MRは「情報提供」だけでなく、「情報収集」でも、もっと活用すべきだ!

Exif_JPEG_PICTURE  みなさんお元気ですか?2014年夏も中盤を過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きます。

というわけで、己(オノレ)は、ちょっと暑さでやられた頭で、業界の方々と暑気払いと称して連日、ビールを飲んでます。先日は、ベテランMRの方と一献。。このブログでも紹介したように、日本のMRは減ると言われながら、全然、減っていない。今後どうなるか?その方は「やっぱり今後は、正社員ではなく、どんどんコントラクトMRに外注するケースが増えるんじゃないか?」と予測し、自らの行く末に不安感、危機感も抱いていました。しかし、己は、MRという職能にはまだまだ未開の領域があるんじゃないかと思っています。MR(メディカルリプレゼンタティブ)は「営業よりも、もっと医薬情報提供に力を入れろ」ということで、90年代初頭に、かつてプロパーと言われた営業マンを衣替えして生まれた職種です。で、ここ20年近く、医療機関への医薬情報提供重視で活動を続けてきた。でも、その活動も、そのうち「プラトー」に達し、結果、MRが減ると。。そういうのが一般的な見方です。確かに医療機関をターゲットにした医薬情報提供は、いつかプラトーを迎えるかもしれません。しかし、社内に対してはどうでしょうか?毎日、医療機関で臨床医と向き合っているMRは、ユーザーからの声を直接吸い上げる「情報収集」の担当者でもあるのです。収集した情報を、社内の研究開発セクションに提供するというのも、MRの仕事として、もっと重視していいのではないでしょうか?「営業気質」のMRと、「学者気質」の研究開発担当者が直接向き合って議論を交わす。そんな場があってもいいのではないでしょうか?全く性質が違う者同士が向き合えば、発想がスパークして、新たなイノベーションが生まれるかも知れません。と、ベテランMRに話したら、キンキンに冷えたジョッキの霜を指で払いながら、「まあ、それに似たようなことはどこもやってますけどね」とつれない返答(苦笑)。。。

めげずに、まとめますとMRには「情報提供」だけでなく、「情報収集」で、もっと活躍する機会を与えるべきではないかと。そんな風に思うビヤガーデンの夜でした(笑)

写真は、近くの公園で撮影。ジーッ、ジーッと鳴くセミ。嫌でも夏の暑さを増長させますが、日本の夏はこれがあってこそ。しかし、この夏もあと1か月くらいでしょう!その後、秋が来て、きっと暑い日々の色々な出来事を、懐かしく振り返ることでしょう。だから、みなさん、今のうちに思いっきり夏の暑さを満喫しましょう!!!素敵で楽しい一週間をお過ごしください!!

 

 

 

ファイザー、ノバルティス、GSKなどの事業再編動向は、間違いなく日本企業にも影響する

Exif_JPEG_PICTURE台風明けの東京の朝は、空碧く、清々しくも風やや強し。湿度、相変わらず高く、「まだまだ続きますわよお」と、微笑み交じりにささやく「日本の夏」に、パチパチとキーワードを叩きながら苦笑いで応える己(オノレ)であります(笑)

で、思えば14年ももう半分も残っていない。日本では「長期収載品をいじめちゃいかあ~ん!」「年一回薬価を下げるなんてもってのほかですぞお!!」と、相変わらず医療保険の中で、いかに医薬品を守るかという論議が続いておりますが、国際マーケットに目を移せば、スイスのノバルティスが英グラクソ・スミスクライン(GSK)の抗がん剤事業を買収する一方で、ワクチンをGSKに売却し、OTCをGSKとの合弁事業化するという大規模な事業スワップを実現させました。さらに、米アッヴィがアイルランドのシャイアーを5兆5500億円で買収することも決定。他にも、カナダのバリアントが、米国アラガンに敵対的買収をかけたり、一旦、白紙に戻りましたが、米ファイザーが英アストラゼネカに買収提案したりで、地殻変動は、間違いなく進行しているのであります。

 

Exif_JPEG_PICTURE一部の動きは、法人税が高い国から、安い国に本社を移す、いわゆる「タックス・インバージョン」が主な狙いだと言われておりますし、ただただ、図体ばかり大きくなっても、実りが少ないことは過去の買収案件で実証されておりますので、今回の一連の動きを見て「ああ、こんなのダァメ、ダァメェ~。邪道、邪道よお~ん」と切って捨てることは簡単でありましょうが、具現化すれば、日本の事業環境も揺らぐことは避けられず、日本企業が全く影響無しで済むは考えられないのでございます。

ここから年末にかけてまだまだ色んなことが起こりそうです。引き続きウオッチを続けます。

で、写真は台風上陸寸前の東武伊勢崎線内。まったりしてていい感じ。下は小さい頃食べたアイス「ガリガリ君」。久しぶりに食べたらおいしかった(笑)100円でおつりがくるのが、なんかうれしかった(笑)。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

日本医師会役員3人をメンバーにした中医協は「日医エゴ」を抑えられるか?安達委員(医師)、三浦委員(薬剤師)が退任し、秋から新体制で議論スタート。

  IMG_1793 先週7月30日の中央社会保険医薬協議会で、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)と三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)が退任しました。中医協の任期1期2年で、最長3期6年務めることができますが、いずれも3期めの途中(4年9か月)での退任となりました。その間、10、12、14年と3回の診療報酬、薬価改定があり、両委員からは議論の過程で色んなことを学ばせていただきました。

09年秋に発足した民主党が日本医師会の推薦で診療側委員を選ぶ従来の方式を廃止。安達委員も三浦委員も、政府の直接指名という形で就任しました。安達委員は、同時期に就任した嘉山孝正委員(13年10月退任、全国医学部長病院長会議相談役)とともに、歯に衣着せぬ正論を展開、事務局(厚労省)や支払い側を何度もやり込めました。時として同じ陣営の診療側委員を諌める場面さえあった。安達委員の主張は、嘉山委員といつも一致していたわけではありませんが、①日医という政治団体の損得、利権に左右されない②真に患者、医療現場の立場に立って発言する―という点で、底通していました。事務局や組織が働きかける水面下での調整にはめったに応ぜす、常に中医協という公開の場で「真剣勝負」を挑む。物言いが分かりやすく、人間味あふれる表現を使う。それでいて、発言ひとつひとつは、全て臨床現場や医療技術の知識、経験に裏打ちされていて精密です。決して感情的になったり、興奮して取り乱したりしない。すごかったです。感激しました。

IMG_1840三浦委員も殻を破りました。薬剤師出身の委員は、これまで日医が何を言っても黙って耐えていましたが、日医の役員があまりに高飛車に振る舞い薬剤師を馬鹿にした誹謗中傷まがいの発言をすると、敢然と立ち向かい、時には逆ネジを食らわしていました。当然と言えば当然のことなんですが、これまでは考えられなかったことでかなりパワーが要ったでしょう。

中医協は次回から新しい委員が加わって議論が始まります。安達委員の退任で診療側の医師枠は日医の役員が3人となり、民主党政権発足前の状態に戻ります。安達委員は退任のあいさつでこういいました。「科学的根拠に基づいた議論は大変、面倒だ。しかし、その手間を省くと、議論は恣意性のあるものにしかならず、行く着く先は政策誘導でしかなくなってしまう。是非、手間を惜しまず、科学的根拠に基づく議論を続けて欲しい」。己(オノレ)も同感です。日医の利権、エゴだけの政策誘導的な議論はやめてもらいたい。引き続き、ウォッチを続けます。

で、写真は新宿と自宅で撮影。上は和菓子屋さん前にあった涼しげな氷。日本の夏ですね。下はきょうの朝食、薬新カフェのモーニング。最近、いかにスクランブルエッグをうまく作るかがちょっとしたマイブーム。へ?なんで、この写真かって?実は、写真がネタ切れ状態なんです(汗)。あははは(笑)すみません。それではみなさま。暑い日が続きますが、お体に気を付けて。素晴らしい一週間をお過ごしください。

 

高血圧治療薬の研究と広告不正疑惑は「大山鳴動してネズミ一匹」?ノバルティスは「消沈」、武田は「ラッキー」で幕引きか?!

IMG_1570 みなさんお元気ですか?先週月曜日は休日だったので、2週間ぶりの更新です!暑い夏を満喫していらっしゃいますか?

さて、高血圧治療薬の臨床研究を巡る一連の不正疑惑騒動で、東京地検特捜部が本格的に動いて、早や5か月が経過しました。しかし、いまのところ起訴されたのはノバルティスの元社員と、ノバルティスだけ。個々の医師とメーカーを結ぶ不適切な金の動きやノバルティスと同様に偽りの広告宣伝を大々的に展開していた武田薬品を追い込むまでには至っていません。しかも、起訴の名目は薬事法違反の「虚偽誇大広告」。罰則は2年以下の懲役か、200万円以下の罰金です。日本最大の犯罪捜査機関、地検特捜部からすれば、ちょっと物足りないのではないでしょうか?おそらく、きっと、何とかして医師と、メーカーを結ぶ金の動きを掴もうと考えていることでしょう。しかし、今後、調査を続けて、どうしても、つかみきれなかったら(実際に、そんな事実がなかったとしたら)、それこそ「大山鳴動してネズミ一匹」。特捜部のモチベーションは低下し、捜査から手を引くかも知れません。そうなれば、武田薬品は、ホッと胸を撫で下ろすでしょうけど。。。果たして、どうなるでしょうか?検事総長が7月上旬に変わったばかりなので、特捜の本格調査も、しばらく中断、再開は8月末とも言われています。引き続き、動向を見守っていきます。

 

 IMG_1589で、写真は「壮大なる自由主義の実験国家」「究極の資本主義国家」「人種の坩堝」、米国にて撮影。上はNYタイムズスクエア。下は、いまこれを書いているブルックリン7aveのカフェ「Tea Lounge」の風景です。このカフェは、いい意味で「テキトー」(笑)。みんな思い思いのスタイルでリラックスしています。ボヘミアンな雰囲気で、すごく気に入りました!!NYは、ほとんどのカフェ、一部、公園でもFree Wifiが飛んでいるので、すごく便利です。では、みなさま、素敵な一週間をお過ごしください。

 

日本MR数はまた増加、「減少する!減少する!」と言われ続けて、数年間。予測通りになる気配なし!

―医師への接待禁止や医療機関の訪問規制強化などによって、日本の製薬業界のMR(医薬情報担当者)数は近く頭打ちとなり、その後減少する―。数年前から、そんな予測がありますが、どうもそうでもないようです。

MR認定センターがまとめた14年版「MR白書」によると、MR総数は6万6752人(14年3月末)で、13年度より1478人ほど増えています。07年度からずっと増え続け、13年度になって149人減ったので「いよいよMR減少時代突入か!?」と思いましたが、盛り返しました。

Exif_JPEG_PICTURE「コントラクトMR(派遣および契約MR)が押し上げてんじゃないの?」とお思いかもしれません。確かに、コントラクトMRは3957人で、前年度より伸びています。しかし、増えたのは764人ほどで、各企業が正社員で増やしている数と変わりません。各社結構、増やしてるんです。「医師への訪問回数が売り上げに直結する」という公式は、崩れておらず、各社もそれを信じているんですね。

とはいえ、世の中も医療現場もどんどん変化して、MRの活動内容も、それに合わせて、変化していかねばなりません。現場MRは、きっと大変でしょう。にもかかわらず、年齢別で見ると、50歳代が8791人、60歳代が1234人、双方合わせて1万人が現場に出ています。この世代は医師への接待攻勢華やかなりし90年代のプロパーを経験しながら、規制でがんじがらめの、いまの窮屈な現場でも、がんばっています。新時代で変えるべきもの、そのまま維持すべきもの。己を虚しゅうしたうえで、自らの経験に照らして、いまを見れば、本来一番、分別が付くはずの世代です(みんながみんなそうではないです。“己を虚しゅうしたうえで”というのがミソです)。しっかり現場を支えて欲しいです。

で、写真は近所を散策中に撮影(ピンボケ失礼!)。巨大マンションに隣接する公園にて。若いお母さんが、赤ちゃんを前に抱えながら、シャボン玉を飛ばして言います。男の子が、それを見上げて、つかもうとしています。子供も楽しそうだったけど、お母さんも相当、楽しそうでした(笑)なんかほのぼの。癒されましたあ~!ではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください!

【注意】この原稿はMR数に誤りがあったため、8月5日付で、一部修正いたしました。

 

 

「製薬業界頼み」の臨床研究は、もう限界!国が、もっと積極的に支援し、医薬品の適正使用につなげるべきだ!!

Exif_JPEG_PICTURE先週、かねて取材でお世話になった若くエネルギッシュな臨床医と久しぶりにお会いし、色んな話をお聞きしました。この先生、いま医薬品を使った医師主導臨床研究を進めてます。で、この研究の結果次第で、医薬品の使用量が減る可能性があります。ある疾患に対する、ある医薬品の投与について「どのくらいメリットがあるのか?」。その必要性を科学的に検証する研究だからです。だから、製薬企業からの支援は、端から期待していない。もちろん、支援があれば喜んで受けるでしょうが、積極的に要請していない。参加医師が、それこそ手弁当で、日常診療の合間を縫って進めている。医療のため、患者のためになる、と考えているからです。これぞ医師主導臨床研究です。で、最近、厚労省の補助金がようやく認められたそうです!!!一度目の申請は落とされたと聞いていたので、どうなることかと気をもんでいましたが、本当によかったです!近く、雑誌、医薬経済の誌上で、しっかり記します。

Exif_JPEG_PICTURE日本が科学研究に注ぐ予算は決して多くない。予算で執行する医療技術への補助金も、基礎研究ばかりで、臨床研究はないがしろにされている感があります。だから医師が臨床研究をやりたいと思っても、なかなかできない。やるなら製薬企業に支援を求めざるを得ない。で、製薬企業は株式会社ですから、完全なるボランティアでは、支援しにくい。とくに収益にマイナスになる研究にお金は出しにくい。臨床研究を巡る、ここ最近の問題は、こういう日本の研究環境が背景にあることを忘れるべきではないでしょう。

国の予算にも限りはありますから、増税に苦しむ一国民として、単純に「もっと研究に金を注げ」とは言いにくいんですが、いまある予算を、もう少し、臨床研究に厚く配分していいのではないでしょうか?製薬企業の支援は期待できないけれど、国民のために、やるべき臨床研究テーマは沢山あるような気がします。例えば、いま問題になっている高血圧治療薬ARB。それから糖尿病治療薬DPP4、SGLT2阻害薬などは、各社がそれぞれ製品を出し、複数のブランドが出ています。一体、どれが一番いいのか?あるいは違いはどこか?直接比較した研究はありません。医師がやろうと思っても、なかなかできないでしょう。かといって製薬企業に支援を求めたら、お金を出した企業の製品にバイアスがかかる。こういう臨床研究を、国がお金を出して、やって欲しいです。

で、写真は先日、カフェの前で見つけたアゲハ蝶。この後、ヒラヒラと優雅に空に舞っていきました。それと、たまたま訪れた商店街で七夕祭りに遭遇!!のどかでほんわかした雰囲気。癒されましたあ~。晴れたり、曇ったり、雨が降ったり。一番、不安定な季節です。みなさん、お体に気を付けて、素敵な一週間をお過ごしください!

 

武田の総会で「グローバル化って一体、何なんだっけ?」と、改めて考えさせられる。

Exif_JPEG_PICTUREOBらの質問状で大荒れが予想された6月27日の武田薬品の株主総会は、最近では珍しい3時間を超えるロングラン総会になったものの、GSK出身のフランス人、クリストフ・ウェバー氏の社長就任など、会社が提案した7議案は全て了承されました。ただ、OBらが事前に提出した質問状以外にも、質問がいくつも出て、武田の現状に対して、多くの株主が懸念を抱いていることがわかりました。

武田幹部への質問、批判は多岐に渡っているのですが、改めて考えさせるのは「グローバル化って一体、何?」ってことです。武田OBらは、日本人より高待遇で、外国人を幹部に迎え入れること、そしてまた急速に外国籍の幹部が増えたことなどに疑問を抱き、「これじゃあ、日本の企業でなくなってしまう」と強く反発していました。確かに、一理あるなと考えさせられます。外国企業を巨額な資金で傘下に収めることが「グローバル化」なのか?外国人を高給で迎え入れることが「グローバル化」なのか?英語のできない社員を隅に追いやることが「グローバル化」なのか?そして逆に「日本の製薬企業」ってなんなのか?今後も、そのステイタスと意義を保てるのか?今回の武田の総会で、OBらが放った疑問で、深く考えさせられました。再考というか。。。再確認すべき時なのかも知れません。

それでは、みなさん。素敵で楽しく、かつ充実した一週間をお過ごしください。

 

 

 

武田薬品のブロプレス問題は「全死亡率のグラフ」も見逃さないで、調査、検討すべきだ!!

こんにちは!お元気ですか?で、早速ですが、昨日の続き。武田薬品が、高血圧治療薬ブロプレス(カンデサルタン)にまつわる不正疑惑で、ジョーンズ・デイ法律事務所(JD)に依頼した調査報告書の件です。

不正疑惑のきっかけは武田がプロモーションに使った販促資材なんですが、この販促資材について報告書は、全て一人の社員の判断、責任で作成したとした点、また、極めて限定的な調査であるにもかかわらず「薬事法違反には当たらない」と断定した点には、率直に言って大いに疑問が残ります。

Exif_JPEG_PICTURE 報告書は、販促資材について「実質的に、医薬学術部グループの主席部員であったU氏が、単独で(略)全ての販促資材を制作を担当していた」とし、U氏の直属の上司については「制作された販促資材の最終確認を行うのみであり、(略)実質的に関与していなかった」と指摘、プロモーションの責任者X氏には「いつ、いかなる内容の販促資材を制作するか(略)具体的な決定をU氏に一任していた」と断定しています。要するに、U氏以外はお咎めなし。U氏の直属の上司や、プロモの責任者はJDから聞き取り調査された時、「ちょっ、なんすか?私?関係ないですよぉ。全然、知らなかったんですよ。私はあ~。ただ使ってもいいよ、ってハンコをついただけです。ええ、ええ、中身なんか、イチイチ見てられませんよ。忙しいですからね、いっつも。ほとんど見てないですから。中身なんか。よく知りません。。。。」とでも、言ったんですね。きっと(失礼。ここは飽くまで己の想像です!)。。果たして、そんなことあっていいんでしょうか?今後、何か責任を問われても「全てU氏が悪い」と、トカゲの尻尾切りになってしまう可能性があります。何か嫌あ~な感じですね。これ。JDさんには、もう少し突っ込んで欲しかったですね

で、もう一つ。この販促資材について報告書が「薬事法違反に当たらない」と、踏み込んだ表現を用いている点。本来、法律違反に当たるか当たらないかは、司法当局が判断するものであって、この段階で、武田の依頼を受けたJDが調査報告書に書くべきだったのか?記者会見で質問したら「その点は、武田に依頼されたから」と言ってましたが。。ちょっと踏み込み過ぎの感じがします。

しかも、判断の前提となるJDの調査は極めて限定的なんです。まずは、ここが肝なんで、丁寧に書きますよ。

まず販促資材の何が疑惑を呼んだか?改めて説明すると以下です。

Exif_JPEG_PICTURE心血管イベントと全死亡率の発現率は、統計学上、カンデサルタンもアムロジピンも有意差がない(同等という意味)が、武田の販促資材には、視覚的に、あたかもカンデサルタンの方が有意に抑えるように見えるグラフが掲載されていた。グラフは、カンデサルタンとアムロジピンのイベント発現率の経時変化を、2本のラインで示している。心血管イベントも全死亡率も、途中までは、若干、アムロジピンの方が抑えているように見えるが、30か月を超える辺りで、双方のラインが交差し、その後、カンデサルタンの方が抑えているように見える。それが疑惑を呼んだ。武田の販促資材は、研究代表の大学教授などの写真を添えたうえで、グラフの交差部分を「ゴールデンクロス」と称し、「より長期に使うことでイベントの発現が減少していく」と明記していた。【RISFAX6月23日号から抜粋】

Exif_JPEG_PICTUREということで、疑惑を呼んだグラフは心血管イベントと全死亡率の2つなんです。しかし、JDは、心血管イベントのグラフのみに着目して調査をしました。【右上、図2のグラフ】その結果、カンデサルタンの方が良く見えるようになったラインのズレは、販促資材の制作過程で、偶然、生じた可能性もあり、それほど大きくない。また、30か月を超えるとカンデサルタンが良くなる可能性も「示唆される」との表現で、断定はしていない。だから、医師である専門家なら、この販促資材に引っ張られて、「カンデサルタンの方がいい」って勘違いするようなことはない。拠って「薬事法違反に当たる虚偽、誇大広告には当たらない」と。こう結論付けたわけです。

Exif_JPEG_PICTUREしかし、もうひとつのグラフ。全死亡率はどうですか?【右上、図3のグラフ】このグラフ。明らかにカンデサルタンが良く見えます。これは「制作過程で偶然ズレちゃっただけ」ってもんじゃないですよ。しかも、このグラフ。カンデサルタンが良く見えるように、心血管イベントで「10%」になっていた縦軸を、わざわざ「5%」に引き延ばして見せています。死亡率の差ですよ?臨床で忙しい医師に与える視覚的な印象は、こっちのがはるかに強烈でしょう。

販促資材では、心血管イベントのグラフの真下に並べてあります。【右写真】JDさんは、なんでこっちのグラフも調べてくれなかったのか?この差がなんでできたのか?これも調査して欲しかった。Exif_JPEG_PICTUREそれに販促資材には「より長期に使うことでイベントの発現が減少していく」と明記してあるのに、報告書では、この点も不問に付しました。【右写真】

Exif_JPEG_PICTUREとはいえ、JDの報告書で新たにわかったことも沢山、あります。一番衝撃的だったのは、5ページ目の「証拠の保全」の部分。【右写真】JDの調査が入る前に、武田薬品は、関連部局のスタッフに向けて、今回、疑惑を呼んだ試験の「関連資料、印刷物の削除・廃棄を要請する社内通知を発信していた」との事実を明記、「検討対象となりうる資料が削除・廃棄された可能性がある」と訴えています。これはどうですか?調査前に、関連資料を全て捨てるよう通知しちゃってたんですよ。こんなのありですか?真相解明しようとしても、もう、ほとんど資料は残ってないですね。きっと。なんだか書いていて嫌な気分になってきました。

うーん!気を取り直して!!行きますよ!みなさま、素敵な一週間をお過ごしください!

 

武田がブロプレス問題で、ジョーンズ・デイ法律事務所に依頼した調査結果は、極めて限定的なものであることに注意すべきだ!

Exif_JPEG_PICTURE 武田薬品の高血圧治療薬ブロプレスに関する医師主導臨床研究の不正疑惑で、武田薬品がジョーンズ・デイ法律事務所に依頼して進めてきた調査の結果がまとまりました。「ブロプレスは優れている」と強調したいがために、本来、製薬企業が関わってはいけない「医師主導」の研究に、武田が組織的に関与していたことが明らかになりました。しかし、不正疑惑のきっかけとなった、武田がプロモーションに使った販促資材については、全て一人の社員の判断、責任で作成したとした点、また、極めて限定的な調査であるにもかかわらず「薬事法違反には当たらない」と断定した点には、率直に言って大いに疑問が残ります。

で、すみません。本日はこれより、みっちり取材が入っております。なので、明日、再度更新し、この辺りの己(オノレ)の見解を、しっかり記しますので、是非、ご覧ください。(^_^;)

なお、疑惑が生じている武田の研究は、各紙が「CASEーJ研究」と報じていますが、先に疑惑で叩かれたノバルティスのディオバンに絡む臨床研究が 「ディオバン問題」と繰り返し報じされてきたことの公平性に鑑み、このブログでは「ブロプレスの絡んだ医師主導臨床研究」、あるいは「ブロプレス問題」と、製品名をしっかり書きます。それから、ジョーンズ・デイ法律事務所の調査を、各紙が何の衒いもなく「第3者調査」と報じていますが、飽くまで武田が対価を払って依頼した調査であり、調査の範囲、内容には何の強制力がなく、一定の限界があるので、このブログでは「武田が依頼した調査」とします。日本は言霊の国ですから、こういう微妙な表現に注意しないで、大雑把に使って、それを積み重ねていくことによって、いつの間にか事実、現実が歪んでいくと考えています。

ではみなさま、また明日、素敵な月曜日をお過ごしください!

 

 

製薬企業と大学の関係に広がる不信感、そして薬価の毎年改定論議、医療、医薬品業界への「風当たり」はますます強まっている!!!

Exif_JPEG_PICTURE ディオバン問題で、ノバルティス元社員が東京地検に逮捕されました。

容疑は薬事法違反となる「虚偽、誇大広告」。かりに元社員がデータを操作していたとしても、そのデータを広告で活用するのは別の部署ですから、元社員の行動と、広告所管の部署の行動をしっかり「線」で結ぶ証拠がないと、逮捕は難しいと言われていましたが、元社員と密接な関係にあった研究者らの裁量でできる、専門誌への投稿論文や、インターネットでの論文公開を、一種の「広告」と見なし、元社員を逮捕しました。逮捕にかける、地検の並々ならぬ「執念」を感じます。しかし、何度も繰り返しますが、己(オノレ)はこの件。すべての責任を元社員に押し付けて、一罰百戒で片づけることに大いなる疑問を抱いていいます。なぜかというと、今度の件は、業界の「構造問題」であり、「一人の悪人が、自らの私腹を肥やすために、周囲を欺いて、勝手に怪しからん事をした」という類のものではないと考えるからです。この件に絡んだ関係者の中で、元社員が社会的に、最も弱い立場にいます。にもかかわらずと言うか、だからこそと言いましょうか、昨年来、唯一個人として、メディアの集中砲火を浴び、叩けれ続けてきた。今回の件については、メディアの取り上げ方、取材姿勢にも、ものすごい違和感を感じています。一種の集団心理。「みんなで叩けば怖くない」というムードが感ぜられるからです。東京地検の捜査は終わっていないので、しばらく様子を見守るしかない。しかし、元社員を逮捕して終わりじゃあまりにお粗末。そう思います。

Exif_JPEG_PICTURE日本製薬団体連合会の木村政之理事長が、先週の保険薬価研究委員会の懇談会で「(国会議員を訪問していると)医療、医薬品業界への風当たりが強まっているのがひしひしと分かる」とおっしゃられていましたが、まさしくそうかもしれません。医療、医薬品業界は、色んな意味で「グレーゾーン」が大きいのです。「グレーゾーン」って言い換えれば「必要悪」、あるいは「ハンドルの遊び」、「それを言っちゃおしまいでしょう」と言って、みんなが不問にして済ませてきたことです。しかし、世の中、どんどん狭隘になっています。で「グレーゾーンを一切、なくせ」と。こうなるのです。

薬価の毎年改定。どうやら今回は見送られ、かろうじて15年4月改定はなさそうです。とは言え、15年10月に消費増税があることを忘れてはなりません。間違いなく「消費税を上乗せするだけでなく、実勢価に基づいて薬価を下げろ」という意見が出て来る。そうなると、ほとんど「毎年改定」みたいなもんです。

とまあ、色々ありますが、みなさん。変化の時です。己(オノレ)も流されないように、吹っ飛ばされないように、しっかり取材、執筆に務めます。充実した素晴らしい一週間をお過ごしください!

※写真上から厚労省のディオバン問題検討会、木村理事長

 

 
 
 
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