武田薬品、エーザイまで広がる臨床研究疑惑、「悪しき慣習」を断ち切り、健全なる産学連携の基盤整備を!【一部修正】

Exif_JPEG_PICTURE  臨床研究を巡る医師と製薬企業の「不適切な関係疑惑」が続々と指摘されています。いわゆるディオバン問題については、先週、厚労省の検討会が報告書をまとめて一定の対応方策が示されましたが、最近になってノバルティスの抗がん剤のタシグナの副作用軽減効果、武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスのイベント抑制効果、エーザイのアルツハイマー治療薬アリセプトと密接に絡む病状進行手法などの研究で、新たな疑惑が浮上しています。「もうどうにも止まらない」って感じ。まだまだ出て来そうです。由々しき状況であるのは間違いないのですが、よくよく考えれば結局のところ、昔は、みんな何の疑いも持たず、悪びれもせず、普通のこととしてまかり通っていた医師と製薬企業の「悪しき慣習」が根底にあるんですよね。だからマスメディアも、ひっぱたき方を間違えると「現在の価値観で過去を裁く」“蛮行”に陥りかねない。っていうか、マスメディアだって、その「悪しき慣習」に乗って、いい思いをしてきた面があるんじゃないの?偉そうに人の批判をするのはいいけど、少しは自分も反省しろよって思うのです。もろろん自戒もこめて。(この辺りのことは医薬経済14年4月1日号にしっかり書きましたので、是非、ご購読ください!)

Exif_JPEG_PICTUREで、なんで、ここにきて「悪しき慣習」が問題になるのか?と考えますと、己(オノレ)は日本でも産学連携が活発化し、個々の研究が社会の注目を浴びるようになったからではないか?と思うのです。調べてみると、実は米国でも、同じような状況がありました。80年にバイドール法ができて以降、利益相反問題が続出するのです。ご承知の通り、バイドール法は、研究者に知的財産という金銭的なインセンティブを与え、その研究成果が速やかに民間企業の製品開発に活かされるよう様々な便宜を認める法律です。この法律で、医師、研究者にビジネスマインドが芽生え、産学連携も活発化しました。一方で、利益相反が絡んだ悲壮な事件がいくつも出てきます。自分が関わる研究を成功させたいがために、無理な治験を進め、被験者を死亡に至らしめたゲルシンカー事件などはその最たるものです。しかしながら、産学連携は活発化し、米国の製薬産業は強くなった。そういう意味で、バイドール法制定を基本とする米国の産業強化策はみごとに成功したのです。

だから、いま日本で一連の臨床研究が問題になるのは産学連携の「幕開け」「黎明期」ではないかと。とかく「けしからん」「けしからん」と叩かれるだけの出来事ですが、敢えてそう言ってみたい。不幸中の幸いですが、いまのところ利益相反で死亡例が出るなど、最悪の事態には陥っていない。だから、今のうちに膿を出し切って健全なる産学連携基盤を整備すべきです

で、写真は先週報告書をまとめた厚労省の「高血圧治療薬の臨床研究事案に関する検討会」(通称、ディオバン検討会)風景。そして日曜日の雨上がり。ベランダから見えた虹。見えますかね?3分間程度の短き出来事でした(笑)。では皆様、素敵で楽しい一週間をお過ごしください!

 

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