ノバルティス日本法人と、印ランバクシーが泥濘(ぬかるみ)からなかなか抜け出せない

「えっ?また?」って感じで続いているマイナス事象が、いま日本の製薬業界に2つあります。ひとつはノバルティスファーマ日本法人の臨床研究にまつわるコンプライアンス違反、そしてもう一つは第一三共の子会社、印ランバクシーに対する米FDAの禁輸措置命令です。それぞれ全く違う問題ではありますが、マネジメントが改善を急いで、引き締めを図れば図るほど、新たな不祥事が発生する。泥縄状態に陥っているという点で共通します。

Exif_JPEG_PICTUREノバルティスはディオバン問題で、自社の社員が医師主導臨床研究に深く関わっていた事実が判明し、今後、社員は医師主導臨床研究に一切、関わらないよう社内規定を引き締めていたにもかかわらず、抗がん剤の臨床研究で、またも社員が関わっていたことがわかりました。先週23日の会見は散々でした。【写真・右、会見風景】マネジメントが現場の報告を受けて事実を把握したのは7日なのに公表は17日だった。しかも17日はNHKがこの問題を大々的に報道した日だったから、「報道されなければ公表しなかったのか」という疑念を抱かせてしまいました。同社は「飽くまで自主的に公表した」とのことでしたが、ディオバン問題の最中のことで、なかなか信じてもらえないでしょう。しかも事実を知ったのは7日なのに公表は17日。この間、10日もあります。当然、「隠ぺい工作でもしてたんじゃないか?」という追求を受けます。「7日の段階で、どんな内容の報告を受けていたのか?」という質問に、しっかり応えなかったことも後々、響いてくるでしょう。ただ、一部の記者がヒステリックに怒り始め、本来、事実を追求する場である記者会見が、いつの間にかマネジメントの「吊し上げ」「お説教」の場に化してしまったのは、残念な気がしました。ジャーナリストなんだから批判するなら、冷徹に質問を繰り返し、世に問う記事を書けばいいだけで、別に公開の場で、マネジメントを面罵しても仕方ない。そう思うわけです。

一方、印ランバクシー。第一三共の発表(24日付)によると、米国FDAから4件目の禁輸措置を受けたということです。ランバクシーは08年に第一三共が傘下に治めた後、FDAにボコボコに叩かれています。一旦、解決しそうになりまりましたが、昨夏以降、再びいくつもの工場で「生産体制に問題あり」と指摘を受けています。第一三共の実務スタッフが送り込まれ、改善支援をしているはずですが、手こずっているようです。FDAに目をつけられているのは間違いないんですが、ここまで問題が続けば、現地の生産体制に根本的な問題があるのは明らかです。そこにメスを入れる必要があるんですが、相当な投資がいる。いまさら、どこかに売却することもできないだろうし。。第一三共は、ものすごく高い買い物をしてしまったようです。米国以外の国への輸出は禁止されていないので、当面は、そこでのビジネス拡大で穴埋めをするということになりましょうか。いずれにしても問題解決には、まだ相当の時間がかかりそうです。

Exif_JPEG_PICTUREで、右の写真は丸ノ内線、四ツ谷駅付近で撮影。太陽の光を背に小さな女の子がヒョッコ、ヒョッコ、後ろ歩きしていました。自分の影が、後からついてくるのがとても面白いらしく、歌を歌ったり、何やら影に話しかけたり(笑)。あまりにかわいいので、いつの間にかシャッターを押していました。平和な日本の、冬の一コマ。気持ちが暖かくなりました。それではみなさま。素敵で楽しい一週間をお過ごしください!!春が来るまで、まだあと1、2か月、寒い日が続きそうです。ご自愛ください。

 

 

調剤チェーン、未妥結病院の報酬減算はどう決着するか?14年度改定の総仕上げ論議

Exif_JPEG_PICTURE みなさんお元気ですか?さて14年度、診療報酬・薬価改定論議が、いよいよ総仕上げに入ります。今週から2月上旬までおそらく週二回のペースで中央社会保険医療協議会が開かれ、議論が加速化します。医薬品関係では、他の医療機関と比べて、あまりに大きく収益を延ばしている調剤薬局チェーンや、価格交渉をむやみに引き延ばしている医療機関の報酬減算(マイナス評価)などの論議が残っています。調剤チェーンは株式会社なので、利潤追求は当たり前とも言えるのですが、やはり舞台は公的社会保障の世界。他と比べて突出すれば調整が入るのです。しかし、「24時間調剤」をやっていれば減算対象から外れます。要するに「儲けてもいいけど、しっかり社会貢献して。利潤追求ばかりでなく、社会貢献意識を高めて」というメッセージです。もうひとつの未妥結減算(価格交渉を引き延ばしている医療機関の減算評価)は、「そんなものを導入したら、卸が高い価格で突っ張る。結果、泣くのは医療機関だけだ」という指摘があります。確かに一理あります。価格交渉は卸と医療機関の間でなされるもので、なかなか価格が決まらず長引くのは、必ずしも医療機関のせいばかりではないですからね。いっそ、卸にもなんらかのペナルティを科すとか。何か一工夫いるかも知れません。で、明日21日、講演します。ご興味があればどうぞ!!ってちょっと告知が遅すぎたでしょうか?笑(^_^;)

で、写真は表参道の結婚式場。30年来の親友が結婚しました。うーん。やっぱ結婚式はいい!!プラスのエネルギーが満ち満ちておりました(#^.^#)。終始にこやかで、とても幸せそうな新郎新婦。それを見てたら、心の底から祝福の気持ちがこみ上げてきました。「おめでとう!」。昼からのお酒の酔いも手伝ってか、なんかジーン、その後、ホロってきました。え、なに?何ですと?単なる歳だってぇ〜っ?あ、そうかも。。。って。ほっといてください!!では皆様、素敵な一週間をお過ごしください。風邪が流行っているようです。ご自愛くださいませ!!

 

 

 

ディオバン問題は、東京地検の介入で「倫理違反」ではなく「法律違反」がはっきりすれば鎮静化に向かう!

Exif_JPEG_PICTURE ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンの不正論文問題で、滔々、東京地検が動き出します。厚労省の調査でノバルティスが不正な論文と知って、この薬の販促資材を作成し、宣伝広告した可能性が強まったからです。事実なら虚偽・誇大広告を禁止した薬事法第66条に違反する疑いがあるため、厚労省が東京地検に刑事告発したのです。刑事告発というのは、法律違反の疑いがあって、それが懲役や罰金など社会的な刑罰に相当する内容の場合、地検に「捜査してください」と依頼する行為を言います。薬事法は、厚労省が所管する法律ですが、刑事罰相当の違反の捜査は自分たちの権限でできないので、地検にお願いすることになります。薬事法第66条違反で、刑事罰が科せられる場合、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金」となります。罰金は個人、法人いずれにも適用することができますが、懲役は個人のみ。事実上、法人は罰金刑です。ノバルティスは世界でもトップレベルの製薬企業です。厚労省もビビッて刑事告発には腰が引けていたみたいですが、結局、踏み切りましたね。ノバルティス日本法人の上層部は、昨年末辺りから日本のスイス大使館を足繁く訪問していたようですが、告発を阻止することはできなかったようです。

地検の捜査は当然、これまで厚労省や、関連検討会では明確にできなかった「何時だれが何の目的でデータは不正にいじったのか?」という点の解明に向かうでしょう。とはいえ、いかんせん論文のもとになったデータは10年も前の臨床研究です。関係者の記憶も色褪せており、当時の資料も地検でさえ、どこまで真相解明に迫れるか。そう考えると、個人に量刑を科すのは難しい。結局、法人の処分になる、その線が強いでしょう。地検の捜査で刑事罰がはっきりした段階で、厚労省が合わせて行政処分を発する可能性もあります。「行政処分」は、「製造販売業者の許可の取り消し」または「期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止」、要するに一定期間の業務停止です。

で、ディオバン問題。実は、研究者がノバルティスの株を保有していて、それで儲けようとしたとか、不正な研究で死亡者が出たという事実はありません。飽くまで「研究倫理に反した行為」が問題の核なのです。しかし、これがあたかも「人の道を逸脱した極悪な事件」のごとく、昨年来、厳しい報道のやり玉に上がりました。逆に言うと、法律違反の事実、その程度がはっきりせず、あくまで倫理違反の問題だったからこそ、そうなったとも言えます。なぜなら「倫理に時効はない」から。この問題が倫理違反だけであるうちは、いつまでもずっーと、やり玉に上がるわけです。しかし、今回、地検の捜査で、刑事罰が決まれば、罪の重みがはっきりします。だから、その後、報道は、きっと鎮静化するでしょう。

で、写真は都内、散策中に撮影。何の花?わからないのですが、春がもうこっちに向かって歩いて来ているようです。ではみなさま!素敵で充実した毎日をお送りください!!

 

医薬品産業は既に安倍政権が進める「構造改革」のターゲットに入っている!!

 みなさまあけましておめでとうございます!!2014年に突入しました。自民党が民主党から政権を奪還し、安倍政権が発足してから丸1年経ったことになります。で、今後の医薬品産業政策を予測する際、指標にすべきは、やはり昨年6月に公表された「経済成長戦略」になりましょう。忘れてはならないのは、この成長戦略が18年までの5年間を「緊急構造改革期間」と位置付けていることです。要するに、成長の邪魔になる古い慣習、産業体質などを徹底的に是正するということです。是正のターゲットは「過少投資」「過剰規制」「過当競争」。日本の医薬品産業は大丈夫でしょうか?欧米と比べて企業規模が小さく、それ故1社当たりの研究開発投資額も小さい日本は「過少投資」に当たらないか?国民皆保険制度の現物給付に守られ、特許が切れても長期収載品で十分儲かる日本は「過剰規制」に当たらないか?同じ領域に同じ作用機序の新薬がいくつも出てきてバトルを繰り広げる日本は「過当競争」に当たらないか?まあ、普通に考えれば、ど真ん中。ドンピシャッの大当たりでしょう。急激な変革を嫌う日本社会ですから、構造改革を進めるにしても、ジワジワとゆっくりでしょうけど。

で、14年度薬価制度改革。新薬創出加算は試行継続となったものの、次々回16年度改革では加算対象の見直しが議論の遡上に載ります。特許が切れた医薬品(長期収載品)の薬価引き下げルールも正式に決まりました。後発品も価格帯の集約化で、企業の淘汰が進むかもしれません。医薬品産業は、ずでに構造改革のターゲットになっている。そう考えてもいいのかも知れません。なんだかこういうと、厳しいことばかりのようですが、己(オノレ)はピンチはチャンス。本物と偽物がハッキリする世に中になってきた!!結構なことじゃないか!そう前向きにとらえるべきだと考えます。今週は、団体の賀詞交歓会や記者会見巡り、某企業様での講演もございます。地道に研鑽を重ね、よりよい取材、執筆をする所存です。どうかみなさま。14年度もよろしくお願い致します。

で、写真は初日の出。自宅ベランダで撮影。ギトギトと燃えたぎる黄金の光を見ていると、なんだか全身に力が漲ってきます。ではみなさま14年滑り出しの一週間です。素敵に楽しく、有意義にお過ごしください。

 

大胆な発想の切り替えが今ほど必要な時代はない!!

お元気ですか?残務整理やら、打ち上げやら、大掃除やら、お疲れ様です!!今年も残すところあと1日。完全にカウントダウンに入りましたあ〜!ここに来るまでに、あれもしなければ、これもしなければと画策していたんですが。。。ぜーん、ぜーん。終わっていなーい!!(^_^;)しかあーし、もうジタバタしてもしょうがない。開き直るかしかないですね。ハイ。飲み会だけは、しっかり予定通り皆勤賞を採りたいと思います。 笑 (*^_^*)

さて製薬業界の13年。決して平坦ではありませんでした。医療現場を変える大型新薬はますます出しにくくなっているし、国内では長期収載品への締め付けも強まるばかり。後発品企業も価格帯の集約化で、ブランド力が希薄化し、努力しない企業は市場での存在感を失っていくでしょう。世界最大の市場、米国も、新薬承認のジャッジを引き締めています。日本の製造業を巡っては、イノベーション、イノベーションと掛け声ばかりカッコいいのですが、実際はマイナーチャンジによる時間稼ぎか、人の裏をかく狡すっからいビジネスが幅を利かせているだけで、とくに現状を打破するようなものはありません。要するに煮詰まっているのです。月並みな落ちですが、「大胆な発想の切り替え」が必要な時代です。14年も、その必要性をもっと強く認識することになるでしょう。

写真は明治神宮で数日前に撮影。明日から新年3日間は、きっとここは人の海と化すのでしょう。ということで皆様、本年は大変、お世話になりました!!不束者ですが、どうかひとつ、来年も引き続き、ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください!

 

 

診療報酬改定の数値が消費増税と、政府の「目くらまし」戦法で、例年以上にわけわかんなくなっちゃっている!!

お元気ですか?いよいよ2013年も残すところ数日。で、診療報酬改定の数値が先週決着しましたね。一体これはプラス改定なんでしょうか?マイナス改定なんでしょうか?今回は消費税増税に伴う上乗せ数値もあるので、例年に増してややこしい。各紙の報道によると、医師、薬剤師の技術料(本体)と、薬価材料価格を合わせたいわゆるネット(点数表全体)の数値は、消費税増税分の補填を入れると0.01%プラス、補填を除外すると1.26%マイナス。さらに、医師、歯科医師、薬剤師の技術料だけを見れば、消費税増税分の補填を除いても0.1%プラスということです。わっかりにくーい(>_<)。診療側(医療従事者)、支払い側(医療保険運営者)双方の顔が立つように、わざとプラスともマイナスとも言えるように設定した数値のように思われます。そこに入り組んだ説明を加えて国民を煙に捲く、政府、財務省、厚労省がいつもやる「目くらまし」戦法ですね

しかし、理屈から言えば技術料はわずかにプラスなのに、医薬品の価格引き下げを入れると、全体がマイナスになるわけだから、医薬品が足を引っ張っているということになります。足を引っ張っているというか、医薬品だけが、大きく下がっているともいえますね。きついですね。製薬企業は、新薬をじゃんじゃん出していくしかないです。

今週は中医協の医療費改定論議、ディオバン問題検討会論議が山場を迎えます。さらに忘年会、仕事納めの打ち上げなどなど、きっとジェットコースターに乗っているような毎日になりそうです。振り落とされないようにしっかりやっていきます。こういう時こそ、日ごろの鍛錬の成果が出るというものです(^_^.)

で、写真は大詰めの中医協。そして大雄山 最乗寺(神奈川県南足利市)の一角にある風景。みなさまもさぞお忙しいことでしょう。くれぐれもお体に、お気をつけて。それでは素敵な一週間をお過ごしください!&メリークリスマース!

 

アストラゼネカのベルチ社長が記者会見直後に1社の単独インタビューで語ったこと

 今年4月、38歳(現在39)という若さでアストラゼネカ日本法人のトップに就任したガブリエル・ベルチ社長が先週12日、記者会見で日本事業の堅調な成長ぶりをアピール、向こう1年間で新たに1億ドルを投資し、200人増員する方針を明らかにしました。なかなかの二枚目で、会見も歯切れがいい。「そろそろ時間が来たので」と会見を打ち切ろうとする広報を遮って「いや、まだ少し大丈夫だ」とギリギリまで、質問に応じようとする姿勢にも好感を持ちました。しかし、結局、時間切れで、すべてには応じることはできず、質問を求めて挙手する記者の何人かは回答が得られないまま、お開きとなりました。まあ、こんなことはよくあることなんですが、後で「へっ?何それ!」って思ったことがありました。それはベルチ社長が記者会見直後に、某社の単独インタビューに応じていたことです。1社のインタビューを受けるために、何社もの記者の質問を打ち切って記者会見の幕を閉じたことになります。まあ、どこのインタビューにいつ応じるかはAZの判断ですから、他の弱小企業のジャーナリストは涙を呑むしかないんですが、勘弁してほしいのは翌日見たインタビュー記事の内容。近く国内で激烈な競合が見込まれる糖尿病治療薬SGLT-2阻害薬について「海外での実績があるからうちは大丈夫!!」って、社長が自信を語っているんです。正直、「これって、わざわざ単独インタビューしなきゃ得られない情報なの?記者会見で質問すれば済むレベルの内容じゃない?」って思うんです。記者会見を早々に打ち切らせて単独インタビューの時間を取ってもらったんだから、担当した記者には、もう少し内容の濃い記事をお願いしたいもんですわあ〜。みなさんはどう思われますか?

ところで今週は14年度の診療・調剤報酬、薬価改定が山場を迎えます。情勢に吹き飛ばされんように己(オノレ)もしっかり踏ん張って取材して参りまする!

で、写真はベルチ社長、そして表参道イルミネーション。ブレブレですみません。もう何枚か撮ろうと思ったのですが、電池切れだったんです(>_<)ご勘弁を!!ではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください!

 

日医・鈴木常任理事の暴論に、日薬・三浦副会長が猛然と抗議

  日本医師会の鈴木邦彦常任理事が薬剤師業務を巡って暴言を発し、日本薬剤師会の三浦洋嗣副会長が猛然と抗議するという場面が、先週の中央社会保険医療協議会で立て手続きに2回もありました。論争には他の委員も参戦し、最終的に、いずれも三浦氏に、軍配が上がりましたが、日本の医師を代表する日医の選出委員から、ただ単に職能対立を煽るような発言が飛び出す現状を目の当たりにすると「日本の医療は本当に大丈夫なんだろうか?」と、不安になります。

はじめは12月4日。鈴木氏が「一般名で処方せんを出しても、医師が後発品を勧めたわけではないので、もし一般名処方で薬局が患者に後発品を勧めたら、それは薬剤師の責任だ」と発言、これに対して三浦氏が「意味が分からない。副作用が生じた場合は薬剤師が責任を負えと言ってるのか」と喰いつきました。鈴木氏が要領を得ない答弁を繰り返したため、曖昧なまま終わりそうになりましたが、連合選出の花井十伍氏が「私も鈴木氏の発言には疑問を感じる。医師、薬剤師の連携あってこその後発品使用促進なのに、そういう発言は不安だ。連携して欲しい」と参戦、鈴木氏と同じ日医選出の安達秀樹氏も「医師法でも、処方の責任が医師にあることは明らか。三浦氏が疑問を呈したのは当然のことだ。訂正された方がいい」と鈴木氏に発言撤回を促しました。これを受け鈴木氏はすかさず「その通りでいい」と折れたので、会場の失笑を買いました。

もうひとつは12月6日、薬剤師の病棟業務。前回の診療報酬改定で加算評価した後、患者にとって非常にいい効果が出ていることがわかり、鈴木氏も、その効果を認めたのですが、「さらに評価する(点数を上げる)場合は、調剤報酬の財源でやっていただきたい」と発言したのです。これに対して三浦氏は「診療報酬、調剤報酬は施設に対して支払われている。同じ薬剤師だからと言って、病院薬剤師業務の評価財源を、保険薬局の調剤報酬から捻出すべきという考え方はおかしい」と詰め寄りました。宇都宮啓医療課長が「三浦氏の指摘通り、診療・調剤報酬は施設に支払うものだ」とし、鈴木氏は沈黙。この議論は終わりました。

しかし、こんな低レベルの議論をしていていいんでしょうか?「一般名で処方しても後発品を勧めるのは薬剤師だから医師には責任ない」とか、「病院で仕事していても同じ薬剤師だから、その評価財源は調剤報酬を使え」とか、鈴木氏の発言は明らかに現在の法体系を無視した暴論です。10月まで中医協委員だった山形大学学長特別補佐の嘉山孝正氏がかつて「お金の分捕り合いの議論はよくない。各医療職種が自らのエゴを超えて、患者、国民にとって、より良い医療を実現するには、どういう評価が適切か。中医協では、それを議論すべきだ」と常々、話していたことを懐かしく思い出します。

で、写真は中医協。休憩中の傍聴席です。年末の予算編成に向け、議論もどんどんヒートアップしております!!こうやって観ると、なんだかボクシングの観覧席みたいですね(笑)。もうひとつは日比谷公園にて。銀杏の葉が黄金に輝いてきれいです!!ではみなさま、素敵で楽しい一週間をお過ごしください。

 

武田薬品が“青い目”の次期社長を決定、英GSKのウェバー氏に寄せる期待

 武田薬品がとうとう青い目の社長を迎えることになりました。英グラクソ・スミスクライン(GSK)のワクチン部門トップ、クリストフ・ウェバー氏(47)。日本の製薬企業が外国人を社長にするのは初めてのこと。その昔、先代の武田國男前社長に次期社長候補を聞いたら「まだはっきり決めてない。でも社内に候補がいなきゃ外から持ってくりゃいいんや。別に日本人やなくても。青い目でもいいんや」とおっしゃっていたのを思い出します。ホントに実現しました。ちなみに47歳って若いようですが、外資系企業では珍しくない。あ、日本でも確か手代木功氏の社長就任時(08年)が47歳でした。

で、写真みてください。めちゃくちゃガタイよさそう。まるでフットボールか、野球選手みたい(笑)。ガンガン押してきそう(笑)。まあ、いま日本の製薬企業はどちらかというと研究開発畑で感情を表に出さない至ってクールでそつがない「草食系」ムードの経営者が多いので、ものすごく新鮮です。この姿。気迫が漲っていていいじゃないですか!!(ちなみに広報に「身長どのくらいあるんです?」って聞いたら、「まだ当社にはいないので、わかりかねます」と。。。「目算でもいいですから」ってしつこく聞いたら「すみません。まだ会ったことがございません」とのこと。お忙しいところ、ご対応ありがとうございました。拝)。93年にGSK(当時スミスクライン・ビーチャム)に入社し、11年から同社ワクチン社社長兼CEOでGSKの生え抜きです。長谷川社長がの信頼を寄せるタチ山田氏(本名=山田忠孝、現取締役 チーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサー)がGSKの研究開発部門トップ兼取締役だったのが96〜06年ですから、タチ山田は、ウェバー氏のことを新米の頃から知っていて、成長ぶりを買っていたのかも知れません。ちなみに、一時、次期社長候補と噂があった平手晴彦氏(現コーポレートオフィサー・北アジアコマーシャル責任者)の前身はGSK日本法人専務(07〜10年)でした。偶然かも知れませんが、GSKとの縁が続いていますね。

長谷川閑史社長は、来年6月の株主総会の了承を得て、ウエバー氏を社長兼COO(最高執行責任者)とし、自らは会長兼CEO(最高経営責任者)となり、1年間、ウェバー氏の仕事を見極めたうえで再来年(15年)にCEOの席を譲る考えです。経済同友会代表幹事の任期が15年4月に切れますので、その時に合わせて、財界そして企業経営からきれいに身を引こうと考えていらっしゃるようです。

長谷川氏は03年6月に社長に就任して10年。08年4月、抗がん剤開発で誉れ高い米国ミレニアムを約8800億円で買収、次いで11年5月、新興国への販路確保を狙ってスイスのナイコメッド社を約1兆円で買収しました。製薬業界では過去にない巨額買収で、各社はみんな驚いてぶっ飛びました。でも、なかなか新薬が出ない。営業利益率は過去最高35%超でしたが、いまや8%近くまで落ち込んでしまった。13年3月を「底」に「V字回復」を目指すと公言していたが、必ずしも順調とは言えない。ここ最近は、「そもそも財界活動と社長業の二足のわらじは無理」との批判が、証券アナリストやマスコミのみならず社内からも上がるようになっていました。長谷川社長からすれば「V字回復」に道筋をつけて、次期社長発表、としたかったでしょうが、持たなかった。それでちょっと早いですが、この時期に公表となったと思われます。

ただ、日本の製薬企業経営も、これまでの発想を超えた新しい時代に入るのかも知れません。「かも知れません」と書くのは、武田のケースは確かに新しいが、まだ成功するかどうかわからないからです。ウェバー氏の社長起用の狙いは当然、海外事業強化です。しかし、世界第二位の日本という市場はどうするのか?その特殊性を考慮して、外資系企業の日本法人でさえ、いまなお社長を日本人にする会社が多い。ファイザー、ノバルティスファーマ、中外製薬などがそうです。一方、GSK、サノフィ、MSDなどは日本法人も外国人社長がオペレートしていますが、サノフィのフォシェ前社長がGSKの社長になっちゃったり、GSKのデュノワイエ前社長が英国アストラゼネカの役員になっちゃったり、「それってロイヤリティや、機密保持の点でどうよ」って状況になっちゃっています。外国人社長は、所属企業への関わり方や雇用に関する考え方が根本的に違うのです。武田のウエーバー氏起用を、己(オノレ)は個人的に明るく新鮮なニュースとして受け止めています。しかし、当然ながら、その成否は、時間を掛けてじっくり見極めるべきでしょう。

で、もう一点の写真、タクシー内から撮影。健康保険組合連合会の街宣車(って言っていいですよね、笑)。白川修二専務理事が先日、セミナーで「高齢者医療への拠出金負担で健保連の財政が著しく悪化している。なのに政府は高齢者医療問題を真っ向から議論しようともしない」って訴えていたのを思い出しました。至極、ごもっともな正論でございます。しかし、いまこの時期の街宣活動。診療報酬改定論議で、診療側から「そんなこと言って、街宣車走らせちゃったりして。支払い側、結構、お金あるやない。よこさんかい」とか突っ込まれやしないか?いささか心配です(笑)それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

 

武田薬品工業の広報は、再び「防衛スタイル」に戻ったのか?!

  マスコミやジャーナリストは記者会見や個別取材で、製薬企業の情報を収集しますが、記者会見は、大勢の記者が同時に同じ情報を得ますから当然、独自情報を得るには個別取材しか方法がないわけです。で、広報を通じて取材のお願いをすることが多くなるのですが、長く取材活動を続けていると、広報にも大きく2つのタイプがあるように思います。1つは、可能な限り取材に協力し、取材者にフレンドリーに接する「協力的広報」。もう1つは、表向きフレンドリーに接してるようで、その実、情報はできるだけ出すまい、できるだけ隠そう、とガードする「防衛的広報」です。いまはほとんど前者、要するに「協力的広報」ですが、数社はまだ「防衛的広報」です。武田薬品は、武田國男前社長時代、ガチガチの「防衛的広報」でした。社長の気心が知れた数人のマスコミのお偉方さん。そして何人かの証券アナリストに限って渋々、取材に応じていた。しかし、長谷川閑史社長になって、徐々にオープンになっていった。もちろん、何でもかんでもオープンではありませんでした。「応じろ」「いや応じない」でしばしば激論になりました。ただ、取材の意図、趣旨さえしっかりしていれば、できるだけ協力してやろうというジャーナリストからすれば非常にありがたい前向きな姿勢を感じました。ところがここに来て、また「防衛的広報」に逆戻りしているように思います。広報の中枢にいた数人の方が、最近、営業対策本部に移動してしまったからでしょうか?それとも業績がよくないからでしょうか?先週21日、岩崎真人医薬営業本部長の記事が専門各紙に掲載されました。取材執筆を担当された記者には申し訳ないのですが、各紙の記事を読むと、そんなに大きな違いはない。金太郎飴みたい。そりゃそうですよ。同じ日に、順番に各紙の取材に応じているのですから。こんなのは個別取材に応じているとはいえませんよね。いっそ、記者会見にすればいいのにと思います。武田からすれば「記者もたまに相手にしとかないと、うっせぇからな。面倒だから、同じ日に一機にやって終わりにしゃちゃえ。蒔き餌だ、蒔き餌!」って感覚でしょうか?。。。で、己が、いま武田に聞きたいのは前回、このブログに書いたオブリーンの話。これからどうするの?ってこと。広報に取材をお願いしました。ところが返ってきた回答は「何も話せません。ご了解ください」だけ。理由も説明もなし。まいっちゃいますよ。どうやって了解しますか?断るにしても、もう少し、いいようがあるでしょうが。と思うのでした。武田は、「広報暗黒時代」に戻ったようです。同業他社の広報のみなさんはやめてくださいね。

写真は近くのイタトマで撮影。撮りためた写真がとうとう、底を突き、苦し紛れにコレをアップ。。コーヒーブレイクのケーキとコーヒー。あ、見ればわかりますね(笑)とくに意味はなしです。ハイ。敢えて言えば、一休み一休み!!ってとこですかね。今週も素敵な一週間になりますように!!

 
 
 
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