ディオバン問題に想う
国内で最も大きい高血圧市場で、武田薬品のブロプレスと、熾烈なシェア争いを展開してきたノバルティスファーマのディオバンが論文捏造問題で、揺らいでいます。医師主導治験に、社員が身分を隠して関与していたというのはもってのほかですが、そもそも製薬企業から資金提供を得なければ、試験が実施できないという現状にも問題があります。資金提供しながら、試験デザイン、結果に全く口を出さないメーカーっているんでしょうか?表向き口を出さなくても、態度やふるまいで十分、圧力をかけることは可能です。最終結果の広告宣伝効果は薄くなるかもしれませんが、はじめから堂々と企業と研究機関の共同研究でやればいいのにと思います。しかし、先日、ある業界人にそう話したら「君はまったくわかっていないね。企業と研究機関がフィフティーフィフティーの関係で進める共同研究なんて日本ではなかなかできないんだよ。まずもって、そういう風土がない。だからいまのように曖昧なまま、進めるしかないんだよ」と言われました。しかし、なんとか改善していくべきでしょう。それから、高血圧など生活習慣病領域は、他社製品との差別化を証明するため、企業が資金提供して、いくつもの臨床試験が実施され、次から次に新データが出てくるところです。専門メディアの名を借りた広告ビジネスは、企業から莫大なお金をもらって、こうしたデータを大々的に掲載して、収益を得ています。突き詰めて考えれば、企業のマッチポンプ宣伝の隠れ蓑になっているだけ。果たして、こういうメディアの記事は、果たして社会的にどれほどの価値があるでしょうか。こうしたビジネスモデルも、そろそろ潮時かも知れません。メディア側も自らの足元を、もう一度、確認するべきです。
で写真は麻布の有栖川宮記念公園で撮影。午後17時頃。静かに西日が差し込む小川のせせらぎ。のどかあー!!ではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください。