武田薬品のトップ製品、ブロプレス試験を巡る疑惑は、ディオバン問題よりも焦点がはっきりしている!!

みなさん、お元気ですか?いやあ~、先週は降りましたねえ~。例年で言うと6月1か月分の降水量を、もう超えてしまったらしいですよ。さて、製薬業界と医師主導臨床研究が本格的に世間の批判にさらされて、ほぼ1年が経過しました。ディオバンの試験を巡る一連の疑惑に関する東京地検特捜部の捜査も、そろそろ最終局面を迎えているようです。7月には国家公務員幹部の人事異動があるから、少なくともそれまでには結論が出るのではないかと言われますが、どうでしょうか?実際、何らかの法律違反が問われ、起訴まで行くでしょうか?昨夏、雑誌医薬経済8月15日号に書いたように、己(オノレ)は、この事象を、製薬業界、医学界、専門誌ビジネスが密接に絡んだ「構造問題」と捉えているので特定企業の特定の人間を人身御供に1、2人しょっ引いたところで、何も解決しない。そんなトカゲの尻尾きりのような決着は、かえって良くない、とさえ考えています。が、どうなるでしょうか?しばらく様子を見守るしかないです。

Exif_JPEG_PICTURE で、一方、武田薬品のブロプレスと、臨床研究CASE―Jの疑惑、こちらは武田が第3者機関に依頼して調査しています。3月の記者会見で「調査は3か月くらいかかる」と話していたので、6月中には結論が出て、何らかの発表があっていいはずです。ただ、こういうケースがあると、いっつも思うんです。第3者機関といっても、依頼主が当の本人じゃないですか?しかも、依頼主からお金をもらって調査するわけです。だから、本当に、どこまで依頼主から独立して客観かつ冷徹な調査ができるのかなあ~って。そう思うんです。まあ、それはともかく、個人的には、ディオバンの疑惑より、ブロプレスのCASE-Jの方が、はっきりしていることが多くて、結論が出やすいと考えます。

武田は3月の記者会見で「まだ論文になる前の研究グラフを、学会発表の段階でプロモーションに使ってしまいました。これは明らかに業界のルール違反でした。申し訳ございません」と早々に謝りました。しかし、この問題の焦点は「プロモーションが論文になるより前か後か」なんて、甘っちょろいところにはありません。ブロプレス(カンデサルタン)とアムロジピンの比較試験で、心血管イベントの抑制効果が、はじめのうちはアムロジピンの方がいいくらいなのに、30か月を超える辺りで、急にブロプレスが良くなる。【右上写真、日経メディカル06年11月号に掲載された武田の記事広告】ここからいくつもの疑惑が生じているのです。記者会見も近いと思われますので、改めて問題点を整理すると、こうです。

①途中から急にブロプレスの結果が良くなるのは、なぜなのか?人為的な操作が加わった可能性はないのか?専門家は「高血圧の治療で、途中で効果が逆転するなんてありえない」と言っています。手を加えていないにしろ、なぜ急に良くなったのか?武田はその要因を検証し、はっきり答えなければいけません。科学的に問題がなく、本当に途中から良くなるなら、患者のためにも、むしろ堂々と、プロモーションに使うべきです。

Exif_JPEG_PICTURE②06年10月に学会発表された時のグラフは、途中からブロプレスがアムロジピンと比べて良くなっているのが視覚的に鮮明にわかる(写真の左側、基本的に右上写真のグラフと同じもの)のに、08年2月に論文化されたグラフでは視覚的にはわからない(写真の右側)ようになっている。しかも論文では42か月以降の部分がバッサリ削除されている。それはなぜか?同じ研究結果なのに、なぜ、こうも視覚的に違うグラフが出来上がるのか?また、どういう意図で、42か月以降の部分をバッサリ削除することになったのか?

③ブロプレスとアムロジピンの効果が交差する部分を「ゴールデンクロス」と称して、あたかも長く使えば使うほど、ブロプレスの方がアムロジピンよりも効果が上回ると言わんばかりのプロモーションを実施したことに問題はないか?ディオバンでは誤った研究データをプロモーションに使ったことが「虚偽、誇大広告」の疑いを呼び、薬事法違反が問われています。武田が自分たちのプロモーションで「ゴールデンクロス」を、ことさら強調していたのは明らかです。右上1番目の写真、武田が記事広告で使ったグラフを観てください。「ゴールデンクロス」の部分に、ご丁寧にも、オレンジ色の矢印が付いています。一体、誰が付けたのでしょうか?さすがに「1人の社員が勝手に付けた」とは言えないでしょう。出版社に莫大なお金を払って記事広告を掲載したわけですから、間違いなく組織的な決済が必要です。

④企業の記事広告に、何度も自身の名前と顔写真を載せて「広告塔」となり、間接的に、企業のプロモーション活動の内容に「お墨付き」を与えた猿田享男慶応大学名誉教授、CASE―J研究代表ら、複数の学者、研究者らは何の責任も問われないのか?

Exif_JPEG_PICTUREざっとこんなところです。記者会見では、最低、以上の部分は明らかにして欲しいです。で、3番目の写真は都内某所で撮影した紫陽花。花ってすごいですよね。自分がいつ咲くべきか。しっかり見極めている。梅雨時はこの人の出番です(*^_^*)

 では、みなさま充実した一週間をお過ごしください。

 

 

コメント

現在のコメント

コメントを書く

 
  (公開されません)
 
 
 
 

 
© 2024 薬新プラザ|医薬品業界の「本質」を発信するサイト