ギリアドにおっ被せてる場合じゃない!4月からの費用対効果論議はオール製薬業界で臨むべき!
みなさん、お元気ですか?さて2016年4月の診療、調剤報酬改定、薬価制度改革。実施まであと1か月となりました!しかし、今回の改定は、まさにギリアド・サイエンシズ社、サマ、サマとも言える決着です。
急激に売り上げを伸ばしているというだけの理由で薬価収載後1年も達っていない同社のC型肝炎治療薬「ソバルディ」「ハーボニー」の薬価をバッサリ切り下げたのです。こんな措置はルールブックにはない。企業からすれば、まさに辻斬りです。一応、大急ぎで即席のルールを作り、それらしき体裁は整えましたが、かなり強引な展開でした。この即席ルールのおかげで、中外製薬の抗がん剤アバスチン、サノフィの抗血小板剤プラビックスもトバッチリで、薬価を下げられました。
16年度の予算編成過程で、厚労省は社会保障費の自然増を6500億円と推計していましたが、財務省は「5000億円しか認めない。1500億円どっかで削減しろ!」と迫っていました。医師会、薬剤師会、製薬業界は「また痛い目に遭わされる」と、ビクビクしていたんですが、ギリアドに、かなりしわ寄せがいったのでダメージは、それほど受けませんでした。ほっと胸をなでおろしていることでしょう。 確かに「ソバルディ」「ハーボニー」の薬価は高いし、急激に売れています。しかし、両剤を使えば、ほぼ100%患者は治癒する。将来、C型肝炎がなくなる可能性もあるのです。そうなれば医療費は減ります。
一方、医療保険財政は、ますます窮迫しているのも周知の事実です。そんな時に、一時的にせよ急激に支出が増えるのは好ましい状況ではない。「ソバルディ」「ハーボニー」を狙い撃ちにした今回の「巨額品叩き」は、「イノベーション」と「国民皆保険制度の維持」のバランスを取るというのが、大義名分です。しかし、この「バランス」という言葉が曲者です。見る人によって、都合よく解釈されてしまいますから。。
その薬は、どれだけ価格に見合った成果を発揮しているか。この4月から、まさに費用対効果の議論が始まります。ギリアドだけの問題にしないで、オール製薬業界で、議論に参画すべきでしょう。
写真はご近所さまの庭に咲いていた梅の花。満開でした!!次は桜様のお出ましです。それでは、皆様、素敵な一週間をお過ごしください。