第27回参院選(7月20日投開票)で自民・公明両党に大逆風が吹いた。今後、政界の勢力図も大きく変わっていくだろう。
比例全国区で、日本医師連盟、日本看護連盟、日本薬剤師連盟が推薦した自民党候補(それぞれ釜萢敏、石田昌宏、本田顕子《敬称略》)は当選。一方、日本歯科医師連盟、日本理学療法士連盟、日本臨床放射線技師連盟、日本臨床検査技師連盟の推薦候補(同 比嘉奈津美、田中昌史、畦元将吾《敬称略》)は落選した。また、選挙区で医師会や、医療産業界ともつながりが深いベテラン候補、武見敬三氏(元厚労相)が落選、政界引退を表明した。
日本製薬産業政治連盟(製薬企業)や日本薬業政治連盟(医薬品卸)は“分散支援”で、推薦候補を一本化していなかったようだが、ヘルスケア産業プラットフォーム(医薬・医療機器・医薬品卸・OTC・化粧品関連労働組合政策推進協同協議会)が推す国民民主の田村まみ氏が比例全国区で当選(7人枠1位)ーー。選挙区で自民の古川俊治氏(医師、埼玉4人枠1位)、小林孝一郎氏(医師、岡山1人枠)、立民の森本真治氏(元参院厚労委理事、広島2人枠2位)、公明の川村雄大氏(医師、東京7人枠4位)が当選した。以上の結果から見て、今参院選を機に、製薬産業界が直ちに何か大きな風圧を受けるということはないだろう。しかし、政局は益々、混迷を深め、各党といかに向き合うかーー。非常に悩ましい状況になった。
自民、公明は少数与党となり、

◆大原薬品の大原誠司代表取締役CEO
日本の中堅製薬企業、大原薬品工業が異彩を放ちながら新たなステージを迎えている。他社にない独特の経営戦略と成長可能性が評価され、最近、産業革新投資機構(JIC)の傘下ファンドが始めた中堅企業向け投資の初案件として100億円の出資を受けるに至った。これを機に戦略立案、選択、判断、実行に至るまでのスピードを上げ、成長を加速化する。
大原薬品の事業支柱は「オーファン(小児がんを中心とする希少疾患医薬品)」「ジェネリック(後発医薬品=GE)」「グローバル(国際展開)」の3つー。大原誠司代表取締役CEOは「オーファン事業の新薬開発が佳境に入った。GE事業もペイシェント・ファースト(品質、負担面での患者ニーズ対応)を徹底し、順調。グローバルでの投資案件も育ってきた」と説明。企業体として新ステージに入り、さらなる挑戦に臨む意欲を示した。売上高1000億円達成を目標に掲げており、株式上場、M&Aも視野に入れている。今後の事業展開で最も注目されるのは「グローバル(国際展開)」。欧米ではなく
明治グループ医薬品セグメントの2本柱、MeijiSeikaファルマとKMバイオロジクスの永里敏秋代表取締役(Meiji社長、KMB会長)【写真】は10日の記者説明会で、研究開発シーズの掘り起こし、生産の効率化と関連事業強化などの観点から、今後さらに国際展開に力を入れる方針を示した。まずはアジアの基盤強化に着手する。これまでタイ、インドネシア、インドに生産拠点を有しているが、向こう5年間でさらにテコ入れする。永里氏はアジア地域について「今後ますます人口が増える。当社が強い感染症を含めニューズも多くなる。当社の製品、技術、ヒトで貢献したい」と意欲を見せた。また、研究開発について「先進国からいかにいいネタ(研究開発シーズ)を探すかが大事。強化したい」と述べた。米ではすでにボストンに創薬基盤強化のオフィスを開設している。今後、さらに拡充する考え。
今回の記者説明会は

◆かつての中医協薬価専門部会
26年4月の薬価制度改革に向け、医薬品業界団体が9日、厚労省の中央社会保険医療協議会薬価専門部会で意見陳述した。研究開発型企業で構成される日米欧3団体は特許期間中の医薬品について「薬価維持」などを 会員の方はコチラをクリック »
日本の政治はしばらく安定しない。長きに渡る自民・公明連立政権が揺らいでいるほか、米の第二次トランプ政権が「自国優先主義」を強め、同盟国、日本にも容赦なく新たな要求を突き付けている。「安定しない」、すなわち「不安定な状況」は、必ずしもネガティブなことではない。物事を変えたり、生み出すには好機だ。医薬品の研究開発、薬価政策もしかり。成長を志向するなら現状維持は許されない。揺らぐ情勢にいかに向き合うかーー。製薬業界も構想力、交流力、交渉力、説得力が問われる。今、米国との関税交渉絡みで自動車業界が見えるところ、見えないところ含め、かつてないほど高度で精密なロビイングを展開している。製薬業界も動く時だ。
次の参院選(7月20日投票、改選議席124)における自民、公明の獲得議席目標は「最低50」と
製薬企業の情報提供、販売促進などの業務を受託するCSO(Contract Sales Organization=医薬品販売業務受託機関)のビジネスに変化の波が出てきた。日本CSO協会(以下、CSO協会)が公表した最新の実態調査結果(24年10月時点の実態)によると、会員各社(CSO)が契約、派遣などの形態で製薬企業などに送り込んだ人員総数は前期調査(23年10月時点の実態)との比較でわずかながら減少した。【写真=CSO協会の昌原清植会長(前列中央)、八所孝志副会長(前列右端)ほか加盟企業代表】。この先、横ばいで推移するのか、盛り返す(再び増加する)のか、減少し続けるのかー。まだわからない。ただ、CSOを活用する事業者の構成割合や、ニーズに変化が出始めており、