【8月10日発】医薬品の費用対効果は「どこまで制度化すべきなのか?」 “ジレンマ”に陥る製薬業界 守りながら打つ

 

◆五十嵐中横浜市立大准教授・東大大学院客員教授

みなさんお元気ですか?

さて24年4月の薬価制度改革に向け、中央社会保険医療協議会での議論が始まりました。薬価算定、改定ルールの見直しとともに、今回、大きなテーマとなるのが、「費用対効果評価制度」の見直しです。単純に言うと今の公的制度は、初めに付けた薬価が価値(臨床現場、患者にもたらす恩恵)に見合っているかどうか事後的に評価、検証して、その結果に基づき、薬価を再考、調整しようというものです。対象は、有用性加算(類似薬よりも優れてると評価されたものに上乗せする加算)が付いた新薬に限定されています。しかし、今度の制度見直し論議では早くも「有用性加算が付いていない新薬も対象にすべき」という意見が出ています。製薬業界は、対象範囲の拡大によって「薬価引き下げ」を被る製品が増加することを懸念し、反対姿勢を表明。一方で「引き上げ」条件を緩和するよう求めています。

それとは別に、新薬のモダリティが多様化する中、業界内には、初めの薬価算定の段階で「費用対効果を考慮してもらいたい」という意見もチラホラ出ています。実際、日本製薬工業協会も「価値評価を改善すべき」との見解を示しています。

要するに費用対効果の公的制度を巡り、製薬業界はいわば「“守り”ながら“打つ”」という非常に難しい局面に差し掛かっているのです。

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