ノバルティス・三谷社長のリーダー哲学

 ノバルティスファーマの三谷宏幸社長が「世界で通用するリーダーシップ」(東洋経済新報社、本体1600円)を上梓されました。この本。掛け値なしに面白い!!先週、一気に読み終えました。三谷社長と言えば川崎製鉄、スタンフォード大留学、ボストンコンサルティング、ゼネラルエレクトリック社を経て、ノバルティス社長に就任。日本の製薬企業トップの中でも、異色の経歴の持ち主です。一見すると、振幅が大きく、ひとつひとつの会社につながりを見つけるのが難しいんですが、本書を読むと、みごとにつながっているのがわかります。若い人たち、いや日本人全員に「挑戦せよ!」「狭い殻から飛び出せ!」「世界を見よ!」と訴えています。閉塞感溢れる最近の風潮を一喝、一服の清涼剤に出会った爽快感があります。製薬ビジネスに関する記述は、沢山ありませんが、経営指南書、啓発本として、かなり上質だと思います。なにしろ元気が出ます!!

一部、抜粋させていただきますと・・・・。まずは日本企業の社内評価を厳しく批判⇒年次を経るごとに、そうした狭い世界での“大人の対応”をする人間が増えていくことを私は知ることになる。それどころか、そういうフリをしていたほうが評価されたりもする。まわりの空気を読んで、何を言っているのか、言っていないのか、わからないような言い方で相手を丸めこんでしまう。他人のアイデアを、あたかも自分のアイデアでもあるかのように、堂々と披露したりする。(略)ははーん、と私は思った。こういう連中には逆立ちしても勝てそうにないと。こんな連中に負けたら頭にくるだろうなと思ったけれど、将来の勝負がつき始めていることはすでに見えていた。(33頁)

続いて“日本株式会社”を支えてきた「予定調和」も時代に合わないと、バッサリ。⇒

日本ではビルディングブロックは必要ない。事実ひとつを聞いたら、答えはすぐに出せる。なぜかと言えば、次にブロックを積み上げる場所がすでにわかっているからである。(略)これが“予定調和”だ。一個の事実が決まれば、結論までわかるのだ。これが日本の強さであり、実は弱さにもなっていた(41頁)

自らの出身校、東大教育の限界にも言及しています。⇒

東大の限界だと思っている。東大出身者は“答えがすでにある”偏差値教育の中の最強の勝ち組である。そのバランスのよさゆえに官僚的思考を持ち、かつての歴史にない変化や特殊性を排除することにきわめてたけている。答えはひとつしかない、そうでないものは排除するということを中心に訓練されて来た。残念ながらこういう思考は現在の競争には当てはまらない。(85頁)

で、写真は本書籍の装丁。明日7日はノバルティスの記者会見。久々にお会いできるのが楽しみです。

 

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