん、お元気ですか?ここから数週間は、季節が夏から秋に変わる境目です。まだまだ日差しは強く、出遅れたセミの声もかすかに聞くこともできますが、時折、ふっと涼しげな風が頬を撫でていきます。
さて、いわゆる「高額薬剤」を巡る薬価問題。議論を聞いていると、あらためて「ああ、やはり医療保険の財源論議は、国民不在なんだなあ。医師会、製薬業界、財務・厚労省の駆け引きでしかないんだなあ」と感じます。
非小細胞肺がんの適応を得て急激に市場が拡大したオプジーボの薬価を下げるか、下げないか。議論になっています。しかし、日本医師会幹部は「もし下げるなら、下げた分、診療報酬(医療行為に対する報酬)に回せ」と主張、一方、日本製薬団体連合会会長は「いやいや企業の研究開発支援に回すべきでしょ」と話しています。厚労省も、事務作業が増えることや、今後の手続きが複雑になることを嫌ってか、消極的です。
薬価は、医療保険から支払う医薬品の価格です。で、医療保険財源は、医師とか、製薬業界人とか、財務省とか、厚労省とか関係ない。それぞれの所属組織を超えた「国民」のものです。薬価が不適切に高いなら下げるのは当然のこと。薬価が下がれば、医療機関窓口での我々の負担は軽くなります。そして、究極には、医療保険財政も、改善されるはずです。薬価を下げても、その分、医師の診療報酬や、製薬企業の研究開発費に回せば、行って帰ってこいで、国民の経済メリットは差し引きゼロです。
医師の診療報酬は、別途しっかり論議すればいい。製薬企業の研究開発支援もそうです。不適切な薬価を是正することのどこが悪いのでしょうか?浮いた財源を、自分たちの集団だけに誘導しようとするなんて。。。。医師会幹部、日薬連会長の、組織エゴでしかない。
写真は仕事で移動中の都内で。。新宿の和菓子屋さんが毎夏に出している涼しげな氷。その後、さらに移動し、地下鉄の階段を上ると、秋の気配を感じさせる空が見えました。それでは、みなさん。素敵な一週間をお過ごしください!!