トップダウンの「大号令」で突き進む薬価制度改革、年内に結論!!

 みなさんお元気ですか?いやあ、薬価制度改革。菅義偉官房長官の大号令で年内に方向性を示すことになりました。大急ぎで議論を進めなければ間に合いません。

塩崎恭久厚労大臣が11月25日の経済財政諮問会議に示した資料によると、ポイントは2つ。一つは、年4回の新薬収載時に、その都度、過去を振り返って「効能追加など」で急激に売り上げを伸ばしているものがないか、チェックする。もう1つは、少なくとも年1回、「市場環境が大きく変化」して、急激に売り上げを伸ばしているものがないかチェックする。あれば薬価を下げる。そういうことです。

 今週7日に、経済財政諮問会議が予定されています。そこで、薬価制度改革に、さらに発破をかけるような議論があるかどうか。注目されます。まだ流動的ですが、中央社会保険医療協議会は9日に、製薬業界から意見陳述を予定。早ければ来週14日に結論を出す方向で調整を進めています。中医協は、表向き公開ですが、本当に大事な話はいつも水面下で決まっちゃってます。ですから公開討論だけでは、本質が見えません。各委員の発言は、水面下でどんな調整があったかを十分、斟酌、把握したうえで、咀嚼する必要があります。最近は、水面下の調整。あるいは官邸主導のトップダウンでの政策決定がますます増えています。

 写真は施設のクリスマスイベントで。おかしで作るリース。沢山の子供たちと、一緒に楽しみました!!それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください。

 

新薬の年4回収載時に薬価引き下げの対象となる医薬品の範囲は?

みなさんお元気ですか?秋も暮れかかり、本格的な冬将軍の足音が聞こえてきました!!

先週11月25日、塩崎恭久厚生労働大臣が、これまで2年に1回だった保険価格(薬価)の改定頻度を医薬品の品目を限定して、増やす方針を経済財政諮問会議に示しました。果たして、対象医薬品はどうなるでしょうか?

次の改定を待たずに「特例的」に、小野薬品のがん治療薬オポジーボを下げることが決まったばかりなので、単純に考えれば、この「特例」を正式ルール化するという線は、かなり固いでしょう。すなわち改定前年の10月から翌年3月までに薬価収載され、薬価調査(改定前年9月)から漏れてしまった新薬と、追加適応があった医薬品。この2つは、販売額が予測を一定以上、上回った場合、今回のオプジーボ同様、バッサリやられる可能性大です。とはいえ、オプジーボほど臨床現場、患者の評価が高い医薬品は早々出てこない。(実は、これは、さびしいことでもあるのですが)だから、対象になるケースが頻発することはないでしょう。

ただ、問題はこれでは済まない。塩崎大臣が「年4回の新薬収載時の機会に、その都度(薬価改定)を考える」と述べているからです。以前、記事に書いた通り(医薬経済16年9月15日、「ますます先鋭化する薬価算定」をご覧ください⇒コチラ)。「新薬収載が4回なら、改定も4回でいいだろ」って声は政府内にはかねてからあったのですが、現実のものとなりました。さあ、それではどんな条件になるか?まだまだわかりませんが、価格の高いバイオ医薬品は狙われる可能性が高いかもしれません。すでに特許が切れているが、後続品(バイオシミラー)が出てきていないものとか。単純に収載後、どんどん適応拡大して、収載時の予測販売額を上回って売り上げが伸びているものとか。低分子医薬品でも、特許が切れて、後発品が参入しているのに売り上げが大きいものとか。。。こと「薬価を下げる」という立場に立てば、いくつも案が出てきます。製薬業界も、そろそろ「薬価が上がる仕組み」を真剣に考える時かもしれません。

写真は中医協。傍聴席から。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください!!!

 

オプジーボの薬価50%下げ、決定打は「内外価格差」

img_2597  小野薬品の非小細胞肺がん治療薬オプジーボの薬価引き下がようやく決着しました。引き下げ率を25%にするか、50%するか。いつから引き下げるか――。注目されましたが、最終的には来年2月に50%引き下げとなりました。10月頃、一般紙は「来年4月に、最大25%下げる」と報じていましたが、見事に外しましたね。

今回の決着について、業界は反発のコメントを出しています。しかし、小野薬品の提携先ブリストルマーヤイズスクイブが、米、英、独で、オプジーボを日本の半額以下で販売している現状が明らかになった時点で「50%下げ」は、避けられない情勢でした。日本人が73万円払わないと使えない薬が、米、英、独の人は半額以下で使えているのですから。。。これだけ世論が大きくなっている中で、25%下げに止めたら、いくら大人しい日本人でもブーイングを発したでしょう。ただ、海外の価格が、もう少し高ければ、話は別で、違う展開になっていたかもしれません。小野薬品の相良暁社長は11月7日の決算会見で「海外の販売提携先の価格について、我々はコントロールできない」とコメントしていました。それはそうかもしれませんが、同じ先進国で、ここまで価格差が出てしまうのは、まずいでしょう。

どうあれ、オプジーボをきっかけに薬価制度改革論議が再び火を噴きました。高額薬剤のみならず、外国価格との調整や、医薬品の原価とは何かという根本的な問題を議論する流れになっています。製薬業界には、是々非々で向き合っていただきたいです。

写真は東京丸ノ内。早くもイルミネーションがキラキラ輝いていました!!それでは素敵な一週間をお過ごしください。

 

中医協が、トルツの「申請取り下げ」に文句つけるのは、やり過ぎ!!

img_2515 日本イーライリリーの乾癬治療薬「トルツ」の薬価収載が先週9日、ようやく認められました。一度、薬価収載申請を取り下げ、再申請して、日の目を見ました。中央社会保険医療協議会では「勝手に取り下げて、また申請するとはなんだ」と文句が出たようですが、これってどうでしょうか?薬価収載申請は基本的に企業の「申請主義」です。取り下げるか、再申請するかまで、中医協の判断を求めるのは、少々やり過ぎのような気がします。

トルツは、たまたま薬価算定ルールの矛盾に嵌まって、議論が紛糾しました。取り下げ、再申請を決め、状況を丸く収めたリリーは、むしろ褒めてあげてもいいくらいだと思います。取り下げて再申請したからこそ、丸く収まったのです。あくまで記者目線ですが、中医協にかかる新薬の中には、効能効果や、医療保険上の有用性の面で、むしろ取り下げて、出直してもらった方がいいような薬が、たまに見受けられます。そんな薬でも、中医協はスルー。まんまと臨床現場に出て、「マーケティング」とやらを駆使して、医療保険財政から収益を得ています。そんなんと比べたら、今回のトルツ対応は優等生ですよ。

トルツの薬価収載は今年8月に、議論を呼びました。既存のルールで保険薬価を算定したら、英米の平均価格と比べて低かったので、「外国平均価格調整」というルールに則り、薬価を引き上げました。その結果、日本にある他の同種同効品より突出して薬価が高くなってしまいました。それで中央社会保険医療協議会の先生方が「なんだこれは!他に同種同効品があるのに、1品目だけ高いなんて!!まがりならん」と怒って、「他の同種同効品を使って効かなかった場合に使用を限定する」と決定してしまったのです。リリーは「これじゃ売れんわ」と、一度、薬価収載申請を取り下げ、少しして再度、申請し直しました。その間、英米、とくにEUを離脱した英国の価格が急激に下がっていたので、今度は「外国平均価格調整」にかからず、他の同種同効品と同じ薬価で臨床現場に出ることになりました。リリーが、一度、申請を取り下げた理由は、まあ推して知るべしでしょう。ここにきて、さらに追い打ちをかけるのはなんか違うような気がします。

 というわけで今週は16日にいよいよオポジーボの薬価引き下げについてはっきりした結論が出る予定。忙しない一週間になりそうです。

 写真は大阪で見つけたいい感じのカフェ。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。

 

医薬分業は「傷病名がない院外処方箋」が致命的な欠陥。薬局薬剤師が「患者の傷病名を知らない」現実をどう考えるか。真正面から議論すべき!!

img_2543     みなさん、お元気ですか?

医師が医薬品の処方箋を書き、薬局がその内容をチェックして調剤する。いわゆる医薬分業ですが、この仕組みで、医療の質を最大限に引き上げるには、致命的な欠陥があります。それは、処方箋に患者の傷病名が書いてないことです。

薬局薬剤師に与えられる情報は、処方箋に並んだ医薬品の名前だけ。飲み合わせや、副作用をチェックするにも限界があるのです。例えば慢性腎疾患(CKD)患者には、いくつも禁忌(投与禁止)の薬がありますが、処方箋の情報だけでそれを推測、察知するのは極めて困難です。処方箋に傷病名がないのは「患者のプライバシーへの配慮だろっ?」て、考えがちですが、実はそれだけではないです。医療現場でオフラベルの処方(承認外の適応での使用)が、結構あって、そのまま処方箋に書くと、患者も、薬剤師もびっくりして、無用な混乱を呼んでしまうのです。例えば、吐き気を抑えるのに、統合失調症治療薬、ふるえを抑えるのに、てんかん治療薬を使うケースがある。その場合、もし処方箋に傷病名を書くとすると「統合失調症」「てんかん」となるという具合です。医薬分業の政策効果、質をさらに高めるには、処方箋と傷病名のあり方について丁寧に議論を積み重ねていく必要があると考えます。現状のままでいいというなら、薬局が、単に医師の処方通り医薬品を調剤するだけの場であっても「致し方ない」と認めることになります。

とはいえ、これまで、ほとんど議論さえされていないのに、今すぐ処方箋に傷病名を記載しろと言うのは、非現実的です。そこで数年前に出てきたのが、医療機関で実施した臨床検査値を書いた検査値付き処方箋です。福井大病院から京都大に伝わり、西日本を中心に少しずつ全国に広がっています。近隣の薬局は、処方箋に書かれた検査値を見て、禁忌や要注意の医薬品を、医療機関に伝えています。10月に開かれた日本薬剤師会学術大会でも、関連分科会が大盛況でした。(医薬経済16年11月1日号14、15頁、『広がる「検査値付き」院外処方箋』をご覧ください⇒コチラ)薬局薬剤師も検査値の判読について研鑽を重ねています。残念ながら、検査値付き処方箋の発行医療機関は西高東低で、西に多く関東は少ない。それでも千葉大病院が発行し始めたので、他に伝播するのを期待したいです。

  というわけで、医薬分業の致命的な欠陥は「処方箋に傷病名が記載されていない」=「薬局薬剤師に患者の傷病名が知らされていない」という点にあるのです。大事な点なのに、何十年も真正面から、しっかり議論されたこともなく、スルーでした。賛否はあっていい。しかし、スルーしたまま勝手なこと言ってると、問題の本質からどんどん遠のいていってしまう。

薬局や調剤を叩いて診療報酬アップを狙う、政治力の強い医師会の尻馬に乗って、ただ単に「医薬分業はだめだ」「保険薬局はなってない」と、大げさに騒いで、はしゃぎまわったり。昔、高校、中学の部活によくいた運動部の先輩(90年代に絶滅。。。であって欲しい(*^。^*))のように「気合が入っていない」とか、「本気出してない」とか、うすっぺらな精神論を振りかざして、その実、満たされない自己承認欲求を慰めているに過ぎない言論は、全く無意味なのです。

 で、写真は都内で。約5000点の写真集が手に取れるカフェ。優れた写真家の作品を鑑賞しながら、穏やかな午後のひと時を過ごしました!!それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。

 

オプジーボの薬価引き下げ、厚労省原案は未だ示されず。

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みなさん!お元気ですかあ?

   非小細胞肺がんの適応追加で、市場を急激に伸ばしている小野薬品の免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ。はじめは患者が470人しかいない悪性黒色腫だけが対象だったから、薬価が高くつきました。ところが肺がんの適応追加で1万人以上に使われるようになった。それで「このままというわけにはいかない。薬価を下げましょう」というところまで決まっています。

   しかし、いつ、どのくらい下げるか。厚労省の案はまだ示されていません。9月に厚労省の担当官に聞いた時は「10月中には示す」といっていたので、先週、中央社会保険医療協議会が開かれ、てっきり、そこで、諮られると思っていたのですが、まさかのスルー。中医協は開かれませんでした。11月末には、同種同効品である、MSDのキイトルーダの薬価収載が控えています。適応はオプジーボ同様、はじめは悪性黒色腫。そして、年末か、年始には非小細胞肺がんが追加されます。薬価はオプジーボに合せることになる。オプジーボの薬価引き下げの具体案が定まらないと、状況がは、どんどんややこしくなっていきます。一体、どうなっているのでしょうか?

    で、写真はとある駅のロータリーで。夕日もすっかり秋の色です。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。

 

化血研の譲渡、武田薬品に話は来るか?アステラスとは交渉決裂

 厚労省が間に入って進めていた一般財団法人、化学及血清療法研究所(化血研)のアステラス製薬への譲渡計画は先週、とん挫しました。化血研は「国の承認と異なる製造方法で、ワクチンを作っていた」という理由で、薬事法違反の業務停止処分110日間を食らった会社です。ただ、ワクチンの安全性に問題はなかったとされ、「変更届さえ出していれば、別になんてことないことだった」(製造専門家)といいます。しかし、厚労省は「会社の体質を改善するため」という理由で、アステラスに譲渡を持ちかけていました。ワクチンの基本は疾患予防ですが、海外勢に比べて日本企業の事業基盤は弱い。厚労省は医療、産業政策的にも、日本で細々とやっている各社のワクチン事業を結集して強化したいわけです。で、不祥事を理由に、化血研をアステラスに引き取らせようとしたんですね。

なんだか、この件は不祥事があったから、事業統合を持ちかけたというより、事業統合を進めたいがために不祥事を世に晒したのではないか、と見えてしょうがないです。というのも、塩崎恭久大臣にせっつかれて、厚労省が嫌々、実施した製薬企業に対する一斉調査の結果(6月に公表)では、全医薬品3万2466品目中7割(2万2297品目)に、承認書と製造実態のずれが生じていました。うち「記載に誤りがあったもの」が80%です。詳細な中身は不明ですが、これって、どこも化血研と似たり寄ったりってことじゃないですか?!にもかかわらず、化血研のズレだけ「大問題だ」として、世の中に喧伝され、他は不問。それ以上深い追及はありません。変じゃないですか?不可解さがぬぐえない事象です。アステラスは国が強制する政策統合に「NO」を突き付けたと、とらえることもできます。で、次の打診先はどこか。武田薬品に話は来るでしょうか?つか、変な技を使って仕掛けて来るなら、意に沿わないことは受け入れる必要ないですよね。

 写真は、武田薬品の岩崎真人取締役(ジャパン ファーマ ビジネスユニット プレジデント)。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください!!

 

武田テバ、サンドは日本のジェネリック市場で、外資の優位性を発揮できるか?!

 みなさんお元気ですか?

秋は、ここから11月中頃までが旬です。紅葉も、スポーツも、読書も、もちろん食い道楽も、しっかり楽しみたいもんです(笑)

さて、先週、先々週と、ジェネリック(GE)医薬品を事業の柱とする武田テバファーマ、サンドの記者会見が続きました。テバ、サンドと言えば世界のGE市場で1位と2位。会見を開いたのは、その日本法人です。日本企業が席巻する国内GE市場の中で、外資の強みをいかに活かすか。注目されるところです。

 武田テバも、サンドも全世界に60を超える生産拠点を有しており、ここから日本に製品や原料を送り込めば、日本企業より低コストで日本での事業を展開することができると主張しています。しかし、実際、どうですか?少なくとも、現時点で、武田テバ、サンドの製品が、他社製品と比べて「価格優位性」を発揮しているようには見えない。

記者会見で質問しましたが、いずれも、ぼやっとした曖昧な答えしか返ってきませんでした。

 数か月前、医薬品製造技術の専門家に「海外で作って日本に輸入して販売するという戦略をどう思いますか」と尋ねたら、「それはそれで色々、金がかかるから、そんなにコストを抑えることはできない」と言っていました。果たして、この先どうなるでしょうか。しっかりウォッチして参ります。

 写真は武田テバの松森浩士社長と、サンドのジェイソン・ホフ社長。

それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください!!!

 

 

 

 

高血圧の新薬承認は「臓器保護作用」の証明を義務化せよ!!

%e4%bb%99%e5%8f%b0   みなさんお元気ですか?しつこい残暑に悩まされながらも、時々、ふっと秋の香りに遭遇し、ほっと一息をつく今日この頃です。

さて、今回は高血圧治療薬の話。薬剤の種類も多く、みなそれぞれ効果を発揮している。患者満足度も高いといわれている。だから一般的には「新薬はもういいんじゃないの?」「もう別にいらないよ」って感じになっていますね。高血圧は患者も多く、少しばかり処方が変わっても、いきなりひどい副作用を招くことは稀なので、メーカー各社は、プロモーションに思いっきりお金をつぎ込んで売りまくっていました。つまり売りやすいし、使いやすいのです。しかし、本当は、血圧をただ下げるだけじゃ意味ない。最終的に、脳梗塞、心筋梗塞、心不全など心血管障害の抑制につながれなければ価値があるとは言えないのです。だからこそ新薬を世に出した後に、どれだけ心血管障害抑制に効果があるか、これまた膨大なお金を掛けて、試験を実施せざるを得なかった。「うちのはすごいよ!」「いやいやうちのはもっとすごい!」と、市販後の試験と宣伝に狂騒した。結果、市販後の試験や宣伝が、人の目を欺く出鱈目な形で行われるようになった。武田薬品工業のブロプレス「ゴールデンクロス」事件、ノバルティスファーマのディオバン「データ改ざん」事件がなれの果てです。

そもそも新薬を開発している段階で、心血管障害抑制効果を証明していればこんな変なことは起きなかったはずです。しかし、心血管障害の抑制効果を証明するには時間が掛かる。だから、これまでは仕方なく、血圧を下げる効果だけで、承認をしてきたわけです。しかし、もう血圧を下げるだけの薬はごまんとある。臨床医も患者も「お腹一杯です!」って、なったわけです。今後の新薬開発は、血圧を下げるだけなら申請却下、臓器保護作用(心血管障害抑制)をしっかり証明したものだけ承認!!!そのくらいで、いいのではないでしょうか?

別にふざけて言っているわけじゃないのです。日本の研究者が「ちぇっ、つまんねえ」って腕枕で、ふて寝しているかというと、そんな軟弱ではないです。先週、仙台で開かれた日本高血圧学会では、血圧を下げる作用と臓器保護作用双方を併せ持つ、これまでの枠組みを超えるユニークな化合物の発表がいくつもありました。【RISFAX16年10月3日号をご参照ください】研究者の発想は、すでに次のステップに突入し、真剣に取り組んでいるのです。新たなアプローチの研究は、作用機序が複雑に入り組んでいて、1回聞いただけではなかなか理解できないんですが、逃げずに前に行く姿勢を目の当たりにすると、元気が出ます!!!どうあれ、血圧を下げればいいって時代は終わったのです。

 で、写真は仙台にて。鱗雲が静かに流れていました。では皆様、季節の変わり目に付き、お体に気をつけて。素敵な一週間をお過ごしください!!

 

地域包括ケアを語る「煽りビジネス」、独りよがりで支離滅裂の「薬剤師叩きビジネス」は、賞味期限切れです!!!

img_2397  みなさん!お元気ですか?シルバーウィークを挟んで2週間ぶりの更新となりました!どんな休日を過ごされましたか?私は、普段できずに気にかかっていたこと、放ったらかしにしてきたことに思う存分、向き合いましたあ〜(笑)!!なんで、スッキリです!!

いちいち列挙しませんが、この間、国内外、色んなことがありました!!で、つくづく思うのは、製薬業界も、この世の中の森羅万象から、逃れられないということ。もちろん、専門ジャーナリズムも含めてです。「製薬」という業界の枠だけでものを観たり、言ったりしてると、現実からズレて先を見誤ります。厚労省も、業界も、メディアも、自分だけに都合がいい、みみっちい論理を振りかざしてやり取りしてても何にも生まれませんよ

 例えば「地域包括ケア」。いまや、バズワード(中身のない流行語)化しています。実はこれ、厚労省が、自らの施策の失敗を棚に上げて、「要介護老人を受け入れる体制が全くできていない。こうなったのは国民が無関心だったからで、別に俺たちの責任ではない。もう金はないし、手遅れだから高齢者は基本的に家族で面倒見ろ!施設にはできるだけ来るな!それがだめなら地域のみんなで面倒見ろ!」って上から目線で言ってるだけの話なんです。なんか「地域包括ケア」っていうだけで、尊くありがたい崇高なイメージを持つ風潮がありますが、全くそんなことはありませんから、騙されないように、お気を付けください。

にもかかわらず製薬業界周辺には「すわ!ビジネスチャンス到来!!!」とばかりに、わけもわからないまま、厚労省のお先棒を担いで「製薬企業も、なんかやれ!」とか、「MRもなんかやんないと、明日はない。大変だ!大変だ!」と、わめいている火事場泥棒のような輩がいるじゃないですか?そういう輩に「それではあんたは一体、何すればいいって考えているの?」って一度、聞いてみてください。間違いなく、「それは企業が考えること」なんて、新興宗教家か、詐欺師まがいの言葉が返ってくるでしょう。まあ、せいぜい「地域の活動に参画すれば、オピニオン医師にも大事にされ、企業にとってもメリットがある」とか、その程度でしょう。そんなの、いちいち偉そうに言われなくても自明じゃないですか???

あと、よくあるのは医療政策で厚労省と、医師会、保険者、製薬業界がもめてせっぱつまると、問題の本質を置き去りにしたまま、職能的にも政治的にももっとも力がない薬剤師会を引合いにだし、いきなり「薬剤師がしっかりしないからこういうことになるだ!!!」って、ボコボコに叩きまくって、溜飲を下げて幕引きするパターン。日本では、過去数十年、薬剤師あるいは薬剤師会がある種、論争の「緩衝地帯」になってきたので、この領域では、知性のかけらもない幼稚で滅茶苦茶な話、論理破綻したスカスカな話がいまだに、まかり通っています。空しいし、恥ずかしいですね。もうそろそろやめませんか?というのが連休明けの私の提案であり、心構えであります。

で、写真は東京渋谷で撮影。ファッションビル109と、御神輿。ってなかなか珍しい組み合わせでしょう?それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!!秋が来ましたよ!

 

 
 
 
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