第一三共がランバクシー問題を「完全解決」、武田もアクトス問題を「縮小」、立ち込める暗雲を払しょくした経営陣の「決断」!
製薬大手の2015年3月期決算発表が概ね終了しました。私が、テーマを付けるとしたら「決断」です。武田薬品が米国でのアクトス訴訟で、3241億円の和解金支払いを「決断」、第一三共が、買収以来、悩まされ続けてきたランバクシーをサンファーマに譲渡する「決断」をしました。ともに、進むべき道に立ち込めていた暗雲を自らの「決断」で振り払ったのです。
武田の場合、和解したのは95%なので、まだ完全にリスクがないとは言えませんが、武田のウェバー社長は「将来の不確実性は随分無くすことができた」と話しています。また、和解金支払いの決定は「サイエンスではない。経営陣の決断だ」と述べました。
第一三共は、サンへのランバクシー譲渡を無事完了。さらに、サンの保有株を売却して収益を得るなど、「お見事」と言うしかないです。「ここに来るまで、色んな人が、かなり気持ちが入った仕事をしてくれた。その経験は決して無駄にならない」という中山社長の言葉には、グッときました。
ただ、勝負はこれから。スッキリ視界が開けた。この先、どうするか?
研究開発戦略では、塩野義製薬の手代木功社長の言葉が強く印象に残っています。塩野義はがん領域で、特定の遺伝子を持つ患者にターゲットを絞った薬や、予防を狙うワクチンの2つしか開発していません。しかし、「これ以上、抗がん剤に突っ込んでいく予定はない」と言うのです。「抗がん剤の価格が今後どうなっていくか?あまり高額な抗がん剤を進めていくのはグローバルで観ても、あまりコンセンサスを得にくいだろう」というのが理由。現在、開発中の2製品なら「リーズナブルな価格で提供できる」と言い切りました。ここ数年、業界各社は「収益増には、がん領域が大事」と遮二無二、取り組んできました。しかし、一方で財政や、患者負担の問題もある。手代木社長の言葉に、トレンド領域の変化を予感させます。
で、写真は近くの河川敷で撮影。都内には珍しく蝶が舞っていました。「撮っていいですよ」と、まるでポーズをとるかのように私の前の枝に止まりました。穏やかな休日の一コマです。では、みなさま素敵な一週間をお過ごしください。
◎「長期収載品は要らない」なんて、誰が言ったの?煽り報道に騙されちゃいけません!本当のことしか言いません!