ディオバン問題は、東京地検の介入で「倫理違反」ではなく「法律違反」がはっきりすれば鎮静化に向かう!

Exif_JPEG_PICTURE ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンの不正論文問題で、滔々、東京地検が動き出します。厚労省の調査でノバルティスが不正な論文と知って、この薬の販促資材を作成し、宣伝広告した可能性が強まったからです。事実なら虚偽・誇大広告を禁止した薬事法第66条に違反する疑いがあるため、厚労省が東京地検に刑事告発したのです。刑事告発というのは、法律違反の疑いがあって、それが懲役や罰金など社会的な刑罰に相当する内容の場合、地検に「捜査してください」と依頼する行為を言います。薬事法は、厚労省が所管する法律ですが、刑事罰相当の違反の捜査は自分たちの権限でできないので、地検にお願いすることになります。薬事法第66条違反で、刑事罰が科せられる場合、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金」となります。罰金は個人、法人いずれにも適用することができますが、懲役は個人のみ。事実上、法人は罰金刑です。ノバルティスは世界でもトップレベルの製薬企業です。厚労省もビビッて刑事告発には腰が引けていたみたいですが、結局、踏み切りましたね。ノバルティス日本法人の上層部は、昨年末辺りから日本のスイス大使館を足繁く訪問していたようですが、告発を阻止することはできなかったようです。

地検の捜査は当然、これまで厚労省や、関連検討会では明確にできなかった「何時だれが何の目的でデータは不正にいじったのか?」という点の解明に向かうでしょう。とはいえ、いかんせん論文のもとになったデータは10年も前の臨床研究です。関係者の記憶も色褪せており、当時の資料も地検でさえ、どこまで真相解明に迫れるか。そう考えると、個人に量刑を科すのは難しい。結局、法人の処分になる、その線が強いでしょう。地検の捜査で刑事罰がはっきりした段階で、厚労省が合わせて行政処分を発する可能性もあります。「行政処分」は、「製造販売業者の許可の取り消し」または「期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止」、要するに一定期間の業務停止です。

で、ディオバン問題。実は、研究者がノバルティスの株を保有していて、それで儲けようとしたとか、不正な研究で死亡者が出たという事実はありません。飽くまで「研究倫理に反した行為」が問題の核なのです。しかし、これがあたかも「人の道を逸脱した極悪な事件」のごとく、昨年来、厳しい報道のやり玉に上がりました。逆に言うと、法律違反の事実、その程度がはっきりせず、あくまで倫理違反の問題だったからこそ、そうなったとも言えます。なぜなら「倫理に時効はない」から。この問題が倫理違反だけであるうちは、いつまでもずっーと、やり玉に上がるわけです。しかし、今回、地検の捜査で、刑事罰が決まれば、罪の重みがはっきりします。だから、その後、報道は、きっと鎮静化するでしょう。

で、写真は都内、散策中に撮影。何の花?わからないのですが、春がもうこっちに向かって歩いて来ているようです。ではみなさま!素敵で充実した毎日をお送りください!!

 

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