ノバルティス日本法人と、印ランバクシーが泥濘(ぬかるみ)からなかなか抜け出せない
「えっ?また?」って感じで続いているマイナス事象が、いま日本の製薬業界に2つあります。ひとつはノバルティスファーマ日本法人の臨床研究にまつわるコンプライアンス違反、そしてもう一つは第一三共の子会社、印ランバクシーに対する米FDAの禁輸措置命令です。それぞれ全く違う問題ではありますが、マネジメントが改善を急いで、引き締めを図れば図るほど、新たな不祥事が発生する。泥縄状態に陥っているという点で共通します。
ノバルティスはディオバン問題で、自社の社員が医師主導臨床研究に深く関わっていた事実が判明し、今後、社員は医師主導臨床研究に一切、関わらないよう社内規定を引き締めていたにもかかわらず、抗がん剤の臨床研究で、またも社員が関わっていたことがわかりました。先週23日の会見は散々でした。【写真・右、会見風景】マネジメントが現場の報告を受けて事実を把握したのは7日なのに公表は17日だった。しかも17日はNHKがこの問題を大々的に報道した日だったから、「報道されなければ公表しなかったのか」という疑念を抱かせてしまいました。同社は「飽くまで自主的に公表した」とのことでしたが、ディオバン問題の最中のことで、なかなか信じてもらえないでしょう。しかも事実を知ったのは7日なのに公表は17日。この間、10日もあります。当然、「隠ぺい工作でもしてたんじゃないか?」という追求を受けます。「7日の段階で、どんな内容の報告を受けていたのか?」という質問に、しっかり応えなかったことも後々、響いてくるでしょう。ただ、一部の記者がヒステリックに怒り始め、本来、事実を追求する場である記者会見が、いつの間にかマネジメントの「吊し上げ」「お説教」の場に化してしまったのは、残念な気がしました。ジャーナリストなんだから批判するなら、冷徹に質問を繰り返し、世に問う記事を書けばいいだけで、別に公開の場で、マネジメントを面罵しても仕方ない。そう思うわけです。
一方、印ランバクシー。第一三共の発表(24日付)によると、米国FDAから4件目の禁輸措置を受けたということです。ランバクシーは08年に第一三共が傘下に治めた後、FDAにボコボコに叩かれています。一旦、解決しそうになりまりましたが、昨夏以降、再びいくつもの工場で「生産体制に問題あり」と指摘を受けています。第一三共の実務スタッフが送り込まれ、改善支援をしているはずですが、手こずっているようです。FDAに目をつけられているのは間違いないんですが、ここまで問題が続けば、現地の生産体制に根本的な問題があるのは明らかです。そこにメスを入れる必要があるんですが、相当な投資がいる。いまさら、どこかに売却することもできないだろうし。。第一三共は、ものすごく高い買い物をしてしまったようです。米国以外の国への輸出は禁止されていないので、当面は、そこでのビジネス拡大で穴埋めをするということになりましょうか。いずれにしても問題解決には、まだ相当の時間がかかりそうです。
で、右の写真は丸ノ内線、四ツ谷駅付近で撮影。太陽の光を背に小さな女の子がヒョッコ、ヒョッコ、後ろ歩きしていました。自分の影が、後からついてくるのがとても面白いらしく、歌を歌ったり、何やら影に話しかけたり(笑)。あまりにかわいいので、いつの間にかシャッターを押していました。平和な日本の、冬の一コマ。気持ちが暖かくなりました。それではみなさま。素敵で楽しい一週間をお過ごしください!!春が来るまで、まだあと1、2か月、寒い日が続きそうです。ご自愛ください。