アクトス使用制限を巡る考察

  武田薬品の糖尿病治療薬アクトスと、膀胱がん発症リスク。少なくとも使用制限を打ち出したフランス、ドイツ、米国、日本当局は、リスクを認めたと言えます。しかし、以前にも触れましたが、フランス、ドイツの新規患者への投与禁止というのはどうでしょうか?薬には、ベネフィットがあれば、リスクもあるなんてことは、誰だって知っていることです。まるでアクトスには、リスクしかないような措置で、ややヒステリックな印象を受けます。米国、日本は、新規、継続に関わらず、膀胱がん患者だけ禁止、既往歴のある患者には慎重投与という措置を打ち出しています。フランス、ドイツと比べて、非常に冷静で、妥当な気がします。ただ、こうなると、個別患者ごとに、投与のベネフィットとリスクを見極める医師の技能、患者に説明と同意を得る能力が大変、重要になります。日本の先生方、よろしくお願いしますよ!!ところで、この話はともかく、もともと糖尿病とがんは何らかの関係があるのではないかという意見が以前からあるのも事実です。インスリンやSU剤でも、「一部のがんの発症リスクを高める」という発表が過去にもチラホラありました。本当のところ薬が原因なのか、糖尿病そのものが原因なのかわからないのが実情なのです。アクトスも疫学的にリスクがあるとは言え、リスクを生み出す作用メカニズムが科学的に解明されたわけではありません。ひょっとすると、がんの発症リスクを高めているのは薬ではなく、糖尿病かも知れないし、両方かも知れない。まだはっきりわからないわけです。日本糖尿病学会と、日本がん学会が、今年から、両疾患の関係解明に向け、共同で基礎、臨床研究を開始することになりました。結論は数年先になりましょうが、しっかり見守って行きたいです。

で、写真は帝国ホテル、玄関脇の禅庭。あまり目に付くことも無く、ひっそり小さくあります。石が綺麗に掃き清められています。この模様は、「水を表している」とか、「雲を表している」とか、「そうではない何も考えないのが正しいのだ」とか、諸説があるようです。己(オノレ)は黙するのみ。静かにゆっくり息を吐く。

 

コメント

現在のコメント

コメントを書く

 
  (公開されません)
 
 
 
 

 
© 2024 薬新プラザ|医薬品業界の「本質」を発信するサイト