【4月2日発・コラム】「ニュース」は全て「異例」だ!報道メディアに蔓延るテンプレ用語

 

 報道メディアの世界で働く者らが、おかしなことに気づかずにテンプレートのように多用する言葉がある。それは「異例」っていう言葉だ。報道メディアは、人が知りえないこと、従来にない出来事をニュースとして発信するのが使命だから、そもそも発信する内容のほとんどは「異例」であって当然なのだ。

 私も20代半ばでこの世界に入り、よちよち歩きを始めた頃、見出しや、結語を見出すのに難儀したり、苦しんだりすると、「まあ、そこそこインパクトが出るからこれでいっか」と考え、浅はかにも「極めて異例」とか、「異例づくめの決定」とか、「異例づくめの改定」とか、「異例づくめの人事」とか、「異例」「異例」、、、と、多発していた時期があった。先輩らもそうだったので「なんとなく引っかかるなあ」と感じながらも「まあいっか。こういうもんなんだろう」と、随分長い間、安易に使っていた。

 しかし、ある日、啓示に打たれたように、ふと気づいた。

 「ニュースって本来、異例なことじゃねえの?」「俺が今回、異例って書くってことは、いつも書いていることは異例じゃない。つまりニュースでもなんでもないことにならんか?」と。。。。

 そもそも人の世、またヒト、生物の進化、技術の発展は、「異例」の事象が積み重なってこそ起こり得るもの。私たちの身体の中でも、外でも絶えず、「異例」なことが起こっている。「固定」はない。その小さな「異例」を察知し、報ずるのが、メディアの役割ーー。「異例」じゃないことなら、そもそも報ずる価値はない。

 例えば昨日、薬新プラザでも報じた田辺三菱の辻本社長の入社式あいさつ。ベンチャーキャピタル(VC)の傘下入りが決まったことから新入社員に「驚いたことだろう」「でも心配しないでいい」という趣旨の発言をした。それをもって、某専門メディアが本日午前、「異例」と表現し、発信していた。これはどうかーー?。何が「異例」なんだーー?VCへの傘下入りが決まって、新入社員を前にしっかり自分の考え、気持ちを伝えたんだから、「誠実」なことであって、「異例」でもなんでもない。VCへの傘下入りにしたって、昨今は敢えて「異例」という言葉を使うほどのことでもない。

 安易に「異例」「異例」で片づけるなといいたい。日本語は深く細やかだ。もっと的確な表現があるはずだ。

 読者の皆さん。メディアで「異例」という表現を見つけたら、それは記者が自分の頭で考え、自分の言葉に落とし込む労力を放棄した結果です。

 

 

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