◎加筆修正版【臨時速報】武田がブロプレスで認めたプロモーションコード違反が他社に波及すれば、国内製薬業界の信用度はゼロにまで失墜し、壊滅的なダメージを受ける!!
いやあ~、昨日3日に開かれた武田薬品の記者会見はヘビーでした。何がヘビーかって、その内容が。。。
長谷川閑史社長、岩崎真人医薬営業本部長、医薬開発本部の中村浩己日本開発センター部長が、大規模臨床試験「CASE-J」の結果を活用した同社トップ製品「ブロプレス」(一般名=カンデサルタン)のプロモーションに「不適切な点があった」と、謝罪したのです。詳細はRISFAX3月4日号をご覧いただくとして、日本の製薬トップ企業が、日本で一番大きな高血圧治療市場で販売していた国内売上高トップ級、自社品トップのブロプレスで、歪んだプロモーションを実施していたというのですから、衝撃です。
日本製薬工業協会が定めた業界の倫理基準「プロモーションコード」では、しっかりした学術誌に論文として掲載されるまで、医師が行った研究成果を製品プロモーションに使うことを禁じています。にもかかわらず武田は、論文掲載を待たずに、国内の学会で発表があった段階で、CASE―Jの試験結果をプロモーションに使っていました。論文掲載時に、図表に若干の変更があったのに、それも無視していました。
岩﨑本部長らは、この点を「プロモーションコード違反だった」と謝罪しました。
でも考えてみると、論文掲載前の研究成果。。。他の企業、他の製品でプロモーションに使ってるケースはありませんか?調べたわけではないですが、かなりあるような気がしますが、どうでしょうか?
もし今後、他社製品でもボロボロ出てくるようなことになれば「国内製薬業界は自ら作った倫理基準を、平気で破っている」というそしりを免れないでしょう。
そうなれば日本の製薬業界の品格、品性は地に落ち、信用度ゼロの壊滅的な状態になる可能性があります。そんなことがないようにと、祈るような気持ちを抱えながら、取材を続けます。
でも実はこの問題。一番大事なのはプロモーションが論文掲載前か、後かなんてことじゃないんです。「CASE―Jの試験結果がプロモーションで正しく使われていたかどうか」。そこが一番大事なんです。。
「CASE-J」は、ブロプレスの心血管イベント抑制効果を、ノルバスク(アムロジピン)と比較した医師主導の臨床試験なのですが、武田の期待に反して、差が出なかった。むしろ、ノルバスクの方がほんの少しだけ、効果が高いくらいだった。統計学的に言うと、「同等」というのが精いっぱいの結果だったのです。ところが武田が社内調査で、過去のプロモーション活動や資材を検証すると「一部誤解を与えかねない表現があった」(岩﨑氏)というのです。
実際、己(オノレ)は、過去に際どい専門誌の記事広告を目にした覚えがあります。そこには42か月以上使用するとブロプレスの方が、ノルバスクより効果が上回ると言わんばかりの図表(グラフ)が掲載されていました。こういうものを使って、現場MRが「これは統計学的に認められてはおりませんが、長く使えばブロプレスの方がノルバスクより効果が高くなることが期待できるかも知れないんです」なんてやっていたら、完全にアウトです。もっとも、臨床医とMRのやり取りは、イチイチ記録してはいないでしょうけど。。。
少なくとも過去の記事広告、プロモーション資材におかしなグラフが掲載されていないか?研究責任者が、試験結果から外れてブロプレスに有利になるような発言をし、それがそのまま広告記事や資材に掲載されていないか?それはしっかり検証すべきでしょう。武田は近く第三者機関に調査を依頼し、結果が出次第、公表すると確約しました。
写真は右上から長谷川社長、岩﨑営業本部長、中村日本開発センター部長。さすがにみなさん、歯切れは悪かったです。しかし、ディオバン問題で、メディアの猛攻撃を受けたノバルティスと比べると、記者会見の開催は非常に迅速でした。イチイチ本国にお伺いを立てないと、何もできない外資との差を見せつけた感があります。そこが唯一の救いって言えば救いでしょうか。