ディオバンを医療保険制度で裁くのは適切だろうか?

IMG_2253_1    先週10日、中央社会保険医療協議会が、医師主導臨床研究で不正があった高血圧治療薬ディオバンについて「医療保険財政にどれだけ悪影響を与えたか」をテーマに議論しました。残念ながら、己(オノレ)は、出張で傍聴できませんでしたが、医薬経済社RISFAXによると、結局、結論が出ず、継続審議扱いになったようです。そもそも、今の医療保険制度には、企業行動に不正があったからと言って、それを裁くルールはありません。だから、この問題は、かなり難問です。

 

 IMG_2179某先生曰く。「論文の不正は怪しからん。しかし、ディオバンの降圧効果は認められている。また、仮に、ディオバンを使わなかったとしても、別の降圧剤を使っただろう。だから、医療保険財源に悪影響があったとは思えない」。ディオバンを販売するノバルティスを擁護する気はありませんが、すでに薬事法違反で起訴されている案件でもあります。医療保険制度で、罰則を与えることは果たして適切でしょうか?

で、写真は15、四ツ谷でやってたBCTIONというアートイベントで撮影。解体を予定している9階建てビルを占拠して、若い芸術家たちが、好き勝手やっててサイコーに面白かったです!では、みなさま。素敵な一週間をお過ごしください!

IMG_2231_1製薬業界史上最高のセミナーまで、あと1か月!!

 

 

 

武田の長谷川会長が、産業競争力会議で、我田引水の「政商」に成り下がらなかったのは立派!!

 Exif_JPEG_PICTURE武田薬品の長谷川閑史会長(経済同友会代表幹事)が、安倍内閣で経済成長について議論する産業競争力会議のメンバーを降りました。経済同友会で副代表幹事を務める金丸恭文・フューチャーアーキテクト会長兼社長にバトンを渡して、交代という形です。

 武田は11年に1兆円で買収したナイコメッド社の収益力強化、糖尿病治療薬アクトスを巡る米国での約6300億円に上る損害賠償問題、国内臨床研究CASE-J(ブロプレスの有用性試験)を巡る不正プロモーション、中医協における抗肥満症治療薬オブリーンの医療保険適用拒否など課題山積。6月の株主総会ではOBが長谷川氏に「もっと社業に力を注ぐべきだ」と苦言を浴びせる一幕もありました。そんなこんなで、産業競争力会議のメンバー降任となった模様です。

長谷川氏は産業競争力会議で、医薬品業界ではなく、全産業界代表として、最後まで公明正大な姿勢を崩しませんでした。「製薬業界出身なんだから、医療、医薬品関連のテーマに対して、もっと積極的に発言すべきだ」という批判もありました。ただ、己(オノレ)は、自分の出身業界を利するために、“我田引水”根性丸出しで、露骨に規制緩和を叫ぶ「政商」のようなメンバーより余程、ましだったと考える立場です。この6月、長谷川氏が社長から会長となり、新社長ウェバー氏を迎えた武田の動向に注目したいと思います。

ではみなさま、めっきり秋の気配です。有意義かつ素敵な一週間をお過ごしください!!

“製薬部屋”から抜け出し、

発想を広げるセミナー

 

 

非小細胞肺がん患者に朗報、ファイザーのザーコリ使用前検査で新たな選択肢が登場!!

  IMG_1896非小細胞肺がん患者に朗報です。効き目が高いファイザーの治療薬ザーコリを使える機会が広がるかも知れません。ザーコリは非小細胞肺がんで、かつALK融合タンパクが出ている患者に使うと、とても高い効果があります。一方で、がんの薬物治療はどんな薬でも、副作用が強い。だから今、ザーコリの使用が認められているのは、ALK融合タンパクが出ている患者だけに限定されています。問題は、ALK融合タンパクの検査法。これまで医療保険で認められていたのはFISH法という検査だけでした。FISH法は、患者の身体から、がん組織の断片を切って持ってこないと検査できない。ただでさえ、がんで身体的、精神的に弱っている患者にとって大きな苦痛でした。そのうえ、検査で、ALK融合タンパクがないと判断されれば、ザーコリは使えない。患者だけではなく、医師にとっても、悩みの種でした。

しかし、先週8月27日の中央社会保険医療協議会で「免疫組織化学染色法」という新しい検査法を医療保険で使うことが認められました。この検査は、組織片ではなく、細胞(がん病変をこする程度で採れます)だけでALK融合タンパクの有無を検査できるから、患者の身体的、精神的負担はものすごく軽減されます。しかも、従来のFISH法は結果が出るまで1〜2週間かかったけど、免疫組織化学染色法はたった6時間だというのですから、言うこと無しです。患者、医師、ご家族にとって、間違いなく朗報です。

ただ、ザーコリが日本で発売されたのは12年5月29日で、すでに3年も経っています。この検査は、もう少し早く保険で認められても良かったような気がします。

で、写真は江ノ島の海岸。今年の夏。なんか短くないですか?ここ数年、「もう9月に入ったのに、なんでこんなに暑いの?」って状況が続いていたので、ちょっと拍子抜けです。まあ、まだ油断はできませんが、秋には秋の醍醐味がある!!四季をしっかり感じてゆったり楽しめるのも、この国のいいところです。では皆様、素敵な一週間をお過ごしください!!

 ◎セミナー。是非、ご参加ください!!

 

 

 

斬新で!刺激的で!有益な!「製薬ビジネス活性化セミナー」を10月16日(木)に開きます!!!!

ジャーナリスト・井上久男氏

ジャーナリスト・井上久男氏

みなさんお元気ですか?

さて今回は、お知らせです。私が代表を務める㈱薬新の主催で、来る14年10月16日木曜日、第1回・製薬ビジネス活性化セミナー「製薬業界の現状と、自動車業界から学ぶべきこと」を開きます。 講師は私、井高恭彦と、文藝春秋や講談社などが発刊する各種媒体に記事やコラムを配信し、いくつもの著作を持つ、ジャーナリストの井上久男です。

井上氏は自動車、家電、科学技術まで、幅広いテーマを抱えて全国各地を縦横無尽に駆け巡る、スーパージャーナリストです。(※13年1月に放映されたNHKドラマ「メイドインジャパン」の取材協力をしています。その時のインタビューの内容が泣けるくらい素晴らしいので是非とも、ご一読ください)

セミナーの前半は、不肖、私、井高恭彦が、製薬業界の現状と今後、課題について、各社の状況、研究開発、制度・政策の動向などを織り交ぜてお話します。後半は、井上久男氏に、日本の基幹産業である自動車業界の現状と今後、課題について、長年の取材で蓄積したディープな裏話を交えてお話してもらいます。(井上氏の裏話はスゴイ!!絶対他で聞けません(笑))

薬新代表・医薬経済編集委員 井高恭彦

薬新代表・医薬経済編集委員 井高恭彦

製薬業界と自動車業界は基盤、構造が全く異なります。しかし、企業が新たな一歩を踏み出した時に直面する課題と、それを解決するために取るべき戦略、手法には共通点も多いはずです。製薬業界は、いまあらゆる側面で壁にぶち当たり、閉塞感を抱えております。各社が、そこを乗り越えようと懸命に努力されていることも十分承知しております。しかし、今度の壁は、製薬業界という密室の中だけで、思考し、議論し、アクセルを踏み続けるだけでは、乗り越えられそうにありません。

 製薬業界はいま「日本経済を活性化する牽引車」となるよう期待されていますが、そうなるまでの道筋、青写真は全く描けていません。それでは戦後、日本経済を牽引し、広く海外にもビジネスを広げてきた自動車業界は、どうだったのでしょうか?どんな壁にぶち当たり、どう乗り越えてきたのでしょうか?さらに現状は?課題は?将来の姿は?また、製薬業界は、期待通り、今後、自動車業界に勝るとも劣らない活躍ができるのでしょうか?できないのはなぜ?あるいはどうすればできるのか?

今秋開く製薬ビジネス活性化セミナーは、そうした命題に真っ向から斬り込んでいきます。参加のみなさまが、日々の業務に活かせる情報、ヒント満載のセミナーになるよう精一杯、準備致しますので、どうぞ奮ってご参加ください!!!なお、セミナー終了後、立食パーティー形式の交流会がございます。こちらの方も是非ともご参加ください。

◎セミナー詳細は以下をクリックしてください。

 実施要綱申込みフォーム会場地図

 

 

 

MRは「情報提供」だけでなく、「情報収集」でも、もっと活用すべきだ!

Exif_JPEG_PICTURE  みなさんお元気ですか?2014年夏も中盤を過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きます。

というわけで、己(オノレ)は、ちょっと暑さでやられた頭で、業界の方々と暑気払いと称して連日、ビールを飲んでます。先日は、ベテランMRの方と一献。。このブログでも紹介したように、日本のMRは減ると言われながら、全然、減っていない。今後どうなるか?その方は「やっぱり今後は、正社員ではなく、どんどんコントラクトMRに外注するケースが増えるんじゃないか?」と予測し、自らの行く末に不安感、危機感も抱いていました。しかし、己は、MRという職能にはまだまだ未開の領域があるんじゃないかと思っています。MR(メディカルリプレゼンタティブ)は「営業よりも、もっと医薬情報提供に力を入れろ」ということで、90年代初頭に、かつてプロパーと言われた営業マンを衣替えして生まれた職種です。で、ここ20年近く、医療機関への医薬情報提供重視で活動を続けてきた。でも、その活動も、そのうち「プラトー」に達し、結果、MRが減ると。。そういうのが一般的な見方です。確かに医療機関をターゲットにした医薬情報提供は、いつかプラトーを迎えるかもしれません。しかし、社内に対してはどうでしょうか?毎日、医療機関で臨床医と向き合っているMRは、ユーザーからの声を直接吸い上げる「情報収集」の担当者でもあるのです。収集した情報を、社内の研究開発セクションに提供するというのも、MRの仕事として、もっと重視していいのではないでしょうか?「営業気質」のMRと、「学者気質」の研究開発担当者が直接向き合って議論を交わす。そんな場があってもいいのではないでしょうか?全く性質が違う者同士が向き合えば、発想がスパークして、新たなイノベーションが生まれるかも知れません。と、ベテランMRに話したら、キンキンに冷えたジョッキの霜を指で払いながら、「まあ、それに似たようなことはどこもやってますけどね」とつれない返答(苦笑)。。。

めげずに、まとめますとMRには「情報提供」だけでなく、「情報収集」で、もっと活躍する機会を与えるべきではないかと。そんな風に思うビヤガーデンの夜でした(笑)

写真は、近くの公園で撮影。ジーッ、ジーッと鳴くセミ。嫌でも夏の暑さを増長させますが、日本の夏はこれがあってこそ。しかし、この夏もあと1か月くらいでしょう!その後、秋が来て、きっと暑い日々の色々な出来事を、懐かしく振り返ることでしょう。だから、みなさん、今のうちに思いっきり夏の暑さを満喫しましょう!!!素敵で楽しい一週間をお過ごしください!!

 

 

 

ファイザー、ノバルティス、GSKなどの事業再編動向は、間違いなく日本企業にも影響する

Exif_JPEG_PICTURE台風明けの東京の朝は、空碧く、清々しくも風やや強し。湿度、相変わらず高く、「まだまだ続きますわよお」と、微笑み交じりにささやく「日本の夏」に、パチパチとキーワードを叩きながら苦笑いで応える己(オノレ)であります(笑)

で、思えば14年ももう半分も残っていない。日本では「長期収載品をいじめちゃいかあ~ん!」「年一回薬価を下げるなんてもってのほかですぞお!!」と、相変わらず医療保険の中で、いかに医薬品を守るかという論議が続いておりますが、国際マーケットに目を移せば、スイスのノバルティスが英グラクソ・スミスクライン(GSK)の抗がん剤事業を買収する一方で、ワクチンをGSKに売却し、OTCをGSKとの合弁事業化するという大規模な事業スワップを実現させました。さらに、米アッヴィがアイルランドのシャイアーを5兆5500億円で買収することも決定。他にも、カナダのバリアントが、米国アラガンに敵対的買収をかけたり、一旦、白紙に戻りましたが、米ファイザーが英アストラゼネカに買収提案したりで、地殻変動は、間違いなく進行しているのであります。

 

Exif_JPEG_PICTURE一部の動きは、法人税が高い国から、安い国に本社を移す、いわゆる「タックス・インバージョン」が主な狙いだと言われておりますし、ただただ、図体ばかり大きくなっても、実りが少ないことは過去の買収案件で実証されておりますので、今回の一連の動きを見て「ああ、こんなのダァメ、ダァメェ~。邪道、邪道よお~ん」と切って捨てることは簡単でありましょうが、具現化すれば、日本の事業環境も揺らぐことは避けられず、日本企業が全く影響無しで済むは考えられないのでございます。

ここから年末にかけてまだまだ色んなことが起こりそうです。引き続きウオッチを続けます。

で、写真は台風上陸寸前の東武伊勢崎線内。まったりしてていい感じ。下は小さい頃食べたアイス「ガリガリ君」。久しぶりに食べたらおいしかった(笑)100円でおつりがくるのが、なんかうれしかった(笑)。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

日本医師会役員3人をメンバーにした中医協は「日医エゴ」を抑えられるか?安達委員(医師)、三浦委員(薬剤師)が退任し、秋から新体制で議論スタート。

  IMG_1793 先週7月30日の中央社会保険医薬協議会で、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)と三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)が退任しました。中医協の任期1期2年で、最長3期6年務めることができますが、いずれも3期めの途中(4年9か月)での退任となりました。その間、10、12、14年と3回の診療報酬、薬価改定があり、両委員からは議論の過程で色んなことを学ばせていただきました。

09年秋に発足した民主党が日本医師会の推薦で診療側委員を選ぶ従来の方式を廃止。安達委員も三浦委員も、政府の直接指名という形で就任しました。安達委員は、同時期に就任した嘉山孝正委員(13年10月退任、全国医学部長病院長会議相談役)とともに、歯に衣着せぬ正論を展開、事務局(厚労省)や支払い側を何度もやり込めました。時として同じ陣営の診療側委員を諌める場面さえあった。安達委員の主張は、嘉山委員といつも一致していたわけではありませんが、①日医という政治団体の損得、利権に左右されない②真に患者、医療現場の立場に立って発言する―という点で、底通していました。事務局や組織が働きかける水面下での調整にはめったに応ぜす、常に中医協という公開の場で「真剣勝負」を挑む。物言いが分かりやすく、人間味あふれる表現を使う。それでいて、発言ひとつひとつは、全て臨床現場や医療技術の知識、経験に裏打ちされていて精密です。決して感情的になったり、興奮して取り乱したりしない。すごかったです。感激しました。

IMG_1840三浦委員も殻を破りました。薬剤師出身の委員は、これまで日医が何を言っても黙って耐えていましたが、日医の役員があまりに高飛車に振る舞い薬剤師を馬鹿にした誹謗中傷まがいの発言をすると、敢然と立ち向かい、時には逆ネジを食らわしていました。当然と言えば当然のことなんですが、これまでは考えられなかったことでかなりパワーが要ったでしょう。

中医協は次回から新しい委員が加わって議論が始まります。安達委員の退任で診療側の医師枠は日医の役員が3人となり、民主党政権発足前の状態に戻ります。安達委員は退任のあいさつでこういいました。「科学的根拠に基づいた議論は大変、面倒だ。しかし、その手間を省くと、議論は恣意性のあるものにしかならず、行く着く先は政策誘導でしかなくなってしまう。是非、手間を惜しまず、科学的根拠に基づく議論を続けて欲しい」。己(オノレ)も同感です。日医の利権、エゴだけの政策誘導的な議論はやめてもらいたい。引き続き、ウォッチを続けます。

で、写真は新宿と自宅で撮影。上は和菓子屋さん前にあった涼しげな氷。日本の夏ですね。下はきょうの朝食、薬新カフェのモーニング。最近、いかにスクランブルエッグをうまく作るかがちょっとしたマイブーム。へ?なんで、この写真かって?実は、写真がネタ切れ状態なんです(汗)。あははは(笑)すみません。それではみなさま。暑い日が続きますが、お体に気を付けて。素晴らしい一週間をお過ごしください。

 

高血圧治療薬の研究と広告不正疑惑は「大山鳴動してネズミ一匹」?ノバルティスは「消沈」、武田は「ラッキー」で幕引きか?!

IMG_1570 みなさんお元気ですか?先週月曜日は休日だったので、2週間ぶりの更新です!暑い夏を満喫していらっしゃいますか?

さて、高血圧治療薬の臨床研究を巡る一連の不正疑惑騒動で、東京地検特捜部が本格的に動いて、早や5か月が経過しました。しかし、いまのところ起訴されたのはノバルティスの元社員と、ノバルティスだけ。個々の医師とメーカーを結ぶ不適切な金の動きやノバルティスと同様に偽りの広告宣伝を大々的に展開していた武田薬品を追い込むまでには至っていません。しかも、起訴の名目は薬事法違反の「虚偽誇大広告」。罰則は2年以下の懲役か、200万円以下の罰金です。日本最大の犯罪捜査機関、地検特捜部からすれば、ちょっと物足りないのではないでしょうか?おそらく、きっと、何とかして医師と、メーカーを結ぶ金の動きを掴もうと考えていることでしょう。しかし、今後、調査を続けて、どうしても、つかみきれなかったら(実際に、そんな事実がなかったとしたら)、それこそ「大山鳴動してネズミ一匹」。特捜部のモチベーションは低下し、捜査から手を引くかも知れません。そうなれば、武田薬品は、ホッと胸を撫で下ろすでしょうけど。。。果たして、どうなるでしょうか?検事総長が7月上旬に変わったばかりなので、特捜の本格調査も、しばらく中断、再開は8月末とも言われています。引き続き、動向を見守っていきます。

 

 IMG_1589で、写真は「壮大なる自由主義の実験国家」「究極の資本主義国家」「人種の坩堝」、米国にて撮影。上はNYタイムズスクエア。下は、いまこれを書いているブルックリン7aveのカフェ「Tea Lounge」の風景です。このカフェは、いい意味で「テキトー」(笑)。みんな思い思いのスタイルでリラックスしています。ボヘミアンな雰囲気で、すごく気に入りました!!NYは、ほとんどのカフェ、一部、公園でもFree Wifiが飛んでいるので、すごく便利です。では、みなさま、素敵な一週間をお過ごしください。

 

日本MR数はまた増加、「減少する!減少する!」と言われ続けて、数年間。予測通りになる気配なし!

―医師への接待禁止や医療機関の訪問規制強化などによって、日本の製薬業界のMR(医薬情報担当者)数は近く頭打ちとなり、その後減少する―。数年前から、そんな予測がありますが、どうもそうでもないようです。

MR認定センターがまとめた14年版「MR白書」によると、MR総数は6万6752人(14年3月末)で、13年度より1478人ほど増えています。07年度からずっと増え続け、13年度になって149人減ったので「いよいよMR減少時代突入か!?」と思いましたが、盛り返しました。

Exif_JPEG_PICTURE「コントラクトMR(派遣および契約MR)が押し上げてんじゃないの?」とお思いかもしれません。確かに、コントラクトMRは3957人で、前年度より伸びています。しかし、増えたのは764人ほどで、各企業が正社員で増やしている数と変わりません。各社結構、増やしてるんです。「医師への訪問回数が売り上げに直結する」という公式は、崩れておらず、各社もそれを信じているんですね。

とはいえ、世の中も医療現場もどんどん変化して、MRの活動内容も、それに合わせて、変化していかねばなりません。現場MRは、きっと大変でしょう。にもかかわらず、年齢別で見ると、50歳代が8791人、60歳代が1234人、双方合わせて1万人が現場に出ています。この世代は医師への接待攻勢華やかなりし90年代のプロパーを経験しながら、規制でがんじがらめの、いまの窮屈な現場でも、がんばっています。新時代で変えるべきもの、そのまま維持すべきもの。己を虚しゅうしたうえで、自らの経験に照らして、いまを見れば、本来一番、分別が付くはずの世代です(みんながみんなそうではないです。“己を虚しゅうしたうえで”というのがミソです)。しっかり現場を支えて欲しいです。

で、写真は近所を散策中に撮影(ピンボケ失礼!)。巨大マンションに隣接する公園にて。若いお母さんが、赤ちゃんを前に抱えながら、シャボン玉を飛ばして言います。男の子が、それを見上げて、つかもうとしています。子供も楽しそうだったけど、お母さんも相当、楽しそうでした(笑)なんかほのぼの。癒されましたあ~!ではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください!

【注意】この原稿はMR数に誤りがあったため、8月5日付で、一部修正いたしました。

 

 

「製薬業界頼み」の臨床研究は、もう限界!国が、もっと積極的に支援し、医薬品の適正使用につなげるべきだ!!

Exif_JPEG_PICTURE先週、かねて取材でお世話になった若くエネルギッシュな臨床医と久しぶりにお会いし、色んな話をお聞きしました。この先生、いま医薬品を使った医師主導臨床研究を進めてます。で、この研究の結果次第で、医薬品の使用量が減る可能性があります。ある疾患に対する、ある医薬品の投与について「どのくらいメリットがあるのか?」。その必要性を科学的に検証する研究だからです。だから、製薬企業からの支援は、端から期待していない。もちろん、支援があれば喜んで受けるでしょうが、積極的に要請していない。参加医師が、それこそ手弁当で、日常診療の合間を縫って進めている。医療のため、患者のためになる、と考えているからです。これぞ医師主導臨床研究です。で、最近、厚労省の補助金がようやく認められたそうです!!!一度目の申請は落とされたと聞いていたので、どうなることかと気をもんでいましたが、本当によかったです!近く、雑誌、医薬経済の誌上で、しっかり記します。

Exif_JPEG_PICTURE日本が科学研究に注ぐ予算は決して多くない。予算で執行する医療技術への補助金も、基礎研究ばかりで、臨床研究はないがしろにされている感があります。だから医師が臨床研究をやりたいと思っても、なかなかできない。やるなら製薬企業に支援を求めざるを得ない。で、製薬企業は株式会社ですから、完全なるボランティアでは、支援しにくい。とくに収益にマイナスになる研究にお金は出しにくい。臨床研究を巡る、ここ最近の問題は、こういう日本の研究環境が背景にあることを忘れるべきではないでしょう。

国の予算にも限りはありますから、増税に苦しむ一国民として、単純に「もっと研究に金を注げ」とは言いにくいんですが、いまある予算を、もう少し、臨床研究に厚く配分していいのではないでしょうか?製薬企業の支援は期待できないけれど、国民のために、やるべき臨床研究テーマは沢山あるような気がします。例えば、いま問題になっている高血圧治療薬ARB。それから糖尿病治療薬DPP4、SGLT2阻害薬などは、各社がそれぞれ製品を出し、複数のブランドが出ています。一体、どれが一番いいのか?あるいは違いはどこか?直接比較した研究はありません。医師がやろうと思っても、なかなかできないでしょう。かといって製薬企業に支援を求めたら、お金を出した企業の製品にバイアスがかかる。こういう臨床研究を、国がお金を出して、やって欲しいです。

で、写真は先日、カフェの前で見つけたアゲハ蝶。この後、ヒラヒラと優雅に空に舞っていきました。それと、たまたま訪れた商店街で七夕祭りに遭遇!!のどかでほんわかした雰囲気。癒されましたあ~。晴れたり、曇ったり、雨が降ったり。一番、不安定な季節です。みなさん、お体に気を付けて、素敵な一週間をお過ごしください!

 
 
 
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