また出てきた「薬価の毎年改定」論、どこまで本気なの?!もっと腰を据えた提案を。

Exif_JPEG_PICTURE 政府の経済財政諮問会議で、本郷の旧帝大や、民間シンクタンク、財閥系企業のお偉いさんが「薬価の毎年改定」を提案したことが、医療、薬業界でちょっとした話題になっています。己(オノレ)の第一印象は「一体、どこまで腰を入れて出した提案なんだよ。またコケ脅かしかよ?」って感じです。そもそも「毎年改定」。新しい提案ではない。05年にも、散々、議論して、実現できなくて終わった経緯がある。性懲りもなくまた出してきたわけです。

ここでいう薬価とは、医療保険で支払われる医薬品の公定価格です。しかし、医療機関が医薬品を購入する時は、卸と交渉しますので、実際には公定価格より、安く購入します。つまり、医療機関は公定価格より安く買って、後から医療保険から公定価格で支払を受ける。だから実際の購入価格と、公定価格(薬価)に差額が生じる。その差額がそっくり医療機関に入ります。それがいいか、悪いかという議論は、また別のレンジなので、ひとまず置いておきますが、医療保険には「医薬品の公定価格は、できるだけ実購入価に近づけるべき」という考えが基本にあります。だから、その基本に沿って、2年に一回、実購入価を調査して、公定価格を改定します。つまり実購入価は、時の経過とともに、変動するから、それに合わせて公定価格を変えましょうということなのです。

で、改定は、いま2年に一回やります。一旦市場に出した医薬品の価格は下がることはあっても、上がることはないから、改定の度に、公定価格(薬価)も下がり続ける。経済財政諮問会議のお偉いさん達が「毎年改定」を提案するのは「2年に一回じゃなく。毎年やれ。そうすれば公定価格が下がる分、保険財政が楽になるんじゃん」っていうことなんです。でも、薬価を下げて浮いた財源で、保険財政が軽減されているかというと、そんなことないんですよね。薬価を下げて浮いた財源は、お医者さんや、看護師さん、検査技師さん、薬剤師さんの技術料(診療報酬)に回している。だからこそ、いまは薬価改定も、診療報酬改定も2年に一回、同時期にやっている。薬価を下げても、それは診療報酬に行くから、必ずしも医療保険財政が軽減されるわけではないんです。

ですから、お偉いさんが「薬価の毎年改定を実施して保険財政を軽減しよう」と主張するなら、まず「薬価と診療報酬は別物。両者の関係を断ち切ります」と明言し、そのうえで「薬価は毎年改定するけど、診療報酬は2年に一回のままだよ。薬価は下げても、それは診療報酬には回さないよ」とはっきり言うべきなんです。それを言わないで、提案資料に、おっかなびっくり、ちょこっと書いても、日本医師会はじめとする医療団体の反対に合って、また押し返される。へっぴり腰で、ビビりながら提案するなら、出しても意味ないんです。お偉いさん達は、それなりに給与待遇もいいんだら、お国のため、国民のために、もっと腹を据えた、しっかりした提案をして欲しいものです。今回の「毎年改定」の提案は、本当にじっくり考え、過去を検証して出したものなのでしょうか?己には、財務省の入れ知恵としか思えないんです

IMG_0402あと素朴な疑問なんですが、「実購入価を公定薬価に適正に反映させる」という場合、果たして「毎年改定」は最善策なんでしょうか?もっといい方法はないでしょうか?医療機関と卸の交渉が成立し、購入価が決まった段階で、公定価格(薬価)も変えるのが、最も間違いがない正しいやり方でしょう。つまり「公定価格(薬価)」=「購入価格」です。ネット全盛の電脳社会です。不可能とは思えないんですが、いかがでしょうか?どうあれ、いまさら「毎年改定」は、単なる嫌がらせにしかならない気がします。

で、写真上は経済財政諮問会議。内閣府の動画をPC画面上で撮影したので画像粗いです。すみません(汗)。それから下は己の誕生日。愛娘がレストランでパーティーを開いてくれました。最後に、このスィーツが出てきて、父ちゃん、感無量!!!!(泣)幼かった頃、こんな日が来るとは思わなかったです。うれしいもんですね。ちなみに「ちゃん」というのは己の呼称。「父親」の意です(笑)。では皆様、充実した素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

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