【速報】ディオバン問題の処分、ノバルティスだけでいいのか?「関係医師を医道審にかけろ!」という意見も。
ディオバン問題の事実解明を進めていた厚労省の検討会が30日、中間まとめを公表、失墜した日本の医学界の信頼に対する責任は「ノバルティスと大学双方で負うべき」(12頁)と、明記しました。しかし、法的な処分の検討はノバルティス社だけで、大学には触れていません。周知の通り、臨床研究で問題が起きても、現在は罰則がない。しかしながら、何らかの社会的な制裁を求める意見が多いので、ノバルティスには、何とか薬事法の誇大広告違反に引っかけて処分しようと、今後、調査が入ります。また、結果的に不正データをプロモーションに使ってディオバンの売り上げを伸ばしたことから、保険財政への返納を念頭に中央社会保険医療協議会の意見を求めることになっています。ところが大学に対する法的な処分は、中間まとめでは全く触れていません。ちょっと、公平性に欠ける気がするんですが。。。みなさんはどう考えますか?一部、医療関係者の中には「この研究に携わった医師は、患者のためによりよい医療を提供するという医師として最低限の職務を裏切ったのだから、医道審議会にかけるべきだ」という厳しい声も上がっています。 一方、このブログでも再三指摘してきたメディア広告の問題には「専門誌等のメディアにおいても、結果的に今回の事案に関連する企画記事が医療現場等に与えた影響は少なからずあることを十分認識すべきであり、今後の広告のあり方等について十分検討するべきと考える」と明記されました。さてどうなるか。検討会の森嶌昭夫委員長が何度も言っていたように「ここに書いてもやらなきしょうがない」。そうならないように、今後の経緯を見守りたいです。
ノバルティスの二之宮義泰社長は当日午後9時30日に記者会見し、「再発防止に真摯に取り組みます」と、決意表明しました。
で、お知らせです。今回の問題で、ディオバンばかりが売り上げを急速に伸ばしたかに言われますが、実はそうではないのです。ディオバンと同じARBという種類の高血圧治療薬の市場が、日本は異常に大きいのです。7製品あって実質は上位4、5製品がほとんど市場を席巻しているのですが、広告宣伝がハンパじゃない。己(オノレ)はどうも、ここに根本的な「歪み」が生じていると考えております。医薬経済10月1日号に『肥大化した「ARB市場」を斬る』という題名でビシッと書きました。みなさま是非、ご覧ください!!
※写真上から①検討会全景②犯人探しのみに陥りがちの議論を法学者の視点で冷静に見つめ、構造的な欠陥を炙り出す方向で検討会論議をリードした森嶌委員長③会見するノバルティスの二之宮社長。