Posted on 3月 31st, 2014 by IDAKA
臨床研究を巡る医師と製薬企業の「不適切な関係疑惑」が続々と指摘されています。いわゆるディオバン問題については、先週、厚労省の検討会が報告書をまとめて一定の対応方策が示されましたが、最近になってノバルティスの抗がん剤のタシグナの副作用軽減効果、武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスのイベント抑制効果、エーザイのアルツハイマー治療薬アリセプトと密接に絡む病状進行手法などの研究で、新たな疑惑が浮上しています。「もうどうにも止まらない」って感じ。まだまだ出て来そうです。由々しき状況であるのは間違いないのですが、よくよく考えれば結局のところ、昔は、みんな何の疑いも持たず、悪びれもせず、普通のこととしてまかり通っていた医師と製薬企業の「悪しき慣習」が根底にあるんですよね。だからマスメディアも、ひっぱたき方を間違えると「現在の価値観で過去を裁く」“蛮行”に陥りかねない。っていうか、マスメディアだって、その「悪しき慣習」に乗って、いい思いをしてきた面があるんじゃないの?偉そうに人の批判をするのはいいけど、少しは自分も反省しろよって思うのです。もろろん自戒もこめて。(この辺りのことは医薬経済14年4月1日号にしっかり書きましたので、是非、ご購読ください!)
で、なんで、ここにきて「悪しき慣習」が問題になるのか?と考えますと、己(オノレ)は日本でも産学連携が活発化し、個々の研究が社会の注目を浴びるようになったからではないか?と思うのです。調べてみると、実は米国でも、同じような状況がありました。80年にバイドール法ができて以降、利益相反問題が続出するのです。ご承知の通り、バイドール法は、研究者に知的財産という金銭的なインセンティブを与え、その研究成果が速やかに民間企業の製品開発に活かされるよう様々な便宜を認める法律です。この法律で、医師、研究者にビジネスマインドが芽生え、産学連携も活発化しました。一方で、利益相反が絡んだ悲壮な事件がいくつも出てきます。自分が関わる研究を成功させたいがために、無理な治験を進め、被験者を死亡に至らしめたゲルシンカー事件などはその最たるものです。しかしながら、産学連携は活発化し、米国の製薬産業は強くなった。そういう意味で、バイドール法制定を基本とする米国の産業強化策はみごとに成功したのです。
だから、いま日本で一連の臨床研究が問題になるのは産学連携の「幕開け」「黎明期」ではないかと。とかく「けしからん」「けしからん」と叩かれるだけの出来事ですが、敢えてそう言ってみたい。不幸中の幸いですが、いまのところ利益相反で死亡例が出るなど、最悪の事態には陥っていない。だから、今のうちに膿を出し切って健全なる産学連携基盤を整備すべきです。
で、写真は先週報告書をまとめた厚労省の「高血圧治療薬の臨床研究事案に関する検討会」(通称、ディオバン検討会)風景。そして日曜日の雨上がり。ベランダから見えた虹。見えますかね?3分間程度の短き出来事でした(笑)。では皆様、素敵で楽しい一週間をお過ごしください!
Posted on 3月 24th, 2014 by IDAKA
第一三共とアステラス製薬が、両社が保有する約40万個の化合物を相互に持ち寄り、相互に活用する契約を締結しました。自社だけの設備、人材、化合物を使って研究開発を行う「クローズドイノベーション」から、数社が知識やシーズ(種)を持ち寄って研究開発の効率を上げる「オープンイノベーション」は海外では珍しくないようですが、日本ではまだまだ定着していません。そういう意味で、第一三共とアステラスの今回の契約締結は国内企業にとって、新たな一歩と捉えることができます。
「研究開発プロセスのひとつ。外部リソースの活用を模索する中で両社の考えが一致した。とくに大騒ぎする話ではないと考えている」(第一三共広報)というのが正式見解です。しかし、どちらも過去に大型合併を経験している企業同士で、これまでも少なからず関わりがあったことから、ジャーナリストという習性上、どうしても「その先」を考えてしまいます。第一三共は三共と第一製薬、アステラス製薬は山之内と藤沢薬品が合併してできたのは周知の通りです。いずれも2005年のこと。
2000年初頭は、日本の大手製薬企業同士の合併による「日の丸連合」の創設を期待する空気が蔓延し、各社経営陣は、実現可能性を含めて、色々、シュミレーションをしていました。そうした中、一番初めに具体的なアクションを起こしたのは藤沢薬品。同社は当初、実はエーザイや、三共に声を掛けていたと言われています。しかし、色々あって結果的に藤沢薬品と結ばれたのは山之内製薬だった。で両社の合併で05年4月にアステラス製薬が設立され、数か月後の同年9月、三共と第一が合併して、第一三共が設立された。その翌年6月、今度は第一三共グループが、山之内と藤沢のOTC子会社ゼファーマを傘下に収めました(07年第一三共ヘルスケアに吸収合併)。
と振り返ると、第一三共とアステラスはそれなりに因縁はあるのです。今後、化合物の相互交換で、とてつもなくビックリするブロックバスターが生まれれば、これまた、とてつもなく大きな規模の国内製薬企業が生まれるかも知れない!!などと勝手に想像を膨らませて、胸を躍らせているのは己(オノレ)だけでしょうか?あ、これは飽くまで私の想像。というか妄想です(笑)。第一三共は「そういう考えは全くない」(広報)と一蹴しておりますので、悪しからず。
写真上は第一三共の中山譲治社長、アステラス製薬の畑中好彦社長。それではみなさん。素敵で楽しくかつ有意義な一週間をお過ごしください。
Posted on 3月 17th, 2014 by IDAKA
先週11日に開かれた米国研究製薬工業協会の記者会見で「さすがだな」と感心したことがあります。在日執行委員会委員長(日本での活動のトップ)に就任したばかりのトニー・アルバレズ氏(MSD社長)が、新薬の「14日処方制限」について「改正あるいは撤回」を強く訴えた点です。
ご承知の通り、日本では、新たに臨床現場に登場する医薬品は「向こう1年の間は14日以上処方してはいけない」という規制があります。(これを「14処方制限」と呼びます)。これに対して、アルバレズ氏は「世界中探しても、こんな規制はどこにもない。どんな患者も医師の元を、2週間おきに訪れることを強いる規制で、利便性を損ね費用負担の増加を招いている」と指摘、すでに日本では新薬が出て一定期間は、企業と医療機関が厳重に投与後の状況を追跡する「堅牢な市販後調査」が完備されているので、14日処方制限は「不要」と強調しました。
アルバレズ氏の言う通り、14日処方制限があるがために、新薬を使う患者は、2週間に一度、医療機関に通って再診料を払い、薬局で各種技術料を払わなければなりません。こんな面倒くさくて、お金のかかる規制は、もう要りませんよね。医師会からすれば「駄目だ。駄目だ。診療所に、定期的に来て、医師に診せないと危ない!」とでも言うのでしょうが、そんなの「お金が欲しいだけの詭弁だ」ということぐらいもうみんな知ってしまっています。それに、日本の国民だって「自分の健康は自分で管理する」という自律心くらいあります。日本の医師の技術、アドバイスは信頼していますが、なんでもかんでも「あなたの健康は我々医師が守る。だからあんたは黙っていうことを聞いてりゃいいんだ」という極端なパターナリズム(父権主義)は、もう誰も受け付けない時代なのです。
14日処方制限の撤廃を訴えたアルバレズ氏。日本の業界団体も気持ちは同じでしょうが、日本医師会の手前もあって、ここまではっきりものが言えません。しかし、それでいいのでしょうか?時には日本医師会と向こうを張ってでも、是々非々で自らの主張を示すべきだと思うのですが、いかがでしょうか?こんなことまで外圧、米国便りでは悲しいです。
安倍政権の医療イノベーション政策構想の要、日本医療政策機構の宮田俊男医療政策ユニット長が14日の日本臨床試験研究会で、産学連携が日本で進まず、米国ばかり実績を上げていることを皮肉ってこんなことを言っていました。「日本人はマクドナルドで病気にさせられて、外資の高い抗がん剤買って、手術でダビンチに3億払って、アフラックのがん保険に入る。日本の国民皆保険制度が円の吸い上げ装置になってはいかん」と(笑)。って結構、深刻な現実だと思いませんか?これ。
で写真は会見するアルバレズ氏、下段は日本臨床試験研究会(左から5番目に宮田氏)。それと都内某所から撮影した新宿の夜景。この日小雨が降っていたのでイマイチ。視界がぼやけています。が、それもまたよし、と。それではみなさま、素敵で有意義な一週間をお過ごしください!
Posted on 3月 10th, 2014 by IDAKA
武田薬品が大規模臨床試験CASE-J(同社ブロプレスとファイザーのノルバスクの比較試験)を巡る一連の報道を受けてジョーンズ・デイ法律事務所(所在地:東京都港区)に第三者調査を依頼することになりました。法律事務所としては世界的に有名で信用性が高く、調査能力も高いことから、ジョーンズ事務所に白羽の矢が立ったようです。武田の発表によると、調査には3か月程度かかるということです。同社の株主総会は毎年6月末なので、その前には調査結果が出ることになりましょう。すでに、長谷川社長は、英国GSKから迎え入れる若手クリストフ・ウエーバー氏に代表取締役社長を禅譲し、自分は代表取締役会長に就任する方針を公表していますが、シャンシャン総会で済むでしょうか?CASE-J試験の調査結果次第では進退を問う声が出る可能性があります。おそらくご本人は、「V字回復」に向けた道筋をしっかりつけたうえで、経済同友会の代表幹事の任期が切れる15年4月辺りで、新たな立ち位置を決めようとされていたのではないかと察しますが、そこまで保つのか?微妙な空気も漂っています。
高血圧治療薬市場でブロプレスと熾烈な競争を繰り広げてきたノバルティスのディオバンが、大規模臨床試験の不正でこけた後、ブロプレスの後継品アジルバが、その穴を埋めるようにグングンと売り上げを伸ばし、武田に追い風が吹いているように見えましたが、それも怪しくなってきました。糖尿治療薬ネシーナ、高脂血症治療薬ロトリガとの包括営業をもくろんでいた肥満症治療薬オブリーンが、昨年末、国内で承認されたにもかかわらず、「ホントに医療保険で使うべき薬なのか」と薬価収載に待ったがかかって宙に浮いています。ネシーナも市場拡大再算定で、14年4月から薬価が通常より大きく下げられます。昨年末、日本で15年度、欧米で16、17年度の承認を見込んでいた新しい糖尿病治療薬ファシグリファムは、肝臓へのリスクが払しょくできず、開発中止に追い込まれました。そこに、今回のCASE-Jを巡る疑惑報道です。収益の要である循環器領域では、このところマイナスの出来事が続いています。
で、写真は武田の長谷川社長。武田の社長だけでなく経済同友会の代表幹事として、「日本国のあり方」について考え、製薬業界を超えて発言し、行動する多忙な毎日を過ごされています。己(オノレ)のような凡人から見れば、スーパーマンです。果たしてスーパーマン。この難局をいかに乗り越えるか?では、みなさま、充実した素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 3月 4th, 2014 by IDAKA
いやあ~、昨日3日に開かれた武田薬品の記者会見はヘビーでした。何がヘビーかって、その内容が。。。
長谷川閑史社長、岩崎真人医薬営業本部長、医薬開発本部の中村浩己日本開発センター部長が、大規模臨床試験「CASE-J」の結果を活用した同社トップ製品「ブロプレス」(一般名=カンデサルタン)のプロモーションに「不適切な点があった」と、謝罪したのです。詳細はRISFAX3月4日号をご覧いただくとして、日本の製薬トップ企業が、日本で一番大きな高血圧治療市場で販売していた国内売上高トップ級、自社品トップのブロプレスで、歪んだプロモーションを実施していたというのですから、衝撃です。
日本製薬工業協会が定めた業界の倫理基準「プロモーションコード」では、しっかりした学術誌に論文として掲載されるまで、医師が行った研究成果を製品プロモーションに使うことを禁じています。にもかかわらず武田は、論文掲載を待たずに、国内の学会で発表があった段階で、CASE―Jの試験結果をプロモーションに使っていました。論文掲載時に、図表に若干の変更があったのに、それも無視していました。
岩﨑本部長らは、この点を「プロモーションコード違反だった」と謝罪しました。
でも考えてみると、論文掲載前の研究成果。。。他の企業、他の製品でプロモーションに使ってるケースはありませんか?調べたわけではないですが、かなりあるような気がしますが、どうでしょうか?
もし今後、他社製品でもボロボロ出てくるようなことになれば「国内製薬業界は自ら作った倫理基準を、平気で破っている」というそしりを免れないでしょう。
そうなれば日本の製薬業界の品格、品性は地に落ち、信用度ゼロの壊滅的な状態になる可能性があります。そんなことがないようにと、祈るような気持ちを抱えながら、取材を続けます。
でも実はこの問題。一番大事なのはプロモーションが論文掲載前か、後かなんてことじゃないんです。「CASE―Jの試験結果がプロモーションで正しく使われていたかどうか」。そこが一番大事なんです。。
「CASE-J」は、ブロプレスの心血管イベント抑制効果を、ノルバスク(アムロジピン)と比較した医師主導の臨床試験なのですが、武田の期待に反して、差が出なかった。むしろ、ノルバスクの方がほんの少しだけ、効果が高いくらいだった。統計学的に言うと、「同等」というのが精いっぱいの結果だったのです。ところが武田が社内調査で、過去のプロモーション活動や資材を検証すると「一部誤解を与えかねない表現があった」(岩﨑氏)というのです。
実際、己(オノレ)は、過去に際どい専門誌の記事広告を目にした覚えがあります。そこには42か月以上使用するとブロプレスの方が、ノルバスクより効果が上回ると言わんばかりの図表(グラフ)が掲載されていました。こういうものを使って、現場MRが「これは統計学的に認められてはおりませんが、長く使えばブロプレスの方がノルバスクより効果が高くなることが期待できるかも知れないんです」なんてやっていたら、完全にアウトです。もっとも、臨床医とMRのやり取りは、イチイチ記録してはいないでしょうけど。。。
少なくとも過去の記事広告、プロモーション資材におかしなグラフが掲載されていないか?研究責任者が、試験結果から外れてブロプレスに有利になるような発言をし、それがそのまま広告記事や資材に掲載されていないか?それはしっかり検証すべきでしょう。武田は近く第三者機関に調査を依頼し、結果が出次第、公表すると確約しました。
写真は右上から長谷川社長、岩﨑営業本部長、中村日本開発センター部長。さすがにみなさん、歯切れは悪かったです。しかし、ディオバン問題で、メディアの猛攻撃を受けたノバルティスと比べると、記者会見の開催は非常に迅速でした。イチイチ本国にお伺いを立てないと、何もできない外資との差を見せつけた感があります。そこが唯一の救いって言えば救いでしょうか。
Posted on 3月 3rd, 2014 by IDAKA
ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンの不正論文問題は、ディオバンのライバル品だった武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスにまで飛び火しました。NHKほか各紙が、カルシウム拮抗剤ノルバスクと比較した大規模臨床試験「CASE-J」(01~05年)で、不正があったのではないか、と報道しております。しかし、医薬品の臨床試験は複雑でなかなか一般の人には、理解しづらい。連日報道が続けば、「なんか悪いことしたみたいだね」っていう印象だけがどんどん広がっていきます。日本人は報道リテラシーが低いので、扇情的な記事を読むと、情緒で受け止めます。だから報道される側は、何もやましいことがなくても、飛んだとばっちりを受ける場合も多々あります。
報道が過熱する前に、何が問題なのか、整理しておく必要があります。一つ目は利益相反(COI)。研究にバイアスがかかりそうな研究者は、その事実を、事前に公表しておく必要があるのですが、それが適正に公表されていたか。二つ目は、統計解析がその研究に最適な手法で実施されていたか。その薬に有利な結果を導くために、普通は使わない手法が使われたりしていないか。三つ目は、研究結果を広告宣伝に使用する際に、その薬があたかも有意に見えるように、統計データの一部だけを大きくしたり、強く目立つように色を変えたり、視覚的なトリックを使っていないか。四つ目がその薬が有意になるように統計解析データを故意にいじくる。いわゆる「改ざん」です。で、問題があった場合、どれも「不正」と言われますが、本来の意味合いはそれぞれ少しずつ違います。一つ目の利益相反と、二つ目の不適切な統計手法は、倫理問題。三つ目のネジまがった広告宣伝姿勢も倫理問題ですが、どっちかというと、その企業の品性、品格の問題と言えましょう。で、薬事法違反とか、詐欺罪とか、明確に法的に問題があると断定できるのは、四つ目の「改ざん」です。一概に「不正!不正!」と言いますが、どの部分のどのレベルの「不正」なのか。冷静に見極めないと、本質を見誤ります。失礼。己(オノレ)を戒めているのです。みなさまも十分、ご注意ください。と書いている途中で武田薬品から本日予定の懇談会中止のお知らせ。急遽、CASE―Jの説明会見に切り替えるそうです。長谷川社長も参加。さすが対応が早いですね。さてどんな内容になるか!行ってまいります!
で写真は近くのスーパーで買った和菓子。ほら、今日ひな祭りじゃないですか(笑)。娘にケーキを買って行ったら「わあ、デブの素(もと)!!ありがとう!!」って喜んでました。アハハ。やれやれ。(^_^;)。ではみなさま。素敵な一週間をお過ごしください!!
Posted on 2月 24th, 2014 by IDAKA
日本薬剤師会会長選は山本信夫氏(前副会長、東京都薬剤会会長、写真右上)が現職の児玉孝氏を破って当選しました。獲得票数は出席代議員149人中89票でした。児玉氏に60票、流れていることからすれば、これを大差と言っていいかどうか。微妙な数です。少なくとも、選挙直前に「山本氏が圧倒的優勢」と、煽り立ててた観測記事は見事に外れたと言っていいでしょう。というか、そういう記事が出たからこそ、終盤、児玉陣営の強烈な巻き返しに合って、浮動票が動いたのかも知れません。まあ、それはともかく、山本新体制。なんとかがんばって欲しいです。今回の選挙、東西対決なんて言われてましたが、いま薬局、薬剤師が抱えている政策課題に東も西もないですから。将来に禍根を残さないような人事、政策運営を期待します。
で写真(右下)は外苑前。ライブハウス南青山MANDALAが入っているMRビルの全景。なんでMRというのか?その由来はわかんないんですが、夜になるとロゴが黄色く光ってきれいです。夜遅くまで仕事して帰路に着くMRさんが、これを観たらホッとするんじゃないでしょうか?それではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 2月 17th, 2014 by IDAKA
さて2月も終盤を迎えます。医薬関連では診療報酬改定の答申も終わり、後は薬価改定告示を待つばかりですが、その前に、医薬品と関わりの深い職能、薬剤師のリーダーを決めるイベントがあります。23日(日曜日)の日本薬剤師会会長選挙です。現職の児玉孝会長(大阪府薬出身)と、東京都薬の山本信夫(前日薬副会長)の“一騎打ち”です。選挙は、ある種、お祭りですから、マスコミ的には「東西対決」と、面白おかしく書立てなきゃならんわけですが(メディアもビジネスですから。すみません。笑)、今回の日薬会長選。傍から見ると、輪郭が不鮮明で、全くシマリがありません。理由は簡単、児玉氏と山本氏の政策的な主張がはっきりしない。当然ですが、2人の主張の違い。いわゆる“争点”がほとんど見えない。選挙なのに、“争点”が見えないという不可解な状況になっています。児玉氏は「閉塞感の打破」、山本氏は「医療関連職種や行政との良好な関係構築」なんて、今時、中学生の生徒会長選挙でも使わない、気合だけの、しょぼいスローガンを掲げております。ホントは政策的な主張は丸っきり同じで、“争点”はないんじゃないでしょうか?じゃなんで選挙するの?って思ってしまうわけです。で、聞こえてくるのは会館建設がどうたらこうたらとか、どこの誰と誰が仲悪いとか、あいつはあいつが好きだ嫌いだ、とか、そんな町内会のオバちゃんの井戸端会議みたいな話ばっかしです。日本の医療人、薬の専門家としての大局観がないんです。挑戦者であるはずの山本氏でさえ、この期に及んで「他団体との良好な関係づくり」なんて、古き良き55年体制回帰の事なかれ主義的なことを言ってるんですから、「まじっすか?そんな弱気でいいんですか?大丈夫ですか?」って聞きたくなります。せめて「薬の専門家として医師と同等に患者と向き合う」とか、「代替調剤に向けて一歩を踏み出す」とか、「調剤だけの拝金主義からの決別」くらい言って欲しいものです。
これからの医療、在宅、介護、健康づくりで、薬局そして薬剤師の活躍が期待されているのは間違いありません。それだけに日本薬剤師会の会長は学閥、人閥、地域閥、私的な遺恨、嗜好の違いに囚われない「大きな器」、そして組織を引っ張り、理想を現実化する「実効力」が問われます。で、今回のお二方。どちらがふさわしいでしょうか?直接投票権を持っている日薬の代議員は確か150人。しかし、薬剤師会会員10万人もいます。選挙は代議員だけのものではないはずです。会員一人一人が真剣に考える時期が来ています。とはいえ、いまのような選挙状況では「誰がやっても同じ」「勝手にしてくれよ」って思っちゃっても仕方がないかもですね。
で、写真は先週のバレンタインデーで、娘に貰った手作りのチョコレートケーキ。少しだけラム酒を染み込ませたパウンドを、チョコレートでコーティングしてあります。見栄えも味もなかなかの出来でありました!!素晴らしい!!って親バカですかね(笑)それではみなさん。素敵で楽しい一週間をお過ごしください。
Posted on 2月 10th, 2014 by IDAKA
みなさん、お元気ですか?東京は大雪でしたね。45年ぶりとのことですが、己(オノレ)はあまりに幼くて前回は覚えてません(笑)。さて、4月の薬価改定を前に実施する厚労省と製薬企業のヒアリングが、ほぼ終了しました。いまは改定ルールがすべて明文化されておりますので、あんまりもめごとはないと聞きますが、御社製品の薬価はいかがでしたか?
で、改定後、やはりもっとも注目されるのは、いわゆる長期収載医薬品(特許が切れた先発品)と、後発品の動きです。
飾らないお人柄と、奢らない自然な振る舞いで、いまや業界人気急上昇の城克文課長が、そこここで「オーソライズドGE(先発品メーカーが後発品専業メーカーに先駆けて、自ら市場に送り出す自社製品の後発品)が出しやすくなる」「長期収載品、後発品は厳しい」と発言し、業界でも話題騒然です。僭越ながら、己も城課長の見立てに賛成です。しかし、そこまでいくまでには、さらに、いくつかの状況あるいは環境変化が必要なのではないか、とも考えております。今週発刊する医薬経済2月15日号に詳細を書きます。是非とも、ご購読ください。と言うわけで、原稿、原稿!!
で写真は新宿。大雪が降った8日、東口の郵便ポストに小さな雪だるまを見つけました!!ところがその翌日。16年ぶりに再会する大親友との飲み会で、再度、新宿を訪れたら、雪だるまは、もうすっかり跡形もなくなっていました。本当に、気持ちがいいくらい、思いっきり降って、きっぱり上がった大雪でした。では、みなさん。素敵で楽しい一週間をお過ごしください!
Posted on 2月 3rd, 2014 by IDAKA
製薬企業各社の第3四半期決算。どこもなかなかいいようです。円安で海外売上高が膨らみ、少々のマイナス要素は吹き飛ばしています。大きく言えば、これもアベノミクス効果といえましょう。この傾向は、しばらく続くんでしょうね。さらに第4四半期は、海外のみならず、国内売上高も順調に伸びる、との見方もあります。保険薬価(以下、薬価)の改定前は、通常、医療機関の買い控えがあって国内売上高は鈍化するのが常ですが、今回は、その買い控えが、和らぐのではないかとの考えがあります。
医療機関は、医薬品卸やメーカーから医薬品を買って、保険者に購入費の支払いを請求、保険者は、医薬品ごとに定められた薬価を、購入費として医療機関に支払います。実際に医療機関が購入した価格は、薬価より安いんですが、その差(薬価差益)は丸々、医療機関のものになります。
しかし、2年に1度、薬価改定では、ほとんどの医薬品の薬価が下がります。ですから「できるだけ安く医薬品を買いたい」と考える医療機関からすれば、改定前の高い薬価で買うより、4月の改定を待って、安い薬価で医薬品を買う方がいいわけです。だからいつもなら、1〜3月は買い控えが起きる。
しかし、今回は消費税が4月から現行5%から8%に上がります。当然3ポイント分の増税率は、4月から薬価に上乗せされます。だから、もし、1〜3月に消費税5%で買った医薬品を4月以降に請求すれば、医療機関は3ポイントの「お得」になるというわけです。まあ、薬価自体が下がるわけですから、厳密に言えば、3ポイントは割りますが。。。薬価があんまり下がりそうもないものは、今のうちに買って、4月以降に請求すればある程度、得になる。と、そういうわけです。こうした行為は、決していいことではありませんが、目端の利いた医療機関ならやりかねませんね。各社の第4四半期決算に注目したいです。
で、写真は先日、取材で訪れたアジュール竹芝の最上階にあるレストランで撮影。ランチをしていたら、目の前に東京湾。海面に船が美しい曲線を描いていました。気温の変動が激しい今日この頃。春の足音が近くなったり、遠のいたりしているようです。みなさま、お体に気を付けて。素敵な一週間をお過ごしください。