オプジーボは「効く患者」と、「効かない患者」の選別研究を急げ!!!
さて先週の薬新カフェで「製薬各社の16年3月期決算は概ね好調」と書きましたら、業界の先輩から叱られました。いわく「どこが好調や?国内数値、見てみぃ。どこもボロボロや。数値がよく見えるのんは、海外で伸ばしている企業だけや。そんでもって日本では、これからは費用対効果分析を使ってさらに薬価を叩く。市場は厳しくなる一方や」。確かに(^_^;)。ちとおおざっぱだったかも知れません。先週18日の中央社会保険医療協議会は「次に消費税が上がったから、薬価をどうするか」という本題はどこへやら。「クスリが高ーい!とくに免疫チェックポイント阻害薬オプジーボが高ーい!」という意見のオンパレードでした。オプジーボは薬価が高く、一回の投与で70万円を超えると言われます。
業界からすれば「いい薬に高い薬価が付いて何が悪い?」って言いたくなるでしょうが、実は突っ込まれる理由が確かにあるんですよね。オプジーボは効く人には、ものすごい高い効果を発揮しますが、それは対象患者の半分にも満たないのです。にもかかわらず、患者の絞り込み研究よりも、適応追加が先行し、メラノーマ、非小細胞肺がん、腎がんと使用領域がどんどん拡大しています。要するに企業戦略でいえば「小さく生んで大きく育てる」。しかし、医薬品の場合、もうそれでは済まない時代が来ているんです。特に、抗がん剤は。。。。。。「効かないかもしれないけど、効く患者かいるからとりあえずやって使ってみる」という判断は支持されなくなってきている。オプジーボは適応追加より前に(あるいは、少なくとも同時に)、遺伝子多型の違いによる患者の絞り込み研究を進め、結果を示すべきだったと思います。抗がん剤の新薬開発は、効く患者、効かない患者の選別研究が同時に要請される時代が来たと言っていいでしょう。実際、ファイザーの非小細胞肺がんザーコリは初めから、患者を絞り込んでいます。各社の誠実な取り組みを期待します。
写真は先週、出張があった京都で撮影。穏やかな空間。一瞬ですが、なごみました(*^_^*)それでは皆様。なごやかで楽しい素敵な一週間をお過ごしください。