IQVAセミナーで講演、岸田新政権で薬価制度、医薬品産業はどうなるか?

 

 みなさまお元気ですか?9月までの騒動は一体なんだったんだ?そう思うくらい新型コロナがすっかり身を潜めてしまった今日この頃。いかがお過ごしですか?

 緊急事態宣言が明け、衆院選も終了。岸田新政権の「新しい資本主義」が本格的に始動します。とはいえ「新しい資本主義」って一体なんなのか?具体的な姿はまだ見えてきません。

 まあ、ある種のキャッチフレーズですから。。。。そんなもんかもしれません。

 岸田首相からすれば「『聞く力」を存分に発揮するから、旧来の政策の枠組み、発想に囚われず議論しましょう!」と。そんなポジティブなメッセージなんだと、勝手に受け止めております。

 さてそんな最中、今回は、みなさまにご報告です。IQVAソリューションジャパン主催のセミナーで10月26日(火)に「新政権と薬価制度改革の行方」をテーマに講演しました。その動画が12月8日まで配信されております。動画は、新日本戦略研究所(INES)が提示した薬価制度改革案の取りまとめ役、法政大学の小黒一正先生(経済学部教授)のご講演との2本立て。最後に小黒先生の御意見、構想をより分かりやすく解説していただくため、僭越ながら私と小黒先生で対談形式のようなやり取りもさせていただきました。収録日時は衆院選より前ですが、講演で触れた情勢認識、見通しに大きな狂いはなく、問題なくご覧いただけると思います。ただ、私のカミカミの滑舌、勉強不足による事実誤認がございましたら、そこはまだまだ発展途上の不束者ゆえ。寛大なるお心で、何卒、ご容赦ください。

 日本の薬価制度は製薬ビジネスの要。しかしながら、このところ、新薬の保険価格を維持する「新薬創出加算」の対象は狭められるわ、特許が切れた医薬品(長期収載品)の保険価格は叩かれるわ、特許切れ後に安価で出てくる後発品も追い込まれるわ、これまで2年に1回だった引き下げが、毎年実施されるわで「痛いこと」続きです。

 ウィズコロナそして岸田新政権誕生は、どうあれ「時代の変わり目」です。薬価制度改革もここで一度、立ち止まって根本的な課題を洗い直し、修正すべきは修正。壊すべきものは壊す。そんな巨視的かつ勇気ある取り組みが必要な時期ではないでしょうか?健全なる議論が大いに進むことを願ってやみません。

 写真は近くのカフェで。地球儀を見ていたら“妄想力”が強まり、これまで誰も足を踏み入れたことがない「未開の楽園」を探しに行きたくなりました(笑)それではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください。

【IQVIAセミナー】

どうなる?新政権下での薬価制度と医薬品のこれから

 

 

 

 

 

製薬産業に好機到来!「主張すべきは主張すべき」

 

 みなさん、お元気ですか?

 コロナ禍そして岸田政権発足後、初の衆院選。自民党が単独過半数を維持し、引き続き公明党との連立政権が続きます。ただ、自民党は議席数を減らし、しかも多くのベテラン議員が落選しました。

 感触から言って、今後、安倍晋三元首相時代から続く強烈な「官邸主導」の政策運営は若干弱まるのではないでしょうか?少なくとも、今回の選挙結果から、国民はこれまでの「官邸主導」をそれほど評価していないことがわかった。というか、ずっと「官邸主導」で、かなり強引な政策運営を推し進めていながら、コロナという新興感染症を前にしたとたん、誰が責任者で、どこで誰が政策を練っているのかわからない「目くらまし作戦」「エンマク(煙幕)体制」を敷いて、これといった打開策を打ち出せないまま、右往左往していた。その様子を見て、国民は無責任で頼りない印象を抱いたのは間違いない。まあ毎度のことなんですが、自民党が単独過半数を獲得して「勝利」というより、野党の存在感が薄く「弱すぎる」ということなんでしょう。

 で製薬産業への影響がどうなるか?安倍、菅政権は2016年末の4大臣合意以降、薬価制度への切り込みを強めています。しかも、官邸主導で、いきなり上から厳しい政策を落っことす。市場拡大再算定、長期収載品薬価を引き下げるG1、G2ルールの導入、新薬収載時の四半期改定、中間年改定。。。いずれも業界の要望、予想より厳しく切り込まれました。

 一方、新型コロナの感染拡大で製薬産業への注目度、期待感は高まっています。

 そんな中、今回新たに岸田文雄新政権がいよいよ船出する。ご承知の通り岸田首相は「新しい資本主義」をキャッチフレーズに掲げ、自身の「聞く力」を重視して政策運営を進めていくと宣言しています。製薬産業界とっては、防御一辺倒から脱し、主張すべきは主張する、よい時期ではないか。そんなふうに私は考えます。

 ペンディングになっていた21年の薬価改定論議もいよいよ動き出します。舞台となる中医協薬価専門部会は、定例の水曜日3日が休日なので、5日に開かれる見通しです。

 それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

日本製薬工業協会が13年ぶりにHPリニューアル、「国民、患者への発信」を意識した新画面に!

 

 みなさんお元気ですか?今週は薄曇りでスタート。新型コロナの感染が急激に鈍化し、びっくりですね。理由もわからないから、なんも言いようがないですが。。。

  なにはともあれ、「危ない!」「危ない!」「死ぬるぞ!」「死ぬるぞ!」という脅しで溢れかえった風潮が収まってホッとしています。勿論、感染対策は十分心がけています。別に誰かに恫喝されなくても。。エチケットですからね。

 さて新薬メーカー73社が加盟する日本製薬工業協会が9月1日にホームページをリニューアルしました。新型コロナ感染拡大で、製薬企業への期待と関心が高まる中、時宜を得た対応だと思います。

 ただ、HPリニューアルは08年以来、実に13年間ぶり。研究型産業でありながら、これまでよく放置してきたなあとも思います。

 一般的に業界団体のHPって、会員間の情報交換や、連絡事項を発信する場という要素が強く、殺風景でつまらない画面が多い。しかし、もう内輪だけで理解しあっればいいという時代は終わり。国民、患者の情報収集欲も、収集力も高まっているし、業界への期待感も大きい。製薬協には、今回のHPリニューアルを機に是非、国民、患者への発信力を高めて行って欲しいです!

 写真は国会議事堂。10月31日は衆院選挙です!選挙後、岸田政権の「新しい資本主義」の姿も徐々に見えてくるでしょう。それでは皆様、素敵な1週間をお過ごしください

 

衆院の代表質問で「ぐっすり睡眠」を貪る議員が大量発生!!!日本は大丈夫か!?

 みなさんお元気ですか?なんだか時として肌寒ささえ感じる今日この頃です。

 さて岸田文雄新政権が発足。「新しい資本主義」をテーマにした政策運営が始まります。これが緊縮財政路線なのか?積極財政路線なのか?どんな形で産業育成を考えているのか?まだよくわからない。選挙前ですから、当然ですね。岸田政権の姿がくっきり見えるようになるのは10月31日の衆院選後、与野党のパワーバランスがはっきり定着してからでしょう。

 そういう意味で、今度の選挙は私たちの今後を決める大事な選挙です。各候補者の政策、実績、人柄をしっかり見極めてしっかり投票に臨みましょう!

 てなことで先週11~13日、岸田首相の所信表明を受けた各党の代表質問があり、その模様がTV中継されていたので、出先で何気なくその動画を見ていると、なんと衆院議員席の先生方!寝てる、寝てる(笑)テレビカメラが入って中継があるのを知っていながら、これだけ堂々とお眠りあそばされているとは。。。しかもウトウトどころか、本気でがっちり「睡眠」に取り組んでおられる。だはっ。なんか力のない笑いが出ました。

 写真は11日、代表質問初日の衆院議員席。ぐっすり寝ている先生方は次の選挙大丈夫なんでしょうか?人ですから、そりゃ居眠りぐらいはするでしょう。しかし、ここまで堂々と本腰入れて寝られてしまうと、言葉を失ってしまいます。

まあなんとか気を取り直して次の選挙の一票で意思表示します。

【お知らせ】MEジャーナルで先週、臨時速報を発信いたしました。詳細は以下。

◆【臨時速報10月16日付】
岸田政権の「新資本主義会議」に塩野義の澤田副社長
「感染症対策」「女性リーダー」「デジタル化」で起用

 

22年4月の薬価制度改革、ほとんど議論してないんですけど。。。

 

 みなさんお元気ですか?コロナの感染拡大が急激に弱まり、世の中全体が「あれっ?」って感じになっていますね。こんなこともあるんですね。やっぱウイルスって謎が多い。。。つかみどころのないお方ですわ(苦笑)

 で岸田新政権が発足、この後、衆院選もあります。岸田新総理は「新しい資本主義」とかいうテーマを掲げていますが、まだ何が何やらまったくわからない。選挙結果もどう出るかわからない。そんなこともあって今後の政府の動きも読みずらい。

 実は22年4月、製薬業界にとって影響が大きい2年に一度の薬価制度改革があるんですが、まったく議論できていない。議論の舞台である厚労省の審議会(中央社会保険医療協議会・薬価専門部会)も前回の8月4日以降、開かれていない。いつもなら9、10月は、どこをどう改革するか、各論を議論している時期なんですが。。。。このまま大した議論はなされず、年末になだれ込む可能性も大きくなってきました。その際、改革の内容は「議論が足りないから小ぶり」となるか?それとも「議論はしていないけど官邸主導でやることはやる」とバッサリ切るか?現時点で予測しても、2つの極論にしかならない。しっかり取材を続けます。

 写真は近くのカフェで。テラス席が気持ちのよい季節になりました。古本屋さんで学生時代に読んだロマン・ロランに遭遇。「そうかあ!そうだったのかあ!」。おっさんになったればこそ、理解できる新たな感動がありました!やっぱ活字ちゅうのはいいもんです。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

【お知らせ】講談社、現代ビジネスに「高血圧の治療用アプリ」について一般向けの記事を書きました。どなたでも無料でお読みいただけます。お時間がございましたら是非、お読みください。

もう「血圧の薬」は時代遅れ?「スマホアプリ」が激変させうる高血圧治療の未来

 

新型コロナのワクチン、治療薬開発を「続けさせていただきたい!」 塩野義の手代木社長が訴える!「平時の国家備蓄」「余剰はアジア供給」という“新たな枠組””も提案

 

 みなさんお元気ですか?すっかり秋になりました!

 さて新型コロナウイルの感染拡大。このところ弱まっているようです。しかし、なぜここにきて急に弱まったのか?その要因は、はっきりしていません。従って、この先、感染状況がどうなるかもまったくわからない。いい方向でも、悪い方向でも、あらゆる「可能性」はまだ残っている。だから、軽々な発言は慎みたいと思います。縮小の要因が分からないまま、将来について言及、予測しても意味がないからです。メディアに頻出する「専門家」の方々も、確証が得られない「予言」は止めて、しばらく黙っていて欲しいものです。混乱するだけだから。

 ただ、これまでのパンデミック(感染爆発)、インフォディック(パニックに乗じた虚実ないまぜの情報氾濫)がなぜ起きたか?根本要因を考えると、最も大きな要因は、ワクチン、治療薬がなかったからだと考えます。

 昨秋、ワクチンが出て、最近、新たな治療薬も少しずつ出てきているのですが、いまのところ外資系メーカーの製品がほとんど。日本のメーカーのものは正式承認されていません。

 そんな中、塩野義製薬がワクチン、治療薬、抗体検査、抗原検査などフルラインでコロナ対策製品を揃える構えです。「国産ワクチンが必要だ」とよく言われますが、いま開発を進めているのは塩野義と、KMバイオロジクス、第一三共だけです。さらに治療薬は塩野義1社のみ。

 国内の他の製薬企業は、感染症治療薬やワクチンの開発に乗り気ではありません。もし対象とする感染症が流行しなければ、出番がなく、収益ダメージが大きい。ビジネス上、リスクが高いのです。ただ、感染症はいつどこでどのような規模で、またいつまで続くのかわからない。一度、パンデミックになれば今回のコロナのように社会的にダメージは計り知れない。

 ですから、感染症対策は、本来は「健康予防政策」というよりも、むしろ「国家安全保障政策」として取り組むべきなのです。その一環で、国産ワクチン、国産治療薬の開発促進にも力を入れて欲しい。

 塩野義製薬の手代木功社長は9月29日に開いた記者会見でこう訴えました。

 「ここ2年程、インフルエンザの流行がなく、関連治療薬の売り上げはほぼゼロだ。このまま感染症ビジネスを続けていけるのかという状況だ。しかし、続けさせていただきたい。困っていない時、平時はインフルエンザ、コロナ治療薬は国が備蓄していただく。ワクチンも買い上げていただき、状況によってアジア諸国に供給する。そういう新しい枠組みを作っていただきたい。感染症の特殊性をご理解いただきたい」。

 日本の感染症対策は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」。流行期あるいは流行が起きそうになると、大きな議論になるが、収束すると忘れてしまい、何の対策も準備しない。その繰り返しでした。今回の新型コロナ禍は、しっかり教訓を政策に活かしてもらいたいもんです。

 写真は記者会見に臨む塩野義製薬の手代木功社長です。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。皆さんは食欲の秋?読書の秋?楽しみましょう!

 

【お知らせ】ブログ更新は明日5日(火)となります。

 みなさんお元気ですか?毎週月曜更新の薬新カフェ。今回は都合により明日5日(火)にさせていたさきます。よろしくお願いいたします。

 

コロナ禍でメディアに出過ぎて自分がまるで「芸能人」か「英雄」になったかのように勘違いしてしまった残念な「専門家」がいるよね

 みなさん、お元気ですか?一気に気温が下がり、秋に突入したような気配です。

 さて新型コロナの感染抑制策。新たなフェーズを迎えます。もう1年半以上、「行動抑制」「人流抑制」「自粛!」「自粛!」「自粛!」「危ない!」「危ない!」「危ない!」の一辺倒でしたが、これからは、感染がゼロにならない中で、社会経済活動を回す「ウィズ コロナ」の方向に少しずつ舵を切る。そんな感じです。いやあ長かったあ。

 にしても今回のパンデミックを振り返ると、同業だからかメディアの発信のひどさが目につきました。よもやここまで、滅茶苦茶だとは思いませんでした。心底がっかりしました。というか危険です。なんでもかんでも、とにかく恐怖心を煽る方向で、インフォデミック(虚実ないまぜの情報洪水)が起きました。取材も、強く恐怖心を煽る人のところに各種メディアが殺到、特定の人が何度も何度も繰り返し登場しました。取材を受ける側も、メディアに何度も取り上げられているうちに、何かまるで自分が芸能人や、英雄になったように錯覚してしまったのではないでしょうか。ふるまいから見て、そう思わざるを得ない方があります。まあ、そういう方も、ある意味、メディアの犠牲者かもしれませんが。。。。。

 メディアは本来、公平を期すため、かりに「右」と主張する人を取り上げたら、次は「左」の人を取り上げるのが原則だと考えますが、今回のコロナ禍は「自粛」「自粛」「自粛」のオンパレードでした。各種メディアの情報が堰を切ったかの如く、一方向に大量に勢いよくドドドッと流れる現象には、そら恐ろしささえ感じました。

 で、コロナ報道で何度も取り上げられている「専門家」。メディアが使う常とう手段です。とりあえず人の目をひく肩書をつける。しかしよくよく考えると一体、なんの「専門家」なのか全くわからない。

 その方たちがいまも「感染は再び拡大する“可能性がある”」「また大きく増えることも“あり得る”」「ワクチンの効果は“100%とは言えない”」とかおしゃられています。当たり前じゃないですか?こんなことなら誰でも言えますね。「行動抑制緩和は“個人的には“まだ早いと考えています」とかいうのもあります。専門家としての意見を聞いてるのに、個人の感覚にすり替えちゃうってどうですか?(笑)

 何しろ、もうこういう無駄なコメント、無駄な情報はいらないです。「専門家」の皆々様。しっかりご自分の領域でお仕事に専念してください。

 写真は神田のラーメン屋サカエヤさん。学生時代からある老舗ですが近く閉店、移転するとのこと。この味のある佇まいがなくなってしまうのは残念です。長い間、ありがとうございました!新店期待しております。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

国産ワクチン vs 海外ワクチン!「ガチンコ勝負」にKMバイオロジクスが挑戦

 

 みなさんお元気ですか?今週はいわゆる“飛び石連休“でちょっと落ち着きませんが、いかがお過ごしですか?

 さて新型コロナ感染。ワクチン接種も浸透し、数値上は若干、落ち着いてきましたね。いずれにせよ、ウイルス性感染ですから、今後も感染者数は季節とか、変異とかで、上がったり下がったりするでしょう。もう、そのたびに一喜一憂しているわけにはいきません。

 で、ワクチンはファイザー、モデルナ、アストラセネカと、いまのところ外国産だけなんですが、国内メーカー、塩野義、KMバイオロジクス(MeijiSeikaファルマの子会社)も開発を急いでいます。

 KMバイオロジクスの永里敏秋社長は18日に熊本市で開いた市民公開セミナーで、不活化ワクチンの治験(最終試験)を10月から開始すると発表しました。不活化ワクチンは、感染力を削いだ病原体を体内に投入して免疫力を高めるワクチン。この技術は、すでにインフルエンザワクチンで広く使われており、有効性、安全性は高いと期待されています。

 しかも今度実施する治験は、プラセボ(偽薬)との比較ではなく、ファイザーやモデルナなどすでに承認されているワクチンとの比較試験だそうです。要するに、外国産ワクチンと「1対1のガチンコ勝負」に挑むわけです。有効性、安全性が同等以上なら承認されます。もし有効性、安全性が同等どころか、上回るようなら日本のワクチン技術が極めて優秀であると証明することになります。期待をもって試験結果を待ちたいと思います。

 写真はKMバイオロジクスの永里社長です!それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

【お知らせ】

 講談社、現代ビジネスに新型コロナ禍における「かかりつけ医」の現状と課題について一般向けの記事を書きました。どなたでも無料でお読みいただけます。お時間がございましたら是非、お読みください。

新型コロナで判明した「かかりつけ医」の根本的な「システム不備」/医療体制の「弱点」が浮き彫りに…

 

 

 

 

特許切れ薬品の「新団体」が発足、閉塞感を吹き飛ばす活動に期待!!

 みなさん、お元気ですか?外気はまだ暑いままですが、少しずつ秋独特の涼風が混じるようになってきました。新型コロナの緊急事態宣言は9月末まで延長。まあこの調子ですと、その後も、せいぜい、まん防止等重点措置への移行というところでしょう。。。行動制限がスッキリ明けるのはもう少し先になりそうです。

 さて本日13日、特許期間が満了した医薬品、いわゆる「エスタブリッシュ医薬品」に関する政策提言を目的とする、新団体「日本エスタブリッシュ医薬品研究協議会」が発足、活動を開始しました。

 発起人代表は武田テバファーマの松森浩士社長【写真】です。また、アドバイザーには医薬品業界に精通した元厚労省審議官、唐澤剛氏(慶応大大学院、メディア研究科、特任教授)が名を連ねています。

 私の感想は「いよいよ来たかあ」です。

 エスタブリッシュ医薬品と言うからには、後発品医薬品(ジェネリック=GE)だけでなく、新薬の特許が切れた後、その新薬メーカーが子会社などに製造販売を譲渡する「オーソラーズド・ジェネリック=AGE」も射程圏に入っているのでしょう。

 これまで特許が切れた医薬品の業界団体と言えば、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)だったんですが、今度の新団体は、製薬企業のみならず、卸、原薬メーカーも取り込む考えで、GE薬協より、会員のすそ野は広くなりそうです。また、「政策提言を行っていく」としており、よりアグレッシブな活動が期待されます。

 GE薬協の会員数は現在38社。後発品の製造販売を専業とする中小メーカーがほとんどです。

 一方、今回発足した新団体には、GE薬協に加盟していない、あゆみ製薬、ヴイアトリス製薬、白鳥製薬ほか、先頃、日医工に資本参加(9.9%)した大手医薬品卸、メディパルホールディングスも参画しています。GE薬協の加盟社で新団体に参画するのは現在、武田テバのみです。

 今後、大手新薬メーカーの許諾を受けて、AGEを製造販売している大手メーカー子会社などが新団体に加盟するかどうか。。。そこが焦点になるでしょう。

 新団体の発起人代表、松森氏はファイザー日本法人の取締役執行役員時代に、特許が切れた医薬品を「エスタブリッシュ医薬品」と命名、事業化を推進したリーダーです。17年3月、武田テバのCEO兼社長に就任、21年2月、武田テバの大工場を日医工に売却するなど「辣腕」で知られます。

 ここ最近、承認時の製造法を逸脱した後発品が相次ぎ、後発品専業メーカーの信頼が揺らいでいます。そんな中での新団体設立、今後の活動が大いに注目されます。

 写真は新団体の発起人代表、松森氏。新団体の活動で閉そく感を打ち破る「新旋風」を巻き起こして欲しいです。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください!!!

 

 

 

 
 
 
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