武田薬品のCASE-Jで相次ぐ疑惑報道、一体、何が問題なのか?今のうちにしっかり整理しておくべきだ!
ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンの不正論文問題は、ディオバンのライバル品だった武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスにまで飛び火しました。NHKほか各紙が、カルシウム拮抗剤ノルバスクと比較した大規模臨床試験「CASE-J」(01~05年)で、不正があったのではないか、と報道しております。しかし、医薬品の臨床試験は複雑でなかなか一般の人には、理解しづらい。連日報道が続けば、「なんか悪いことしたみたいだね」っていう印象だけがどんどん広がっていきます。日本人は報道リテラシーが低いので、扇情的な記事を読むと、情緒で受け止めます。だから報道される側は、何もやましいことがなくても、飛んだとばっちりを受ける場合も多々あります。
報道が過熱する前に、何が問題なのか、整理しておく必要があります。一つ目は利益相反(COI)。研究にバイアスがかかりそうな研究者は、その事実を、事前に公表しておく必要があるのですが、それが適正に公表されていたか。二つ目は、統計解析がその研究に最適な手法で実施されていたか。その薬に有利な結果を導くために、普通は使わない手法が使われたりしていないか。三つ目は、研究結果を広告宣伝に使用する際に、その薬があたかも有意に見えるように、統計データの一部だけを大きくしたり、強く目立つように色を変えたり、視覚的なトリックを使っていないか。四つ目がその薬が有意になるように統計解析データを故意にいじくる。いわゆる「改ざん」です。で、問題があった場合、どれも「不正」と言われますが、本来の意味合いはそれぞれ少しずつ違います。一つ目の利益相反と、二つ目の不適切な統計手法は、倫理問題。三つ目のネジまがった広告宣伝姿勢も倫理問題ですが、どっちかというと、その企業の品性、品格の問題と言えましょう。で、薬事法違反とか、詐欺罪とか、明確に法的に問題があると断定できるのは、四つ目の「改ざん」です。一概に「不正!不正!」と言いますが、どの部分のどのレベルの「不正」なのか。冷静に見極めないと、本質を見誤ります。失礼。己(オノレ)を戒めているのです。みなさまも十分、ご注意ください。と書いている途中で武田薬品から本日予定の懇談会中止のお知らせ。急遽、CASE―Jの説明会見に切り替えるそうです。長谷川社長も参加。さすが対応が早いですね。さてどんな内容になるか!行ってまいります!
で写真は近くのスーパーで買った和菓子。ほら、今日ひな祭りじゃないですか(笑)。娘にケーキを買って行ったら「わあ、デブの素(もと)!!ありがとう!!」って喜んでました。アハハ。やれやれ。(^_^;)。ではみなさま。素敵な一週間をお過ごしください!!