Posted on 11月 29th, 2023 by IDAKA
◆内閣官房参与・鴨下一郎氏
総理大臣の“ブレーン”的な役割を担う内閣官房参与、鴨下一郎氏【写真】に創薬力強化に向けた今後の医薬品産業政策についてお話を伺った。
鴨下氏は医学博士で元環境相。衆院厚労副大臣、厚労委員長などを歴任し、社会保障、健康・医療、関連産業の施策に明るい。21年10月に9期28年の衆院議員を引退、23年9月、健康・医療戦略を担当する内閣官房参与に任命された。「創薬、認知症に関して助言を行う参与として適任」と岸田文雄総理が抜擢した。24年度以降の医薬品産業政策をまとめあげる「総合調整役」として最も注目されるキーマンだ。
鴨下氏は「日本の創薬力に陰りが出ている」と憂慮、薬価制度などを通じた産業構造改革の必要性を強調した。今後の政策提案については「関連するステークホルダーによっては、多少、眉を顰めるようなことがあるかもしれない」と述べた。以下、速記メモを元に一問一答形式で概略をお伝えする。
Posted on 11月 24th, 2023 by IDAKA
◆日薬の山本信夫会長
必要な薬が必要な時に手に入らないーー。医薬品の供給が滞るようになって、もう数年が経過した。日本薬剤師会は22日の中央社会保険医療協議会総会で「医薬品の供給問題への対応で会員薬局の負担感が悪化している」と窮状を訴えた。山本信夫会長は筆者の取材に「今の供給停滞は、近隣薬局が(足りない薬を)持っているけど売ってくれないとか、貸してくれないというレベルではない。モノ自体がないのだ。融通し合いたくてもできない。現場の混乱は筆舌にし難い状況
Posted on 11月 17th, 2023 by IDAKA
◆ノボノルディスクファーマのオーレ ムルスコウ ベック社長
ノボ ノルディス ファーマのGLP1受容体作動薬(以下、GLP1)「ウゴービ」が“肥満症”の適用で承認を得て、来週11月22日に薬価収載される。ノボは、すでに“2型糖尿病”の治療薬としてウゴービと同一成分の「オゼンピック」を20年6月から販売しているが、
Posted on 11月 14th, 2023 by IDAKA
◆厚労省外観
厚労省は特許が切れた先発医薬品(以下、長期収載品)で、すでに後発品が出ているにもかかわらず敢えて長期収載品(後発品より薬価が高い)を使う場合は、原則、患者の負担を増やす方向で調整に入った。同省の社会保障審議会医療保険部会が11月9日の会議で、医療保険の一定率負担(原則3割)とは別に、患者から上乗せ負担を徴収できる「選定療養」の対象に長期収載品使用を加える厚労省案に概ね合意した。これからどうなるかーー。予測を交えてお伝えする。
Posted on 11月 10th, 2023 by IDAKA
◆米国研究製薬工業協会(PhRMA)のヴァス・ナラシンハン会長
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のヴァス・ナラシンハン会長(ノバルティスCEO)が来日し、11月9日、記者会見を開いた。PhRMA会長は例年、この時期、「PhRMA Days」と称して来日し、数日間、日本に滞在。政府関係者などを訪問し、米国業界の要望を訴える。今回は会見前日の8日に、岸田文雄総理大臣、武見敬三厚労大臣に接見、好感触を得たようだ。会見の内容については、すでにPhRMAが同日レポートを発信している。このうえ会長の発言を、聞いたままダラダラ書き連ねても、読者の貴重な「可処分時間」を無駄使いさせるだけで、SDGsにそぐわないので、詳細はPhRMA発レポート、資料に譲る。薬新プラザでは、私が記者会見で、気づいたこと、考えたことに焦点を絞って簡潔に記す。
Posted on 11月 6th, 2023 by IDAKA
◆イーライリリーのダニエル・スコブロンスキー最高科学・医学責任者(10月10日のセミナーにて)
日本イーライリリーが9月に日本で承認申請した早期アルツハイマー型認知症(AD)の進行遅延薬ドナネマブは臨床試験で「投薬を止める時期」を明確に示した。また、試験をデザインする際に、ADの根本要因とされるアミロイドβ(以下、Aβ)凝集体のみならず、疾患の悪化速度に影響するタウの蓄積を考慮した。「投薬を止める時期」「タウ蓄積の影響」を試験に組み込んで結果を出したのは斬新だ。試験の背景、内容を分かり得た範囲でレポートする。
Posted on 10月 27th, 2023 by IDAKA
◆沢井製薬・沢井光郎会長
沢井製薬が九州工場で製造していた胃潰瘍治療薬テプレノンカプセルで、長期に渡って不正な溶出性試験を実施していた事実が発覚した。溶出性試験は、販売後の医薬品が服用者の体の中でしっかり溶けて効能、効果を問題なく発揮するかどうか、数年毎に確認する試験。厚労省の省令(GMP)で企業に精密な実施が義務付けられている。試験結果で、溶け具合(溶出性)が基準値を極端に下回ること(OOS=OUT OF SPECIFICATION)がわかったら、本来の効能・効果を発揮せず、治療に影響を及ぼしかねないので、使用期間内でも回収などの対応が必要になる。OOSは、カプセルの経年劣化が影響して発生することが多い。沢井は、そのカプセルを比較的新しいモノに替えて試験を実施していた。主要成分(内容物)を、比較的新しいカプセルに詰め替えれば、溶出性は維持できて当たり前で明らかなGMP違反だ。沢井は、テプレノンでそれをやっていた。
◆沢井製薬・木村元彦社長
沢井は「同様の事案は、テプレノン以外の製品にはない」と説明、すでに全ロット回収し、今のところ健康被害報告はない。
ただ、小林化工、日医工の不正発覚以降、後発医薬品各社の製品回収、限定出荷が続出。行政処分が次々に下され、国民の不信感は増幅している。例え、販売後の劣化を確認する溶出性試験で、それが一製品に止まっていたにせよ、後発品業界トップ3に名を連ねる沢井で不正が発覚したのだから、社会的な衝撃は大きい。信頼を回復するには、相当の時間を要するだろう。一体なぜ、こんな不正が起き、しかも長期間続いたのかーー。沢井が10月23日に発表した特別調査委員会の報告書を読むと、その原因の一端が見えてくる。
Posted on 10月 25th, 2023 by IDAKA
◆MR認定センターの記者会見風景、左から近澤洋平専務理事・事務局長、小日向強企画部長、楳坂宏試験事業部長
公益財団法人MR認定センターが10月25日、記者会見し、2026年の制度改革に向けた取り組みについて説明した。近澤洋平専務理事・事務局長は「薬物療法の高度化、専門化、個別化が急速に進み、従来の教科書には載っていないものも出てきている。一方、医薬品の承認審査も迅速化され、市販後の情報収集・提供の重要性が増している」とMRを取り巻く環境が大きく変化している現状を強調。そのうえで「当センターは、公益財団法人だ。その観点から今の制度は“公益性”“公正性”を担保できているか。今一度、再検証し、時代の変化に適応する見直しを進める」と意欲を見せた。
Posted on 10月 20th, 2023 by IDAKA
◆新型コロナ禍前の中医協薬価専門部会
24年度の薬価改定内容を詰めるため、厚労省の中央社会保険医療協議会・薬価専門部会が20日に開かれた。ドラッグロス・ラグ解消に向けた「新薬の評価のあり方」がテーマ。前々日(18日)は、その各論として「新薬創出加算の見直し」(当サイト10月19日発)を議論したが、今回は①日本に革新的な新薬を早期に呼び込むための薬価評価(以下、早期導入評価)②開発が後回しにされがちな小児用医薬品の薬価評価(同、小児薬評価)③新薬の有用性を薬価に上乗せ(加算)して開発インセンティブを付与する薬価評価(同、有用性系評価)の3つに焦点を絞って議論した。製薬業界案はどう受け止められたかーー。部会論議をレポートする。
Posted on 10月 19th, 2023 by IDAKA
◆新型コロナ以前の中医協薬価専門部会
2024年度の薬価改定に向けた議論が年末に向けて急ピッチで進んでいる。10月18日、厚労省の中央社会保険医療協議会薬価専門部会では、新薬創出加算の見直しがテーマになった。診療側、支払い側、業界の意見には隔たりはあるが、かみ合っている部分も見えてきた。 会員の方はコチラをクリック »