【今週の更新予定】5月24日水曜日、26日金曜日の2回です。傑作「代替医療解剖」を読んで思ったこと。

みなさんお元気ですか?

早くも夏が来たのかなーー?そう勘違いするくらい気温が上がったり、下がったり。。。まるで楽器のチューニングをするかのように小幅に寒暖差を繰り返し繰り返して、いつの間にか「夏」が街全体を支配し、カンカンに照り返す。日本列島に夏が来る前はいつもこんなですね。

さて、いま新潮文庫の「代替医療解剖」という本を読んでいます。ここでいう「代替医療」ってのは「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」。ホメオパシーとか、ハーブ療法などを取り上げています。発生の背景、内容、そして科学的検証結果が記されていて、なかなか面白い。もちろん、主流派の医療に照らせば「いかがわしい」だけなのですが、こうした療法発生する背景には、決まって副作用の強い既存療法への“アンチ魂”が横たわっている。あるいは、当時、国際的に対立関係にある国や思想があって「あいつらの医療は使いたくないわ」という対抗心なども影響している。ヒトの世ならではの、ひとつの傾向なのです。

まあ、それはともかく医師、患者、家族が疾患を治したい、健康を維持したいという意欲が高まってこそ、仮説として、ある新療法が生まれる。しかし、情動的に浸りきり、拙速になり過ぎると科学的検証を端折ったり、歪めたりして、ほとんど「信仰対象」のように祭り上げられ、強烈な「いかがわしさ」を発してしまう。

本書は、複数の“代替医療”を上げ、そのひとつひとつについて、発生した時代背景、きっかけを丁寧に説明、さらに一般には理解しづらい二重盲検比較試験の結果と、その検証を、“情感”とか、“好悪”とか、ありがちなヒトの野蛮さを排して、職人技とも言うべき圧倒的な文章力(執筆者だけでなく翻訳者も)で解説してくれる!!!!おそらく科学、数学に疎い文系オタクでも、読書力さえあれば(ない場合は保証しません、笑)、ぐいぐい引き込まれます。まさに「良質の読み物」です。

新しい医療が出現するきっかけは「偶然」という場合もあって、必ずしも経験や試験の積み重ねの延長にのみあるとは言えない。とはいえ、本書を読むと、二重盲検比較試験の設計、実施、検証がいかに大事かー。そしてまた、一度、確立した療法でさえ、臨床データを積み重ねて、絶えず改善、向上を目指す姿勢がいかに大事かー。医療を“情動”“好悪”が支配すると、何が危険で問題かー。。。考えさせられます。

結局、医療の最終消費者である患者の理解、リテラシーがもっとも大事なんではないかと。。。。いまさらですが、そんなことも思いました。

写真は東京丸の内。KITTEの屋上庭園から撮影した東京駅。あんまりうまく撮れませんでした(笑)高所恐怖症に付き(笑)

 

 

 

 

コメント

現在のコメント

コメントを書く

 
  (公開されません)
 
 
 
 

 
© 2024 薬新プラザ|医薬品業界の「本質」を発信するサイト