「医薬分業」と「薬剤師」だけ批判してても日本の医療は良くならない!!!むしろ歪にし、悪化させる!!
日本薬剤師会が6月28日開いた定時総会では「業界紙はいいから、もっと一般紙や一般国民に我々の職能を正しく理解してもらうよう努力すべきだ」という趣旨の発言がいくつも飛び出ました。
ここ数年、医療職種の中で、薬剤師ばかり叩かれている印象があります。細やかで鋭い報道もあるにはありますが、あきらかに飛躍し過ぎで「悪乗り」としか思えない報道も目立ちます。調剤チェーンが儲け過ぎていて、血の通わない事務的な、「こなし業務」を行っているなら、まず最初は、その調剤チェーンの経営体制、戦略の問題点を追求し、批判すべきなのに、どういうわけか、一足飛びに「医薬分業という制度が悪い」と、単純化してしまいます。一部のドラッグストアで、不正があれば、やはり、まずはそこの経営体制、戦略の問題点をあぶり出したうえで、再発防止策を提起するのがメディアの役割なのに「日本薬剤師会のせいだ」と丸投げして終わりにしてしまいます。そんな簡単で、単純で、お気楽な取材、執筆は、それこそ自らの職能放棄です。人は誰しも多少の承認欲求を抱えて生きていますが、「医薬分業と薬剤師会を叩いていれば何とかなる」という考えは明らかに歪んでいます。薬剤師会は医師会、歯科医師会と比べると資金力も政治力も弱く、執行部も温厚な人ばかり。記者にも、お友達みたいに気さくに接触してくれるから、かえって付け込まれている面があります。すべての問題を制度や組織に被せるだけの単純化報道は、物事の本質を隠してしまうので、かえって状況を悪くしかねません。
最近出てきた、いわゆる無資格調剤という問題も、どこからどこまでが調剤なのか、そもそも厚労省が判断を曖昧にしてきたという背景があります。今回もお偉い大新聞さんが「これは放っておけない大変な事件ですぞ!」と騒いで初めて「その通りでございます。とんでもなく非道で、許せない行為です!」と後出しジャンケンで、通知を出している。「またそれかよ」って感じです。個人的な意見を言えば、今回問題になった行為(軟膏剤を計量するとか、混ぜるとか)は本当に「薬剤師でなければやっちゃいかん!!」と目くじら立てるレベルの行為なのか。「薬剤師が忙しいなら、誰かに手伝ってもらって何が悪いの?」と思います。まして近年、薬局、薬剤師には「後発品を普及させろ」「薬局から出て在宅手伝え」「24時間対応しろ」「もっとOTC置け」「残薬無くせ」「気軽に健康相談にのれ」と雪だるま式に要求が増えてます。正直、こんなにできるの?って思います。知り合いの奥さんは、病院の事務職で、今回無資格調剤とされた行為について「え?そのくらいうちでもやっているよ」と言っていたそうです。(笑)
薬歴未記載は確かに問題です。薬剤師会が会員調査をして未記載があった薬局を炙り出したので、今後、調剤報酬の返還請求を受けることになります。しかし、これで終わり?って思うんです。薬歴っていうのは薬局、薬剤師にとってのカルテです。そこで未記載があった。では本家本元の病院、診療所、歯科医院で、カルテ記載は徹底しているのでしょうか?そんな疑問が頭をもたげてきます。かつてカルテ開示をするかしないかが議論になった時、医師は強固に反対しました。その時、「どうも書いていない医師もいるらしい」という話を聞いたことがあったからです。この際、医師、歯科医師も実態を調べるべきではないでしょうか?
とまれ薬剤師会だけ叩いても日本の医療、医療保険制度はよくならない。自分は承認欲求に支配されることなく、かつ視野狭窄に陥ることなしにしっかり取材、執筆していく所存です。ご指導、よろしくお願いいたします。
で、写真は池袋西武の書店リブロの入口。7月20日で閉鎖するそうです。書店がどんどん消えていく。電脳社会で、確かに書籍もPC画面で買えるし、読める。しかし、沢山の本の森に囲まれてゆっくり歩きながら、アレコレ想像を巡らせながら本を選ぶ。書店と言う空間は、私にとってオアシスなのです。なのになのに。。。西武よ、お前もか(泣)。それではみなさん素敵な一週間をお過ごしください。