また出てきた「薬価の毎年改定」論、どこまで本気なの?!もっと腰を据えた提案を。

Exif_JPEG_PICTURE 政府の経済財政諮問会議で、本郷の旧帝大や、民間シンクタンク、財閥系企業のお偉いさんが「薬価の毎年改定」を提案したことが、医療、薬業界でちょっとした話題になっています。己(オノレ)の第一印象は「一体、どこまで腰を入れて出した提案なんだよ。またコケ脅かしかよ?」って感じです。そもそも「毎年改定」。新しい提案ではない。05年にも、散々、議論して、実現できなくて終わった経緯がある。性懲りもなくまた出してきたわけです。

ここでいう薬価とは、医療保険で支払われる医薬品の公定価格です。しかし、医療機関が医薬品を購入する時は、卸と交渉しますので、実際には公定価格より、安く購入します。つまり、医療機関は公定価格より安く買って、後から医療保険から公定価格で支払を受ける。だから実際の購入価格と、公定価格(薬価)に差額が生じる。その差額がそっくり医療機関に入ります。それがいいか、悪いかという議論は、また別のレンジなので、ひとまず置いておきますが、医療保険には「医薬品の公定価格は、できるだけ実購入価に近づけるべき」という考えが基本にあります。だから、その基本に沿って、2年に一回、実購入価を調査して、公定価格を改定します。つまり実購入価は、時の経過とともに、変動するから、それに合わせて公定価格を変えましょうということなのです。

で、改定は、いま2年に一回やります。一旦市場に出した医薬品の価格は下がることはあっても、上がることはないから、改定の度に、公定価格(薬価)も下がり続ける。経済財政諮問会議のお偉いさん達が「毎年改定」を提案するのは「2年に一回じゃなく。毎年やれ。そうすれば公定価格が下がる分、保険財政が楽になるんじゃん」っていうことなんです。でも、薬価を下げて浮いた財源で、保険財政が軽減されているかというと、そんなことないんですよね。薬価を下げて浮いた財源は、お医者さんや、看護師さん、検査技師さん、薬剤師さんの技術料(診療報酬)に回している。だからこそ、いまは薬価改定も、診療報酬改定も2年に一回、同時期にやっている。薬価を下げても、それは診療報酬に行くから、必ずしも医療保険財政が軽減されるわけではないんです。

ですから、お偉いさんが「薬価の毎年改定を実施して保険財政を軽減しよう」と主張するなら、まず「薬価と診療報酬は別物。両者の関係を断ち切ります」と明言し、そのうえで「薬価は毎年改定するけど、診療報酬は2年に一回のままだよ。薬価は下げても、それは診療報酬には回さないよ」とはっきり言うべきなんです。それを言わないで、提案資料に、おっかなびっくり、ちょこっと書いても、日本医師会はじめとする医療団体の反対に合って、また押し返される。へっぴり腰で、ビビりながら提案するなら、出しても意味ないんです。お偉いさん達は、それなりに給与待遇もいいんだら、お国のため、国民のために、もっと腹を据えた、しっかりした提案をして欲しいものです。今回の「毎年改定」の提案は、本当にじっくり考え、過去を検証して出したものなのでしょうか?己には、財務省の入れ知恵としか思えないんです

IMG_0402あと素朴な疑問なんですが、「実購入価を公定薬価に適正に反映させる」という場合、果たして「毎年改定」は最善策なんでしょうか?もっといい方法はないでしょうか?医療機関と卸の交渉が成立し、購入価が決まった段階で、公定価格(薬価)も変えるのが、最も間違いがない正しいやり方でしょう。つまり「公定価格(薬価)」=「購入価格」です。ネット全盛の電脳社会です。不可能とは思えないんですが、いかがでしょうか?どうあれ、いまさら「毎年改定」は、単なる嫌がらせにしかならない気がします。

で、写真上は経済財政諮問会議。内閣府の動画をPC画面上で撮影したので画像粗いです。すみません(汗)。それから下は己の誕生日。愛娘がレストランでパーティーを開いてくれました。最後に、このスィーツが出てきて、父ちゃん、感無量!!!!(泣)幼かった頃、こんな日が来るとは思わなかったです。うれしいもんですね。ちなみに「ちゃん」というのは己の呼称。「父親」の意です(笑)。では皆様、充実した素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

武田薬品の肥満症治療薬オブリーンが、またも薬価収載見送り。「狡猾な製品戦略」、中医協が見抜いてダメ出し。

  Exif_JPEG_PICTURE武田薬品の肥満症治療薬オブリーンが薬価収載されないまま宙に浮いています。昨年9月に製造承認を得て、11月の中央社会保険医療協議会総会にかかったのですが、「体重減少率が2%じゃ、ちょっと走るのと変わらない」「脂質吸収抑制を謳っているに、それをしっかり証明する臨床データがない」などと散々叩かれて出直しを命ぜられました。で、先週4月9日。5か月ぶりに薬価収載の審議があったのですが、審議資料にオブリーンの名前はありませんでした。またも見送りになったのです。

これまで各社が果敢に開発を進めてきた肥満症治療薬のほとんどは、食欲抑制を狙って脳の中枢神経系に作用するものでした。ところがこれだと、うつなど副作用も強く、なかなか市場に出せません。米FDAに却下されて涙をのんだ企業も多い。一方、武田のオブリーンは消化管に作用して脂肪の吸収を抑える。要するに脂肪を吸収せずに、外に出しちゃう。下剤みたいな薬です。もちろん副作用は中枢に作用するものより、少ない。しかし、効き目もイマイチ、となるわけです。しかも同業他社が別名しのぎを削る肥満大国、米国を避けて、日本だけで製品化をもくろんでいました。確かに武田のMRは日本で評価が高いですから、ネシーナ、アクトス、ロトリガなどと「抱き合わせ」で使用を持ちかければ、臨床現場は「あんまり効かないけど、副作用は少ないから、とりあえず使っとくか」となり、使用が増え、武田は儲かるでしょう。しかし、オブリーン。本当に医療保険に不可欠な薬なのでしょうか?

中医協は武田の「狡猾な戦略」を見抜いたかのように、薬価収載(保険適用)をペンディングにしました。次の薬価収載審議は5月。武田のオブリーンは中医協の壁をどう突破するか?

写真、上は中医協の審議風景。下は上野で撮影した屋台。花見客の襲来も、すっかり一段落して静かになった不忍の池の畔に出てた、おでん屋さん。懐かしき昭和の香りプンプンでしょ!?では、皆様、充実した素敵な一週間をお過ごしください!!

 

 

【速報】第一三共が問題児ランバクシーを実質「損切り」、が、“勇気ある撤退“と称賛するのはまだ早い!?

Exif_JPEG_PICTURE 第一三共が品質問題でズーッと悩まされてきたインドの子会社ランバクシーを、同じくインドのサンファーマに実質的に売却することになりました。第一三共が持っているランバクシーの株式63.4%をサンファーマに渡して、代わりに第一三共がサンファーマの株を9%受け取るという株式交換形式です。

08年に、第一三共がランバクシーの株式63.4%を取得した時の費用は約5000億円。一方、サンファーマの株式9%は時価で約2000億円ですから、単純計算で約3000億円の損です。買収以降の体制整備、諸問題でランバクシーに投じてきたその他費用を勘案すると、損額はさらに数千億単位で膨らみます。要するにマイナス覚悟で売り払う「損切り」。とはいえ、ランバクシーが抱える問題がいつ解消できるのか、いまのところ全く不透明で、今後も費用がどんどん嵩む可能性があること。また、それによって第一三共のブランドが揺らぎ、株価が低迷しっぱなしになること。そういう「損失」を考えれば「勇気ある撤退!お見事!」と称賛したくもなります。

ただ、今度のサンファーマとの契約。一部情報によると「株式交換後も、ランバクシーの問題によって生じた費用は、第一三共にも、一定程度の負担義務が生じる」とあります。7日の記者会見では、明らかにされませんでしたが、もしそれが事実であれば、「第一三共はランバクシー問題から、スッキリ解放された」というには早いかもしれません

ともあれ、昨日の記者会見で得た感触からすると、ランバクシー問題に一区切りついたので、次の株主総会では取締役級の人事があるかもしれません。【写真=第一三共の中山讓治社長、7日の記者会見にて】

 

近藤純五郎元厚労事務次官が、ノバルティスSIGN研究で「厚労省は、この程度では動かない」と発言!!

Exif_JPEG_PICTURE2014年度に突入!!第一週から怒涛のごとく、記者会見が押し寄せてきましたあ~。とくに先週は2日は重要案件が目白押し。武田薬品の次期社長、クリストフ・ウェーバー氏の顔見せ会見、サノフィの業績発表、ノバルティスのSIGN研究疑惑の第三者委員会調査報告が数時間差で開かれ、都内3か所を転戦しました。さらに翌日3日はノバルティスの経営陣刷新発表、4日は日本製薬団体連合会・保険薬価研究委員会の14年度薬価制度改革の総括会見で、ものすごく「濃ゆーい」一週間となりました。

どの会見も非常にエポックなのですが、中でも印象的だったのは元厚労事務次官、近藤純五郎氏がノバルティスのSIGN研究疑惑で放った一言。「この程度で厚労省は動かない!」ってやつです(3日付RISFAX参照)。SIGN研究はタシグナの副作用軽減効果を測る患者アンケートで、ノバルティスのMRが、医師に代わって調査票を回収していたことが、調査の信頼性、個人情報保護の観点から「問題だ!」と、なりました。近藤氏は真相を解明する第3者委員会の1委員として、問題点を明らかにし、ノバルティスに反省を促しました。しかし、「薬事法違反で厚労省が調査に動く可能性はあるか?」と記者に問われて、すかさず「動かない」と述べたのです。でまた、その言い回しが長けているんですよ。「この程度で動いていたら、全部(の医師主導臨床研究を対象に調査を)やらないといけなくなる。だから、おそらく無理」というのです。医師主導臨床研究に、深く関与しているのはノバルティスだけでなく、他社も相当程度、関与しているということを知ってのことなんですね。

IMG_0295近藤氏の厚労事務次官在任期間は2001年1月~02年8月まで。その前職の保険局長時代に、取材で大変、お世話になりました。今回の記者会見で、およそ10年ぶりにお姿を拝見。お年は召されましたが、物事の本質を射抜くように輝く、瞳の奥の怜悧な光は、往年のままでした。

で、写真、上は近藤純五郎氏、そして下は近所の荒川土手で撮影。春の到来を喜ぶかのように咲く、小さな青い花。名前はわかりません(笑)。と、ここまで書いたら第一三共からサンファーマとランバクシーの合併会見のお知らせが・・・今週も、忙しくなりそうです!では皆様、素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

武田薬品、エーザイまで広がる臨床研究疑惑、「悪しき慣習」を断ち切り、健全なる産学連携の基盤整備を!【一部修正】

Exif_JPEG_PICTURE  臨床研究を巡る医師と製薬企業の「不適切な関係疑惑」が続々と指摘されています。いわゆるディオバン問題については、先週、厚労省の検討会が報告書をまとめて一定の対応方策が示されましたが、最近になってノバルティスの抗がん剤のタシグナの副作用軽減効果、武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスのイベント抑制効果、エーザイのアルツハイマー治療薬アリセプトと密接に絡む病状進行手法などの研究で、新たな疑惑が浮上しています。「もうどうにも止まらない」って感じ。まだまだ出て来そうです。由々しき状況であるのは間違いないのですが、よくよく考えれば結局のところ、昔は、みんな何の疑いも持たず、悪びれもせず、普通のこととしてまかり通っていた医師と製薬企業の「悪しき慣習」が根底にあるんですよね。だからマスメディアも、ひっぱたき方を間違えると「現在の価値観で過去を裁く」“蛮行”に陥りかねない。っていうか、マスメディアだって、その「悪しき慣習」に乗って、いい思いをしてきた面があるんじゃないの?偉そうに人の批判をするのはいいけど、少しは自分も反省しろよって思うのです。もろろん自戒もこめて。(この辺りのことは医薬経済14年4月1日号にしっかり書きましたので、是非、ご購読ください!)

Exif_JPEG_PICTUREで、なんで、ここにきて「悪しき慣習」が問題になるのか?と考えますと、己(オノレ)は日本でも産学連携が活発化し、個々の研究が社会の注目を浴びるようになったからではないか?と思うのです。調べてみると、実は米国でも、同じような状況がありました。80年にバイドール法ができて以降、利益相反問題が続出するのです。ご承知の通り、バイドール法は、研究者に知的財産という金銭的なインセンティブを与え、その研究成果が速やかに民間企業の製品開発に活かされるよう様々な便宜を認める法律です。この法律で、医師、研究者にビジネスマインドが芽生え、産学連携も活発化しました。一方で、利益相反が絡んだ悲壮な事件がいくつも出てきます。自分が関わる研究を成功させたいがために、無理な治験を進め、被験者を死亡に至らしめたゲルシンカー事件などはその最たるものです。しかしながら、産学連携は活発化し、米国の製薬産業は強くなった。そういう意味で、バイドール法制定を基本とする米国の産業強化策はみごとに成功したのです。

だから、いま日本で一連の臨床研究が問題になるのは産学連携の「幕開け」「黎明期」ではないかと。とかく「けしからん」「けしからん」と叩かれるだけの出来事ですが、敢えてそう言ってみたい。不幸中の幸いですが、いまのところ利益相反で死亡例が出るなど、最悪の事態には陥っていない。だから、今のうちに膿を出し切って健全なる産学連携基盤を整備すべきです

で、写真は先週報告書をまとめた厚労省の「高血圧治療薬の臨床研究事案に関する検討会」(通称、ディオバン検討会)風景。そして日曜日の雨上がり。ベランダから見えた虹。見えますかね?3分間程度の短き出来事でした(笑)。では皆様、素敵で楽しい一週間をお過ごしください!

 

第一三共とアステラス製薬がオープンイノベーション契約を締結、両社の関係に「その先」はないのか?

中山社長第一三共とアステラス製薬が、両社が保有する約40万個の化合物を相互に持ち寄り、相互に活用する契約を締結しました。自社だけの設備、人材、化合物を使って研究開発を行う「クローズドイノベーション」から、数社が知識やシーズ(種)を持ち寄って研究開発の効率を上げる「オープンイノベーション」は海外では珍しくないようですが、日本ではまだまだ定着していません。そういう意味で、第一三共とアステラスの今回の契約締結は国内企業にとって、新たな一歩と捉えることができます。

「研究開発プロセスのひとつ。外部リソースの活用を模索する中で両社の考えが一致した。とくに大騒ぎする話ではないと考えている」(第一三共広報)というのが正式見解です。しかし、どちらも過去に大型合併を経験している企業同士で、これまでも少なからず関わりがあったことから、ジャーナリストという習性上、どうしても「その先」を考えてしまいます。第一三共は三共と第一製薬、アステラス製薬は山之内と藤沢薬品が合併してできたのは周知の通りです。いずれも2005年のこと。

Exif_JPEG_PICTURE2000年初頭は、日本の大手製薬企業同士の合併による「日の丸連合」の創設を期待する空気が蔓延し、各社経営陣は、実現可能性を含めて、色々、シュミレーションをしていました。そうした中、一番初めに具体的なアクションを起こしたのは藤沢薬品。同社は当初、実はエーザイや、三共に声を掛けていたと言われています。しかし、色々あって結果的に藤沢薬品と結ばれたのは山之内製薬だった。で両社の合併で05年4月にアステラス製薬が設立され、数か月後の同年9月、三共と第一が合併して、第一三共が設立された。その翌年6月、今度は第一三共グループが、山之内と藤沢のOTC子会社ゼファーマを傘下に収めました(07年第一三共ヘルスケアに吸収合併)。

と振り返ると、第一三共とアステラスはそれなりに因縁はあるのです。今後、化合物の相互交換で、とてつもなくビックリするブロックバスターが生まれれば、これまた、とてつもなく大きな規模の国内製薬企業が生まれるかも知れない!!などと勝手に想像を膨らませて、胸を躍らせているのは己(オノレ)だけでしょうか?あ、これは飽くまで私の想像。というか妄想です(笑)。第一三共は「そういう考えは全くない」(広報)と一蹴しておりますので、悪しからず。

写真上は第一三共の中山譲治社長、アステラス製薬の畑中好彦社長。それではみなさん。素敵で楽しくかつ有意義な一週間をお過ごしください。

 

 

「14処方制限なんて必要ない!!!」と、米国製薬協のアルバレズ氏が明言、日本の業界も医師会に怯えないで、国民目線に立って、もっと堂々と発言して欲しい!

Exif_JPEG_PICTURE  先週11日に開かれた米国研究製薬工業協会の記者会見で「さすがだな」と感心したことがあります。在日執行委員会委員長(日本での活動のトップ)に就任したばかりのトニー・アルバレズ氏(MSD社長)が、新薬の「14日処方制限」について「改正あるいは撤回」を強く訴えた点です。

ご承知の通り、日本では、新たに臨床現場に登場する医薬品は「向こう1年の間は14日以上処方してはいけない」という規制があります。(これを「14処方制限」と呼びます)。これに対して、アルバレズ氏は「世界中探しても、こんな規制はどこにもない。どんな患者も医師の元を、2週間おきに訪れることを強いる規制で、利便性を損ね費用負担の増加を招いている」と指摘、すでに日本では新薬が出て一定期間は、企業と医療機関が厳重に投与後の状況を追跡する「堅牢な市販後調査」が完備されているので、14日処方制限は「不要」と強調しました。

Exif_JPEG_PICTUREアルバレズ氏の言う通り、14日処方制限があるがために、新薬を使う患者は、2週間に一度、医療機関に通って再診料を払い、薬局で各種技術料を払わなければなりません。こんな面倒くさくて、お金のかかる規制は、もう要りませんよね。医師会からすれば「駄目だ。駄目だ。診療所に、定期的に来て、医師に診せないと危ない!」とでも言うのでしょうが、そんなの「お金が欲しいだけの詭弁だ」ということぐらいもうみんな知ってしまっています。それに、日本の国民だって「自分の健康は自分で管理する」という自律心くらいあります。日本の医師の技術、アドバイスは信頼していますが、なんでもかんでも「あなたの健康は我々医師が守る。だからあんたは黙っていうことを聞いてりゃいいんだ」という極端なパターナリズム(父権主義)は、もう誰も受け付けない時代なのです。

Exif_JPEG_PICTURE14日処方制限の撤廃を訴えたアルバレズ氏。日本の業界団体も気持ちは同じでしょうが、日本医師会の手前もあって、ここまではっきりものが言えません。しかし、それでいいのでしょうか?時には日本医師会と向こうを張ってでも、是々非々で自らの主張を示すべきだと思うのですが、いかがでしょうか?こんなことまで外圧、米国便りでは悲しいです

安倍政権の医療イノベーション政策構想の要、日本医療政策機構の宮田俊男医療政策ユニット長が14日の日本臨床試験研究会で、産学連携が日本で進まず、米国ばかり実績を上げていることを皮肉ってこんなことを言っていました。「日本人はマクドナルドで病気にさせられて、外資の高い抗がん剤買って、手術でダビンチに3億払って、アフラックのがん保険に入る。日本の国民皆保険制度が円の吸い上げ装置になってはいかん」と(笑)。って結構、深刻な現実だと思いませんか?これ。

で写真は会見するアルバレズ氏、下段は日本臨床試験研究会(左から5番目に宮田氏)。それと都内某所から撮影した新宿の夜景。この日小雨が降っていたのでイマイチ。視界がぼやけています。が、それもまたよし、と。それではみなさま、素敵で有意義な一週間をお過ごしください!

 

正念場を迎える武田薬品・長谷川社長、CASE-Jの調査結果次第では進退問題に発展しかねない!!

Exif_JPEG_PICTURE武田薬品が大規模臨床試験CASE-J(同社ブロプレスとファイザーのノルバスクの比較試験)を巡る一連の報道を受けてジョーンズ・デイ法律事務所(所在地:東京都港区)に第三者調査を依頼することになりました。法律事務所としては世界的に有名で信用性が高く、調査能力も高いことから、ジョーンズ事務所に白羽の矢が立ったようです。武田の発表によると、調査には3か月程度かかるということです。同社の株主総会は毎年6月末なので、その前には調査結果が出ることになりましょう。すでに、長谷川社長は、英国GSKから迎え入れる若手クリストフ・ウエーバー氏に代表取締役社長を禅譲し、自分は代表取締役会長に就任する方針を公表していますが、シャンシャン総会で済むでしょうか?CASE-J試験の調査結果次第では進退を問う声が出る可能性があります。おそらくご本人は、「V字回復」に向けた道筋をしっかりつけたうえで、経済同友会の代表幹事の任期が切れる15年4月辺りで、新たな立ち位置を決めようとされていたのではないかと察しますが、そこまで保つのか?微妙な空気も漂っています。

高血圧治療薬市場でブロプレスと熾烈な競争を繰り広げてきたノバルティスのディオバンが、大規模臨床試験の不正でこけた後、ブロプレスの後継品アジルバが、その穴を埋めるようにグングンと売り上げを伸ばし、武田に追い風が吹いているように見えましたが、それも怪しくなってきました。糖尿治療薬ネシーナ、高脂血症治療薬ロトリガとの包括営業をもくろんでいた肥満症治療薬オブリーンが、昨年末、国内で承認されたにもかかわらず、「ホントに医療保険で使うべき薬なのか」と薬価収載に待ったがかかって宙に浮いています。ネシーナも市場拡大再算定で、14年4月から薬価が通常より大きく下げられます。昨年末、日本で15年度、欧米で16、17年度の承認を見込んでいた新しい糖尿病治療薬ファシグリファムは、肝臓へのリスクが払しょくできず、開発中止に追い込まれました。そこに、今回のCASE-Jを巡る疑惑報道です。収益の要である循環器領域では、このところマイナスの出来事が続いています。

で、写真は武田の長谷川社長。武田の社長だけでなく経済同友会の代表幹事として、「日本国のあり方」について考え、製薬業界を超えて発言し、行動する多忙な毎日を過ごされています。己(オノレ)のような凡人から見れば、スーパーマンです。果たしてスーパーマン。この難局をいかに乗り越えるか?では、みなさま、充実した素敵な一週間をお過ごしください。

 

◎加筆修正版【臨時速報】武田がブロプレスで認めたプロモーションコード違反が他社に波及すれば、国内製薬業界の信用度はゼロにまで失墜し、壊滅的なダメージを受ける!!

Exif_JPEG_PICTURE いやあ~、昨日3日に開かれた武田薬品の記者会見はヘビーでした。何がヘビーかって、その内容が。。。

長谷川閑史社長、岩崎真人医薬営業本部長、医薬開発本部の中村浩己日本開発センター部長が、大規模臨床試験「CASE-J」の結果を活用した同社トップ製品「ブロプレス」(一般名=カンデサルタン)のプロモーションに「不適切な点があった」と、謝罪したのです。詳細はRISFAX3月4日号をご覧いただくとして、日本の製薬トップ企業が、日本で一番大きな高血圧治療市場で販売していた国内売上高トップ級、自社品トップのブロプレスで、歪んだプロモーションを実施していたというのですから、衝撃です。

日本製薬工業協会が定めた業界の倫理基準「プロモーションコード」では、しっかりした学術誌に論文として掲載されるまで、医師が行った研究成果を製品プロモーションに使うことを禁じています。にもかかわらず武田は、論文掲載を待たずに、国内の学会で発表があった段階で、CASE―Jの試験結果をプロモーションに使っていました。論文掲載時に、図表に若干の変更があったのに、それも無視していました。

Exif_JPEG_PICTURE岩﨑本部長らは、この点を「プロモーションコード違反だった」と謝罪しました。

でも考えてみると、論文掲載前の研究成果。。。他の企業、他の製品でプロモーションに使ってるケースはありませんか?調べたわけではないですが、かなりあるような気がしますが、どうでしょうか?

 もし今後、他社製品でもボロボロ出てくるようなことになれば「国内製薬業界は自ら作った倫理基準を、平気で破っている」というそしりを免れないでしょう。

 そうなれば日本の製薬業界の品格、品性は地に落ち、信用度ゼロの壊滅的な状態になる可能性があります。そんなことがないようにと、祈るような気持ちを抱えながら、取材を続けます。

でも実はこの問題。一番大事なのはプロモーションが論文掲載前か、後かなんてことじゃないんです。「CASE―Jの試験結果がプロモーションで正しく使われていたかどうか」。そこが一番大事なんです。。

 Exif_JPEG_PICTURE「CASE-J」は、ブロプレスの心血管イベント抑制効果を、ノルバスク(アムロジピン)と比較した医師主導の臨床試験なのですが、武田の期待に反して、差が出なかった。むしろ、ノルバスクの方がほんの少しだけ、効果が高いくらいだった。統計学的に言うと、「同等」というのが精いっぱいの結果だったのです。ところが武田が社内調査で、過去のプロモーション活動や資材を検証すると「一部誤解を与えかねない表現があった」(岩﨑氏)というのです。

実際、己(オノレ)は、過去に際どい専門誌の記事広告を目にした覚えがあります。そこには42か月以上使用するとブロプレスの方が、ノルバスクより効果が上回ると言わんばかりの図表(グラフ)が掲載されていました。こういうものを使って、現場MRが「これは統計学的に認められてはおりませんが、長く使えばブロプレスの方がノルバスクより効果が高くなることが期待できるかも知れないんです」なんてやっていたら、完全にアウトです。もっとも、臨床医とMRのやり取りは、イチイチ記録してはいないでしょうけど。。。

 

  Exif_JPEG_PICTURE少なくとも過去の記事広告、プロモーション資材におかしなグラフが掲載されていないか?研究責任者が、試験結果から外れてブロプレスに有利になるような発言をし、それがそのまま広告記事や資材に掲載されていないか?それはしっかり検証すべきでしょう。武田は近く第三者機関に調査を依頼し、結果が出次第、公表すると確約しました。

 写真は右上から長谷川社長、岩﨑営業本部長、中村日本開発センター部長。さすがにみなさん、歯切れは悪かったです。しかし、ディオバン問題で、メディアの猛攻撃を受けたノバルティスと比べると、記者会見の開催は非常に迅速でした。イチイチ本国にお伺いを立てないと、何もできない外資との差を見せつけた感があります。そこが唯一の救いって言えば救いでしょうか。

 

武田薬品のCASE-Jで相次ぐ疑惑報道、一体、何が問題なのか?今のうちにしっかり整理しておくべきだ!

Exif_JPEG_PICTURE ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンの不正論文問題は、ディオバンのライバル品だった武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスにまで飛び火しました。NHKほか各紙が、カルシウム拮抗剤ノルバスクと比較した大規模臨床試験「CASE-J」(01~05年)で、不正があったのではないか、と報道しております。しかし、医薬品の臨床試験は複雑でなかなか一般の人には、理解しづらい。連日報道が続けば、「なんか悪いことしたみたいだね」っていう印象だけがどんどん広がっていきます。日本人は報道リテラシーが低いので、扇情的な記事を読むと、情緒で受け止めます。だから報道される側は、何もやましいことがなくても、飛んだとばっちりを受ける場合も多々あります。

報道が過熱する前に、何が問題なのか、整理しておく必要があります。一つ目は利益相反(COI)。研究にバイアスがかかりそうな研究者は、その事実を、事前に公表しておく必要があるのですが、それが適正に公表されていたか。二つ目は、統計解析がその研究に最適な手法で実施されていたか。その薬に有利な結果を導くために、普通は使わない手法が使われたりしていないか。三つ目は、研究結果を広告宣伝に使用する際に、その薬があたかも有意に見えるように、統計データの一部だけを大きくしたり、強く目立つように色を変えたり、視覚的なトリックを使っていないか。四つ目がその薬が有意になるように統計解析データを故意にいじくる。いわゆる「改ざん」です。で、問題があった場合、どれも「不正」と言われますが、本来の意味合いはそれぞれ少しずつ違います。一つ目の利益相反と、二つ目の不適切な統計手法は、倫理問題。三つ目のネジまがった広告宣伝姿勢も倫理問題ですが、どっちかというと、その企業の品性、品格の問題と言えましょう。で、薬事法違反とか、詐欺罪とか、明確に法的に問題があると断定できるのは、四つ目の「改ざん」です。一概に「不正!不正!」と言いますが、どの部分のどのレベルの「不正」なのか。冷静に見極めないと、本質を見誤ります。失礼。己(オノレ)を戒めているのです。みなさまも十分、ご注意ください。と書いている途中で武田薬品から本日予定の懇談会中止のお知らせ。急遽、CASE―Jの説明会見に切り替えるそうです。長谷川社長も参加。さすが対応が早いですね。さてどんな内容になるか!行ってまいります!

で写真は近くのスーパーで買った和菓子。ほら、今日ひな祭りじゃないですか(笑)。娘にケーキを買って行ったら「わあ、デブの素(もと)!!ありがとう!!」って喜んでました。アハハ。やれやれ。(^_^;)。ではみなさま。素敵な一週間をお過ごしください!!

 
 
 
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