医薬業界ジャーナリズムの閉塞感

 前回、このブログでも紹介しましたが、文藝春秋に載った慶応大、近藤氏のアンチ抗がん剤レポート。かなり話題になっているようです。今度は週刊文春が国立がんセンター研究中央病院の勝俣範之氏ら、専門医の反論を載せました。発刊元は同じ会社なんで、いささかマッチポンプのきらいがないわけじゃないんですが、各方面からの反響がすごいみたいです。私が近藤氏のレポートを、このブログで紹介しただけで、数人の業界人に苦言をいただきました。内容は「あんな批判は取り上げるべきではない」「なぜ、近藤氏の肩を持つのか」というものでした。なぜ、紹介したか。理由は単純です。業界ジャーナリストの立場ですと、企業のみなさまや、専門医の先生からお話を聞く機会が多く、研究開発情報は、どうしても肯定的な見解に偏りがちになります。それに対して、近藤氏の意見は、逆に批判で、わかりやすく新鮮だったから・・・。単純に業界の方々にも、目を通していただきたかったのです。別に近藤氏の肩を持つわけではありません。が、データを基にした批判であり、それなりの説得力があると考えました。情けないことに、私は近藤氏のデータの読み方が「正しい」「間違っている」と判断する統計知識を持ち合わせておりません。しかし、それと全く同様に、企業や専門医が発表するデータが「正しい」「間違っている」と判断することもできないんです。だから、これまで開発データについては聞いた通り右から左に、ただ漫然と情報を流してきただけでした。そういう情報は、それなりにニーズがあり、無意味とはいいません。しかし、記者または編集部の検証も考察もない。相手の言ったまんま。それは、どちらと言えばニュースではなく、コマーシャルでしょう。発信者も、受け手も、なんの疑問も抱かず、それをゴッチャにしてしまっているところに、日本の医薬業界ジャーナリズムの混乱と閉塞感があります。もちろん、批判してりゃいいと言っている訳ではありません。発信者にも、是々非々を判断する検証と考察が必要だと思うのです。ジャーナリズムを標榜しながら、営業部隊が肥大化して威張り腐っている組織は要注意!!タイアップでコマーシャルだけやって、手っ取り早く金儲けしたいなら、広告代理店に鞍替えすべきです。

で、写真は近所を散歩中に撮影。寒梅です。身を切るような寒空の下、春を待たず、どんな花より早く平然と開花しようとしています。厳しく、切なく、神々しいまでの美しさです。      寒梅や 先んずる身に 迷いなし (恭) 

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