ボールペン授受さえ、利益相反!?
先日、医学界と製薬業界の利益相反の問題で、とある先生(医師)を取材した際、ハッと気づかされることがありました。釈迦に説法ですが、利益相反とは、お互いにモノや、無償サービスを提供したり、受けたりして、当事者同士が本来の社会的な使命を忘れ、かえって社会に害を与えることです。例えば、ある患者さんがいて、その症状を見るとA社の医薬品投与が最も適切なのに、医師がB社から接待を受けたがために、B社の医薬品を投与する。この時、医師と製薬企業の関係は、患者さんが本来、享受すべき利益に反して、害をもたらしている。利益相反である。ということになります。で、己(オノレ)が取材したのは利益相反に最も厳しい先生。メモを取っている己の手元を見て言うんです。「例えばあなたが使っている、そのボールペン。製薬企業の名前が入っていますね。私は、そういうものを手に取った途端に、呼吸困難に陥るんですよ」と。。。。。くうっー、しまったあー。綺麗に1本取られたあ。そんな感じがしました。ボールペン使っても自分の社会的な使命を歪めなければそれでいいのではないか?そうも思ったんですが。先生は「企業が自社製品を宣伝したいという意図に、乗ること自体、すでに歪んでいるんです」と。。。ボールペン使用も、ランチョンセミナーも、接待も、みんなダメという、お立場でした。いやあ、専門ジャーナリストになって、20年超。もう一度、自身の姿勢、足元を、しっかり確認しなければいけません。とはいえ、ボールペン。「貰わず、使わず」が、できるかどうか。また、すべきかどうか。まだ、はっきり結論が出ていません。今、読んでいる「神の火を制御せよ~原爆をつくった人びと~」(パール・バック著、小林政子訳、径書房)という本の中で、登場人物が科学者の基本姿勢を語るくだりがあります。「我々は命令に服したり命令を下す仕方は知りません。しかし、規律はあります。我々の規律は、人生でもっとも厳しいもの・・・・・・・・自己規制です」(186、7頁)。このくだり。己のこととして受け止めようと思います。
で、写真は先週取材で訪れた東大構内。三四郎池(正式名称は育徳園心字池)です。まったく手入れしていない。そのまんま。ちょっと見は、ジャングル(笑)。しかし、ここは東京のど真ん中。それが却って風情を呼び込んでいるようでもあります。明治時代。夏目漱石の主人公も、このまんまの風景を目に写したことでしょう。ではみなさん。今週も楽しく充実した一週間をお過ごしください!!!