自民党総裁選で各候補者の行動や発言が連日、報道されている。限られた時間の中で、わかりやすさと印象の良さが問われるので当然、全国民に向けた発信は、基本姿勢のみに止まる。しかし各産業界は、各候補の細目(具体的な施策公約)にも目を配っている。その細目レベルの話だが、加藤勝信氏が社会保障改革の1つとして「物価に連動した薬価の見直し」を打ち出して、業界内で話題になっている。国民からすれば「当たり前のことじゃないの?」程度の話だろうが、製薬業界人にとっては

◆武田薬品GMSの石丸宏ヘッド【手前】と深川俊介氏※GMS=グローバルマニュファクチャリング&サプライ
武田薬品工業が先週5日、製造部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する記者発表会を開いた。なぜ今ーー?いささか唐突感があり、戸惑ったが19年のシャイアー買収以降、自社の個別事業を説明する日本メディア向けイベントはめっきり減っているので、新鮮味があった。武田は23年度から「Factory of the Future」(以下、FF)のキャッチフレーズを掲げ、製造部門のDX化を急ピッチで進めており、日本拠点でもその成果が出始めた。今回の発表会は、その「お披露目会」だった。

◆厚労省・全景
先日、厚労省OBの方とお話する機会があり、「医薬品行政の課題」について御見解を伺ったところ、「承認、審査、保険適用の“迅速化”はいうまでもないが、同時に、臨床現場に出た後の評価見直しを“迅速化”することが大事だ」という趣旨の返答があった。新型コロナウイルスのパンデミックで、世界中、大混乱となり、厚労省は「通常承認」よりも提出データ要件が緩い「特例承認」「緊急承認」という枠組みを使って、異例の速さで新たなワクチンや、治療薬の使用を認めてきた。そうしたワクチン、治療薬も臨床現場でデータを積み上げ、新たな知見が出てくる頃だ。しかし、その知見に基づく、
自民党総裁選が、9月12日告示、27日投票と決まった。今の日本は自民党総裁=内閣総理大臣なので、国の行く末を左右する重要な「節目」になる。立候補者は現時点で9人と目され、過去最高。「乱立」と揶揄されているが、それだけ意欲ある人が多く、かつ党内論議に幅があるとも言える。悪いことではない。自民の議員か、党員でなければ投票権がないが、全国民は注視すべきだろう。しかし、投票まで、もうひと月切っている。自民総裁、すなわち次期総理候補一人一人の実績、思想信条を把握するには残された時間はあまりに少ない。どうすればいいか?考えたあげく、かつて高名なジャーナリスト、田原総一郎氏が「総理になるなら本を書け!」と言っていたのを思い出し、大型書店に走った(ネットでもいいが、私は書店がスキンなので。。。)。結果、立候補者として名が挙がっている方々のうち、ここ数カ月間で出た新刊本が見つかったのは、石破茂元幹事長と高市早苗経済安全保障担当相の2人だけだった。

◆住友ファーマの木村徹代表取締役社長
住友ファーマの株価が、新体制を発表した今年5月以降、上昇傾向(8月9月時点)にある。厳しい経営状況中で社長交代を決め、記者会見を複数回開催、メディアの露出度も高い。7月末に発表した第一四半期決算は基幹3製品(前立腺がん薬オルゴビクス、子宮筋腫・内膜症薬マイフェンブリー、過活動膀胱薬ジェムデサ)の米国売上が伸長し、前年同期との比較で赤字額が改善した。株式市場も反応しているようだ。住友ファーマ(株)【4506】:株価・株式情報 – Yahoo!ファイナンス

◆大塚ホールディングスの樋口達夫代表取締役社長兼CEO
大塚製薬が米国のジュナナ・セラビューティクス(Jnana Therapeutics Inc.)を8億ドルで買収する。買収完了後、開発品の進捗に合わせ最大3億2500万ドルを支払う契約で、総額11億2500万ドルを投ずる。親会社の大塚ホールディングスが2日に発表した。13年に買収した英アステック社の「フラグメント創薬(FBDD)」技術とのシナジー効果で、これまで低分子では困難とされる希少疾患、自己免疫疾患領域で独創的な創薬に挑む。※この原稿は、業界OB「ShinOM」さんにご協力いただきました!