製薬企業と大学の関係に広がる不信感、そして薬価の毎年改定論議、医療、医薬品業界への「風当たり」はますます強まっている!!!
ディオバン問題で、ノバルティス元社員が東京地検に逮捕されました。
容疑は薬事法違反となる「虚偽、誇大広告」。かりに元社員がデータを操作していたとしても、そのデータを広告で活用するのは別の部署ですから、元社員の行動と、広告所管の部署の行動をしっかり「線」で結ぶ証拠がないと、逮捕は難しいと言われていましたが、元社員と密接な関係にあった研究者らの裁量でできる、専門誌への投稿論文や、インターネットでの論文公開を、一種の「広告」と見なし、元社員を逮捕しました。逮捕にかける、地検の並々ならぬ「執念」を感じます。しかし、何度も繰り返しますが、己(オノレ)はこの件。すべての責任を元社員に押し付けて、一罰百戒で片づけることに大いなる疑問を抱いていいます。なぜかというと、今度の件は、業界の「構造問題」であり、「一人の悪人が、自らの私腹を肥やすために、周囲を欺いて、勝手に怪しからん事をした」という類のものではないと考えるからです。この件に絡んだ関係者の中で、元社員が社会的に、最も弱い立場にいます。にもかかわらずと言うか、だからこそと言いましょうか、昨年来、唯一個人として、メディアの集中砲火を浴び、叩けれ続けてきた。今回の件については、メディアの取り上げ方、取材姿勢にも、ものすごい違和感を感じています。一種の集団心理。「みんなで叩けば怖くない」というムードが感ぜられるからです。東京地検の捜査は終わっていないので、しばらく様子を見守るしかない。しかし、元社員を逮捕して終わりじゃあまりにお粗末。そう思います。
日本製薬団体連合会の木村政之理事長が、先週の保険薬価研究委員会の懇談会で「(国会議員を訪問していると)医療、医薬品業界への風当たりが強まっているのがひしひしと分かる」とおっしゃられていましたが、まさしくそうかもしれません。医療、医薬品業界は、色んな意味で「グレーゾーン」が大きいのです。「グレーゾーン」って言い換えれば「必要悪」、あるいは「ハンドルの遊び」、「それを言っちゃおしまいでしょう」と言って、みんなが不問にして済ませてきたことです。しかし、世の中、どんどん狭隘になっています。で「グレーゾーンを一切、なくせ」と。こうなるのです。
薬価の毎年改定。どうやら今回は見送られ、かろうじて15年4月改定はなさそうです。とは言え、15年10月に消費増税があることを忘れてはなりません。間違いなく「消費税を上乗せするだけでなく、実勢価に基づいて薬価を下げろ」という意見が出て来る。そうなると、ほとんど「毎年改定」みたいなもんです。
とまあ、色々ありますが、みなさん。変化の時です。己(オノレ)も流されないように、吹っ飛ばされないように、しっかり取材、執筆に務めます。充実した素晴らしい一週間をお過ごしください!
※写真上から厚労省のディオバン問題検討会、木村理事長