分子標的薬「投網型」から「弓道型」へ

 ファイザーの非小細胞肺がん治療薬「ザーコリ」(一般名=クリゾチニブ)が2月29日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を通過しましたあ~!!今後、薬価収載を経て、おそらく夏までには発売されるでしょう。しかし、適応症は非小細胞肺がん患者、すべてではなく「ALK融合遺伝子陽性」の患者に限定されています。ALK融合遺伝子の陽性患者は、非小細胞肺がんの「2~13%」でしかありません。ですから、逆に言うと87~98%の非小細胞肺がん患者には効かないということになります。2002年に、世界に先駆けて日本で承認され、副作用による死亡例が大問題になったアストラゼネカの非小細胞肺がん治療薬「イレッサ」(ゲフェチニブ)も昨年10月、「EGFR遺伝子変異陽性」患者に使用が限定されました。こちらは、非小細胞肺がん患者の何%を占めるかチトわかりませんが、間違いなく使用患者は、かなり絞り込まれる。逆言うと、分子標的薬は、これまで効かない患者にも投与されてきたわけです。多くの臨床医、医療従事者は「科学は日進月歩だから仕方がないことだ」と言いますが、効きもしないのに効くと信じて副作用に苦しんだ患者もいたわけで、何ともやりきれない気持ちになります。どうあれ、分子標的薬は、遺伝子解析技術の進展とともに、これまでのようにすべての患者をターゲットにする「投網掛け型」から、照準を絞った「弓道型」に変化します。製薬企業の研究開発、マーケティング手法も、劇的に変わるでしょう。

で写真はクラシコ書店の友人、田邉夫妻、そして御愛息のトラちゃん。幸せそうな、ほのぼのショット。1月、同書店主催の新年会で撮影。随分、経ってしまいました。子供は社会の宝です!!覗いてみてください!【クラシコ書店】⇒http://www.clasicoshoten.com/

 

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